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賛否両論あるようです


「ぜってーダメだろそれは!」

「それはむしろ危ないんじゃないの~?」


キリに続いてマリーさんも難しそうな顔をして言う。

え、なんで?

魔王って魔族で一番強いんだから、安心じゃない?



「オッサンが狩り場に出たら、アホほど強い魔獣がワサワサ寄ってくんだろーが!」

「キリくんの訓練にもなるじゃない。おれが居れば大丈夫!なんでしょ」

「えーと、それはどういう…?」


マリーさんが頬杖をついて言う。


「私たち辺境伯がなんで辺境の荒れ地にいるか、ハナちゃんは知ってる~?」

「より強い魔族を食べようとして、城下町まで魔獣が行かないように?」

「そ~。てことは、最大の魔力を持つ魔族が狩り場に出たら~?」

「あっ」


なるほど、マオの魔力に惹かれて、魔獣まっしぐら状態になるわけか。


「…?でも、じゃあなんでマオがお城にいる間は、魔獣はここに向かって来ないの?」

「それはわたくしが結界を張っているからですよ。守るための結界というよりは、魔王様の魔力を外に漏れださないような、内向きのものですが」

「解呪も結界も張れるなんて、オピスってすごいんだね!」

「いえいえ、参謀たるものこれくらいできて当然です」


それなのに今は独りぼっちでトラップの解呪に勤しんでいるとは…申し訳ないが私の平穏な暮らしのために頑張ってくれ…!


「だいたい、キリくんはブラッドブル、ハナちゃんは卵が欲しいんでしょ?ってことは東の草原が妥当な場所だけど、ロック鳥の卵は高い木の上だし、キリくんじゃ飛べないでしょ」

「ぐっ…」

「私なら簡単にとれるけど~、魔王様が行くなら私はパス~」


この口ぶりだと、マオは空まで飛べちゃうってこと?

マリーさんが飛べそうなのは見た目からして分かるけど、マオも最初に会ったときみたいに、飛行版ってことで姿が変わるのかしら。


「でもマオって強いんでしょ?」

「そりゃ魔王……の、友人だからね。安心していいよ、ハナちゃんは」


そう言って腕を伸ばして私の頭をなでる。

今もう危うく自分のこと魔王って言いかけちゃってるじゃん…もはや今更だけど。


「マオが来てくれるなら心強いなぁ」

「おれがいるだろうが!」

「ていうかキリは魔獣まっしぐらにならないの?」

「ボウヤは体力全振りって感じなのよね~」


マリーさんが翼を口元にあてながら、ふふんと笑う。

わー、なんか分かるわ。


「バッ…おれだって炎魔法くらい…!」

「わー!待って待って!ここでやらないで!!」


キリの腕にメラッっと炎が立ち上って、慌てて止める。


「キリくんの炎ではせいぜい肉を焼くくらいでしょうに」

「オピスも煽らないで!」


私の必死の拒否で何とか場は収まったが、なんかあれだな、キリがマリーさんのこと苦手って言ってる意味がちょっと分かったような…。

でも確かにキリってこう、からかいたくなるような何かがあるのよねー。


「というわけで、明日はおれも行きます」

「はーい!」

「マジかよ…」

「マリーちゃん、旦那さんに魔獣が変な動きしても気にしないでって連絡しておいて」

「了解です〜」


な、なんか大事になったな…?


「大丈夫だよ、東の草原にちょっと出るくらいなら、影響あるかもしれないのはマリーちゃんとこの領地くらいで、そんな遠くから魔獣が集まってきたりしないから」


不安そうな私の表情を見て、マオがまた私の頭を撫でる。

これはやっぱり保護者だな…というか私が狩りを見に行きたいと言ったばっかりに、各方面に迷惑を掛けてなければいいのだけど。

もうすでにオピスには過大な負荷がかかってるみたいだけど、それは私を無理やりこっちに呼んだ張本人なので、甘んじてもらおう。


「あー!しょうがねぇ!明日は朝早いからな!準備しとけよ!」


キリが頭をガシガシとかいて、私を指さす。

準備…何の…?

まさか私が狩るわけじゃないし、動きやすい格好しておけばいいか…。


ふと周りを見渡すと、みんなの丼が空になっている。

残念ながらオカワリは無いので、今日の夕飯はこれで終わりになりそうだ。


「じゃ、話がまとまったところで、今日はお開きということで」

「じゃあ食器片付けちゃうね〜」


マオがそう宣言し、私が席を立ったところで、マリーさんがぴっと翼を上げた。


「ハナちゃん〜!私の魔法のこと忘れてない〜?」

「あっ!そうだ!」


ということはこの食器も…!?

マリーさんはふふんと笑って、マオの部屋でそうしたように、パタパタと羽を羽ばたかせた。

食器が新品のようにピカピカになる。


見れば見るほど便利な魔法すぎる…!


「大層な魔力使って、掃除係たぁザマァねぇな」

「あら〜?それじゃボウヤも私のお城でアンデッド退治でもする〜?あいつら体壊してもすぐ復活しちゃうけど、ボウヤで倒せるかしら〜?」

「ぐっ…」


ハラハラしつつもどこか微笑ましく2人のやり取りを見守っていると、食器を重ねながらマオが耳打ちしてきた。


「マリーちゃんの魔法はアンデッド退治向きだから、

アンデッド系の魔獣が出るダンジョンの近くに設置してるんだよね」

「適材適所だねぇ」

「魔王様だからね、これでも」


自ら食べ終わった食器を重ねてキッチンへ移動する魔王…。

異世界にはこんな魔王様もいていいのかもしれないなぁ。



お読みいただきありがとうございます。

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