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死ぬほど美味いラーメン屋

作者: uisan

よく強烈な何かを経験や口にしたときに、表現として「死ぬほど」と、使われることが多々ある。


しかし、実際そうは言ってもほんとに死ぬことなんてその人が何かのアレルギーだったり、心臓が弱かったり、、、みたいなことが重ならない限り、滅多に無いだろう。


そう滅多にない、はずなのだ。。。


「ねぇ、知ってる?最近できた駅前の、、、」

「知ってる!なんでも、『死ぬほど』美味いって噂のラーメン屋さんでしょ!」

夕暮れの電車の中に響く女子高生の話がふと耳に入ってきた。

『死ぬほど?』そんなラーメン食べただけで死ぬわけないじゃないか。

テレビなどでよく使われるこの表現、僕はこの表現が嫌いだ。なにが嫌いとかそういうことはないのだが、何かとその表現をしとけば良いみたいなものが僕は嫌いなのである。

仕事帰りでストレスが溜まってるのか、全く関係ないのに、何故かイライラが募る。

その時、ポケット入れていた携帯から通知がきた。

見ると同棲している彼女からのメッセージだった。


「ごめん!会社の会食で今日遅くなるから、外でなにか食べてきて!」とのことだった。

料理が苦手な僕はそのへんのことは全部彼女に任せきりにして、自分がやることといえば、食器の片付けぐらい。彼女は手伝ってくれるだけマシだよ?と言ってくれる。僕はその優しさに惚れてしまっている。

それにしても、晩飯をどうするか、、、、。

携帯でレシピを調べても作れる気がしない。

「そうだ。」

さっき女子高生が話していたことが頭の中に蘇った。

「ラーメンか、、、。たまにはいいな。」

死ぬほどという表現は嫌いだが、ラーメン自体には何の罪もない。僕はそこにいくことに決めた。


電車を降り、すぐある商店街の一つ外れた路地にそのラーメン屋はあった。

噂がかなり広まっているのか、店の前は行列が並んでいた。

そんなに美味いのか、、、、。初めてこういう行列の並ぶ店を目の当たりにして、正直驚いた。

年齢層は見た感じかなり広めだ。サラリーマンもいれば、制服姿の女子高生の姿もある。

僕の中で期待値がグングンと上がっていくのがわかる。

そんな時、目の前に並んでいた同じくスーツ姿のサラリーマンが話しかけてきた。すっかりくたびれたスーツに目の下のクマ、少し青白い顔からはラーメンを、食べれるような生気は感じられない。

「あなた、ここ初めてですか、、?ここのラーメンは美味しいですよぉ、、、それこそ死ぬほど、、、ね?」

不思議な人、気味が悪い人、怖い人、、、、。

世の中色んな人間がいるけど、この人はなんだろう。

何かに取り憑かれているような、なんかそんな感じだ。


行列が徐々に進み、ようやく席につけた。

隣には前に並んでいたあのサラリーマンが一足早くラーメンを食べている。

カウンターが6席しかないこの店では、見れば皆が同じものしか食べていない。というか、メニューがラーメンしかない。余程自信があるのか、単に他を作るのが面倒なのか知らないが、席についた途端店主がラーメンを目の前に出した。


出されたラーメンは見た目至って普通のもの。どこか特別感があるかと聞かれれば何もない。ただの普通の豚骨ラーメンだ。

味も普通、スープも、麺も、具材も。何が死ぬほどなんだ、、、?そんな事を考えながらも、腹を満たすためラーメンを啜る。

「ごちそうさん」隣に座っていたあのサラリーマンは手を合わせ、そういうとお金をその場に置いてトボトボと店を後にして行った。

僕は最後まであの男が気になって仕方がなかった。


次の日。彼女に起こされて目が覚めた。普通の朝の日常。顔を洗って、歯を磨き、朝の準備をする。

これが普通のはずだった。そのニュースを見るまでは。


○○駅で人身事故。被害者の顔が映し出され、映った顔を見て、僕はギョッとした。

昨日、ラーメン屋で前に並んでいたあの男だった。

そんな、、、。

その瞬間。僕の頭の中に変な欲求が生まれた。


あのラーメンが食べたい。食べたくてしょうがない。

食べたい。食べたい。食べたい。食べたい。食べたい食べたい食べたい食べたい食べたい食べたい食べたい食べたい食べたい食べたい食べたい食べたい食べたいたべたいたべたいたべたいタベタイタベタイタベタイ


もう止まらなかった。 


「ちょっと大丈夫?」

「ごめん。俺いかなきゃ。」僕は部屋を飛び出した。

何がそうさせたのかわからないが、あの男の写真を見た瞬間、昨日食べたラーメンが無性に欲しくなった。

まるで動物が子孫を残そうと必死にもがいている時のように、本能が脳に訴えてかけているみたいだった。

会社なんてどうでもいい。彼女なんてどうでもいい。

気がつけば僕は裸足で街の中を駆けていた。

息を荒々しくきらし、店にたどり着く。

朝8時だというのに、店は営業中になっていた。しかし、昨日きたときのように、人が行列になっているだとかもなく、店には客なんて誰もいなかった。

普通なら朝早い時間に営業していることも、客が誰もいないことも不思議に思う。だが今の僕にそんな余裕はない。

席に飛びつくと、一言。「ラーメンを一つ。」

その言葉を聞いた店主は昨日と同じようにラーメンを提供してくれた。その顔はどこかニヤリと不気味な笑みを浮かべたようにも見えた。

麺を一口。これだ、この味だ。

昨日はなんて思わなかったのに、何故かどんどん、、、まるで底なしの沼にはハマっていくかのように夢中になってラーメンを啜った、、、、、。






そしてある日、、、、。

僕は彼女をこの世から消した。

彼女はおかしくなっていたんだ。僕はラーメンをタベタイだけなのに、彼女は僕のことを止めようとするんだ。ついには僕のことを頭おかしくなった?なんて言い出すし、あのラーメンの悪口までいうんだ。

そんな君がおかしいんだ、僕の邪魔をするなら、、、

君はもう、いらナイ。

正直言って、君の料理は死ぬほど不味かったよ。

この世で一番美味いのはあのラーメンだ。

そう、死ぬほど、、、、ね。。。。。






○日早朝。○○駅で人身事故がありました。

亡くなったのは、、、、、、、、、、






ねぇ知ってる!?駅前に死ぬほど美味いラーメン屋さんがあるんだって!


知ってる知ってる!


最近噂になってるよね!


そうそう!それも近くによく人身事故が起きる駅があるから、尚更噂が広まってるんだよね!


もしかして、そのラーメン食べたせいなんて、、、、、ないよねー笑笑






巷で噂になる死ぬほど美味い○○屋。

それがもし、食べると本当に死ぬとしたら、

あなたはたべますか?

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