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ガラクタの学園  作者: 夕霧湖畔
第四部 教頭失脚編
81/211

03.最終日

 残存人数の問題により、残りは最大四、五試合だと発表があった。

 二学年は残りジュリアンとグラトニーのみ。他は全て敗退していた。


 淑女の会は昨日の段階でガトレスがカーリーと衝突し、敗北。詳細は不明だが【茨姫】というのがカーリーの発動具であり、二つ名でもあるらしい。


 実はガトレスは【石鬼】、メフィレスは【人魚】の二つ名持ちだという。

 称号は教師に匹敵すると認められた学生にのみ与えられるもので、淑女の会でもカーリー以外は三学年で漸く認められた程の別格振りなのだとか。


 加えて昨年【炎帝】の異名を持つアルガスト先駆者(パイオニア)寮長が卒業した今、在学生に他の称号持ちは居ない。称号は首席だから与えられるという代物では無いのだ。


(つまり、残る有力者はジュリアンとカーリーの二人だけね。)

 戦いは不得手と言いつつきっちりガトレスを下している辺り、相性差があったとしてもトップクラスなのは間違いない。


 最終日はダンジョンでは無かった。

 円形闘技場に登場したのは、グラトニーとジュリアン。本日の初戦。

 他の会場でも第一試合が順当に始まるようだ。


「こういう時、決勝で会おうって言ってれば様になったのかな。」

 ジュリアンが剣を構えて軽口を開く。


 君とは正々堂々と正面から戦ってみたかったと笑いかける姿は、大抵の者が好青年だと思うのだろう。

 裏表のない人間だけが出せる、紳士的な空気を漂わせて。


「さあ。そもそも私、此処でリタイアするし。」


・・・・・・・・・?

 ジュリアンは、剣を構えたまま首を九十度に近付く勢いで、ゆっくり傾げた。


「降参の条件はルールに無いし、双方が納得すれば戦う必要は無かったわよね?」

 グラトニーはジュリアンの動揺が理解出来ず、軽く首を捻る。


「ちょ!ま、待って!何で?!」

「だって私が優勝したらこの学園の連中は絶対闇討ちするでしょ?

 淑女の会と当たる前なら兎も角、他の連中は絶対リタイアさせないでしょ。」


 腕試しなら既に淑女の会の一人と当たった。そこそこの数の呪具を奪い、専用発動具は吸収出来ないと分かったので大体全部砕いて無力化もした。

 既にグラトニーが決勝まで行く動機は無い。


 無論、ジュリアンと戦う前日段階で淑女の会全員に勝った場合なら。普通に優勝を目指したかも知れないが、その場合とて学園長がどう動くか分からない。

 表舞台でジュリアンと戦うのはデメリットの方が大きいと見ている。


「……いやいや!

 そもそもオレが勝った場合は大丈夫「本気で言ってる?」……。」


 被せられた言葉にジュリアンが沈黙で答える。

 今までの無能人に対する差別を思えば、割と違法行為が許されるくらいの勢いで排除行動に出る可能性を、否定出来るほど楽観視は到底出来ない。


 普通に考えて一対一でグラトニーに勝てる面々は限られているのだ。

 負けた時に排除出来なければもう排除する機会は無いだろうと、同期の面々ならとっくに理解している筈だ。


 最初で最後のチャンスと思えば暴走しないとも言い難い。

 二学年だけで勝てるとも思えないし、他の学年に協力を仰ぐ可能性も高い。

 その程度の事はジュリアンとてとっくに把握していた。


「いや、でも。もう少し、何かさ。

 というか君だって、今迄降伏の条件に無理難題とか、今手持ちの全財産とか要求してたろ?」


 ジュリアンとしては割と本気で引っ込みつかない思いがある。

 本音を言えば。グラトニーを止められる男だと証明するためにこそ、今回の大会を頑張ったというのがジュリアンの正直な思いだ。


「あら。じゃあ他の連中みたく身包みや下着を要求する?」

「アハハハハハハハハハ、別に何も要求しないし奪った物返す必要も無いなぁ。

 全校放送で性犯罪者宣言出来る連中と一緒にして貰いたくないしね。」

「お、おう。」


 やたら早口なジュリアンが出す殺気の様な気配に戸惑うグラトニー。

 目の前にいる自分以外に向けられているのが更に不可解だ。


「じゃあ今度模擬戦か何かに付き合ってくれ。

 あと出来ればこの後の試合で俺を応援してくれると嬉しい。」

「まあそれくらいなら。」


 深呼吸してから出された条件に特に意味の在りそうなものは見当たらなかったのに首を傾げたが、特に不利益も無いので頷いておく。


 話はまとまったので外に向けて合図すると、外に出る通路が現れた。

 通路の出口は意外にも保健室に繋がっており、教室で試合は自由に見られるよと教師マタハリに教わって教室に向かうが、何故かいつもの面々しか居なかった。


「あら。折角余力残して帰って来たのに誰も罠一つ仕掛けてないなんて。」

「いや二人の会話全部流れてたのに、今更闇討ち出来る奴なんて居ないからね?」

 教室にいた他の同期達は全員慌てて自室に戻っていた。


 尚、最終的に優勝したのはカーリーだ。

 ジュリアンはグラトニーの次に大寮長サルモネラと戦い、勝利こそしたが後が続かずに準決勝でカーリーに敗れた。


 結果的にくじ運が予想以上に大きく、最終日の盛り上がりとしては欠けた終幕だ。

 但し、血の従者達は裏でぼろ儲けしていた。


「主が二日目勝ち抜くのは大穴扱いでしたから!

 三日目だけは荒れたけど、我々は前日で満足したんで巻き込まれませんでした!

 主も打ち上げに参加しませんか?!」


 やだ、うちの部下達引き際も完璧……?

 商売に関してはもう口を挟む必要は無さそうだ。

 本日2話投稿。後半です。

 というか章が分かれている理由が単に日付分けしたから。


ぐら「流石に下着は要らなくね?」

じゅり「好きな子に全裸要求とか切れそう。」

まわり「うん。ジュリアンは性犯罪者嫌うよね。」


 ジュリアンがグラトニーに一目惚れとか、鼻で一笑に伏すのが一般的な魔法種族です。特に今回以降、学園長に惚れるより有り得なくなったと思いますw

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