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ガラクタの学園  作者: 夕霧湖畔
第四部 教頭失脚編
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第二章 大寮長制度 01.職員会議

 会議室。

 学園において会議とは、殆どの場合責任者である学園長を除いて話し合われる。

 各教師には授業に差支えの無い形でなら自由に会議を開く権限があり、学園長の暴走に対応するため報告会を兼ねて気軽に開かれるのが常だった。


 しかし今。魔法議会の後ろ盾を背に護衛である魔女狩り四名を並べ、強権を以て議長を主張する現教頭ボルテッカを前に。

 徴集者である教師ドロテアは、昨年度と同じ感覚で会議を開いた我が身の迂闊(うかつ)さを呪う羽目になった。


「何という事だ!神聖なる学び舎の封印を一生徒、それも無能人が気軽に破るなどもっての他!であればこの件の処分は当事者の退学こそ相応しいと言えよう!」


「それは流石に無理がありますよ、教頭ボルテッカ。

 そもそも何処の封印かも聞いておりません。」

 報告を遮ったボルテッカを宥める様に、現防御学教師ムーンパレスが首を振る。


「では報告を続けます。」

 コレだ。昨年までは全員が座ったまま手を挙げて報告を読むだけで済ませて、即相談に移る。相談が無い場合は近況報告だけで良い。


 しかし今年は逐一直立不動の姿勢で席を立って、席順ごとに報告せねばならず、これが非常に面倒且つ話が進まない。

 何せ一度に話す議題は一人一つ。別の議題を持ち出す為には、報告が一周して番が回って来るのを待たねばならない。


 しかも一つの課題が終わるまでは、一切次に進めない。

(非っ常に面倒くせぇ~~~~!)

 報告を幾度も遮られて他の教師達から同情の眼差しを向けられながら、漸く話し終えて席に就ける。


「不可能ですよ教頭ボルテッカ。生徒の退学云々は学園長だけが持つ権限です。

 そもそもこの場は正式な決定をする場では無く、対応を協議する場だ。」

(だから他の者にも自由発言を認めろや。あの封印の事聞けね~だろ。)


「しかし、既に退学に必要な条件は出揃っているのでは?

 何故そこまで無能人を庇うのですか?」

(そっちの話してないからな!後こじつけるな!)


 そもそも現地に謎の封印があった事の方が問題だ。お前ら何の為に此処に来たのかと小一時間問い詰めたい。いや面倒だけど。

(原因も理由も確かめる前から、何でもかんでも無能人の所為で話を終わらせないでくれませんかねぇ?)


 他の教師達も中々口を挟めず段々投げ遣りになっている。

 事実上、この場に上がっている議題は無能人の処罰、それだけになりつつある。


 そもそもこの件。他の教師達は全く知らなかったのかと言われれば、首を傾げざるを得ないと思っている。

 確信は無いが、もしやと思っている心当たりがありそうな空気なのだ。


(今後は会議の場で話すのは、止めた方が良いかも知れんね。)

 今までは半分雑談序でに近況や疑問を報告し合う場だったが、学園の裏事情を何も知らない魔女狩り達の前で、迂闊に話す訳にも行かない。


 そういった物事を円滑に進める為の話し合いを、単純に自分が優位に立つ為だけに用いられては詳しく説明する気も失せる。


(とは言え、相手がグラトニーだからなぁ……。)

 ぶっちゃけ不意を狙われたらドロテアも死ぬかも位には思うようになった。

 まさか殺される事はあるまいと高を括って権力を振るった場合……。


(口を挟まないと、魔女どころじゃ無くなるかもなぁ。)

 今、教頭殿は何故か魔法議会の権威の話を教師ムーンパレスにご高説垂れ始め、教師ギャザリスの横槍に振り回されて。

 いよいよ議題そっちのけで無能人排斥を主張し始めている。


 いや。どう口を挟めと、頭を抱えていると不意に室内に影が差す。

「いやはや。会議は中々に順調のようだね。」

 物陰から進み出たのは皮肉気な笑みを浮かべた学園長、ダーククロウ。


「おや丁度良かった学園長。

 あなたに教員一同でお願い「ふむ。後にしてくれ。」。」

「   。」

 は、は、は。ざまあ見ろと学園長の性格の悪さに、少しだけ留飲(りゅういん)を下げる。


「いやぁ、教師ドロテアには迷惑をかけたね。

 正直うちの学園ってマニュアルとか無いんだよね。引継ぎとか前任者任せなんで突発的な退職とかあると、どうしても抜けが出ちゃう。

 この会議も、元はそう言った教師同士の勉強会が始まりなんだよ。」


「いえいえ。こうして学園長自らいらっしゃったという事は、封印について何かご存じなのでしょう?」

 ひくり。教師ドロテアの頬が引きつり嫌な悪寒が背筋に走る。


「うん。だってぶっちゃけアレ、あの塔の動力源だもの。

 あの怨霊猫が成仏するまでに撒き散らした邪気を、浄化して上層階に留めたものが次第にエーテル化して魔物になっているんだよ。」

「「「は?」」」


 やっぱりという顔が半分。残りは揃って鳩が豆鉄砲を喰らったような顔をする。

 内心そちら側に組みしてしまった事実が、まるで現教頭と同類と言われたみたいで教師ドロテアの内心を著しく揺さぶる。


「いやいやいや!何であんな危険物を?!」

「いやぁだって初心者向けのダンジョンなんて、そんな天然で都合良く発生する訳無いでしょ。

 世間一般でダンジョンと呼ばれるものは全て学園基準でCランク以上だよ。

 EランクDランクは全て同じような原理の人工ダンジョンだよ。」


 イ マ、 ()| ()| () イ ッ タ ?


「は、はぁーーーーー?!が、学園はダンジョンを増築しているんですか?!

 ダンジョンはマナ溜りから溢れる魔物を分散させて小物化させて、駆除し易くするためのものですよね?」


 それって学園は危険物を増産しているって意味ですかと、半ば錯乱しながら問い詰めるボルテッカだが。


「コレ上層部では公然の秘密だよ?魔法議会の紐付きが何で知らないのさ。」

 開いた口が塞がらぬままでいると、教師ムーンパレスに肩を叩かれる。


「序でに言うとアレ、学生達への隠しボーナスでもあるんだよね。

 という訳で、教師ドロテアは『おめでとう。あの希少素材は君の物だ。』とでも伝えといてくれ給え。


 ああ『解いたら不味い封印の前には番人がいる。隠されているだけの封印は全部自己責任で解いて構わない。』と補足しといてくれ。」


「ちょ!その自己責任の詳細!」

 ハハハと笑う学園長に、思わず立ち上がったドロテアが問い質す。


「自己責任は自己責任さ。今回だって負けたら普通に死ぬ訳だし。

 あっと、クラン結成は三学年だから今は仮チームか。じゃあ彼女のチームをCランクに昇格させるのを忘れないでね。」


「戦ったのは事実上彼女一人です。せめてDランクを経験させるべきでは?」

「別にDランク以下を禁じた訳じゃない。

 Cランクに突入して死亡者が出ても、単に自分達の責任だろう?」


「いやいや!そんな授業で簡単に死者出しても困るぞ!」

 流石に慌てて口を挟むボルテッカにしかし、学園長は答える事無く爆発する煙の中に消えて居なくなってしまう。


 余りの傍若無人(ぼうじゃくぶじん)振りに絶句していると、教師ムーンパレスがそのまま解散を告げて皆が教頭ボルテッカを放置し席を立つ。

 慌ててドロテアも退席し、事態に思考が追い付いたボルテッカが会議室の中で金切り声を上げていた。


 廊下を歩きながら溜息を吐くドロテアは、ムーンパレスにお疲れ様と肩を叩かれ今日は一杯奢ると呑みに誘われる。

 色々疲れたので、お誘いは有難く受ける事にして序でに尋ねる。


「教師ムーンパレスは今回の降格、どう思ってるんですか?」

「ん?ああ、別にオレの降格はちょくちょくあるんだよ。

 大抵は魔法議会との軋轢(あつれき)だが、次点は人手不足の穴埋めだな。

 まあ今回は都合良く使える人手も増えてるし、当分は骨休めさせて貰うさ。」


 教師歴が長くなれば今日みたいな事は時々あると言われ、教員達に距離が出来る時期は個人的に相談し合うのが常だとコツの様に語られる。


 どうやらドロテアは自覚以上に新米教師だったらしいと、無茶振りに慣れた先輩方の背に宜しくお願いしますと声をかけた。

 今日の呑み会では、ちょっとぐらい愚痴を漏らしてみよう。

 本日2話投稿、前編です。

 教師ドロテア視点、前回の報告と相談の顛末。

 学園長に報告しても仕事しないから、教員同士でこんな事ありましたけどどうしますかと、自分の権限から逸脱しているっぽい事態を相談する場。まあ職員会議一歩手前です。

 一歩手前を自分への報告会扱いしている教頭ボルテッカですが、まあ学園長は無視。

 ダンジョンの難易度は全く重要じゃ無いですwグラトニーが一人で突っ込んだダンジョンが既にB寄りのCなんでw

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