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ガラクタの学園  作者: 夕霧湖畔
第三部 襲撃の魔女編
54/211

03.先駆者寮に

 教頭ムーンパレスは事態に気付いて直ぐ、最初に会った教師に指示を出して先駆者(パイオニア)寮へ向かった。

 教師ドロテアからの報告は明らかに部分的に言葉を濁されていたが、肝心な所は余さず把握出来ていたし、何より予想は付いていたからだ。


 この手の事柄は事実さえ分かっていれば、言質や記録を残す方が危ない。

 ムーンパレスは学園外との折半を長年繰り返す事で、その重要性を殊の外痛感していたからこそ黙って見ていたのだ。


 実際教師ドロテアは判断が甘い。禁忌の僕達が事を起こすのなら運命の子、ジュリアンを巻き込んでのものだ。グラトニーは不安材料、異分子に過ぎない。

 だからこそ最初に先駆者(パイオニア)寮に辿り着いた時、違和感を覚えた。


「何処だ?ここは?」

 生徒は知らない事だが、実は寮宿舎は地上に無い。

 地上の寮は地下の寮の複製であり、投影されたコピーだ。

 地上の出入り口から入った際、登録された者達だけが地下に転移し、他は作動しない。


 だがムーンパレスが入った場所は寮の中どころか、見た事も無い無人の密室だった。

(出入り口に細工された?馬鹿な、現実的じゃないだろうそれは。)

 学園施設に手を加えるなど、余程学園に精通した者にしか出来ない。何より十五年以後の教師には知らされてすらいない事実だ。


 そういう意味では教師ドロテア、ナイトメアには可能性すらない。

「自力で気付くとすれば、教師マルガルか?」

「残念。時間切れですよ教師ムーンパレス。」


「ッ?!」

 誰かの声が聞こえると同時に、防御呪具が悉く(ことごと)破壊された衝撃と共に猛烈な眩暈(めまい)が体を蝕み、その場に倒れ込む。


(今、オレの事を、教師と呼ん、だか?)

 やはり教師ドロテアは含まれない。彼女が学生だった時は既に教頭だった。

 ムーンパレスが教頭に着任したのは、当時学生だったナイトバロンが学園に潜入した魔女と交戦した際に、前教頭が戦死したからだ。

 生徒だったマルガルの親友が、魔女としての力を振るって生徒達を庇った事で学園長に処刑された、とても後味の悪い事件だった。


 暗転する視界には、暗がりの足元しか見えない。

 ローブに身を包んだ相手の顔は隠れている。

 だがもし、犯人がマルガルだったのなら。

 まあ、殺されるのは当然だ。

 本日2話投稿分、後半です。超伏線回。

 物凄く短いけど、前話と一まとめにすると違和感があったので別にしました。

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