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ガラクタの学園  作者: 夕霧湖畔
第三部 襲撃の魔女編
46/211

02.購買祭でデート?

「という訳で、次は場所の分かっている旧校舎にしようと思うんだ。」

 事情を話せるほど親しい友達はサンドライトとパトリシアとポートガスだけだ。

 正直、同じ寮に男友達が欲しい。別に彼女達は嫌いじゃないけど、ね?


 特にパトリシアさんが妙に無防備で、時々当たる感触が非常に気になる。

 サンドライト曰く元々こういう子だったらしいけど、友人としてフォローを、ね?

(元々相談されていたから結果オーライって事で。

 まあ絶対うちの主殿より幸せになれるし。)


 購買祭でグラトニーと一緒に回る約束をしたが、デート資金は魔力結晶を頑張ってれば結構稼げたのでそんなに心配はしなかった。後で相場知って若干後悔したが。


 淑女の会とやらの騒動で実はグラトニーが二学年三強と接戦していたという話はジュリアンに危機感を与えた。一応総合ならジュリアンも先駆者(パイオニア)寮で学年トップになれた。

 けれど現状維持は駄目だ。何より例の《塔》は一桁の壁すら越えられない。


「良いと思いますよ?最低限例の呪詛からは身を守れないと卒業出来なそうですし。」

 尚、パトリシアは反対したかったらしいが反論も出来なかったと後で聞いた。


 旧校舎に入るだけなら簡単だったが、中には番人と思しき怪物達がいた。

 怪物というのは、魔物達であれば死体が残る筈だからだ。というより、ひょっとしたら幻覚の類かも知れない。教室で飛んできた机や椅子は、外に出なかったので別物だろう。


 廊下でゴム製の人体模型に襲われた時は流石に慌てたが、誰かが『盾よ』で受け止めて他が『幻の剣』で倒す。授業通りの手順で対処出来た。

 先頭ジュリアンに最後尾ポートガスで盾係、左右兼真ん中のパトリシアとサンドライトが剣係だ。数が出た時は大変だったが、距離さえあれば対処出来た。


 上の階に進むと魔法生物ですら無い気がするケーキや板チョコ等の怪物に襲われたが、そういう時は『火花よ』の呪文で大体何とかなった。


 二階以上には行けなかった時は慌てたが、記録では屋上になっていたと言われて妙な恥をかいた他は、順調に地下階へと辿り着き、豪勢なドレスを着た女性に会った。

 正直、顔は多分普通だったと思う。オルガノンさんの次だったからかも知れない、

 ……いや。あの凄い数の金髪ロールのボリュームの印象が強過ぎた。素直に認めよう。


 貴族もかくやという花柄の壁の客室で持て成されながら要件を聞かれ、オルガノンさんと話した事、七不思議の試験を受けに来たと説明すると、とても沈痛な顔をされた。

 勿論互いの自己紹介はした。彼女は旧校舎の番人だという。道具を手入れする用務員でもあり、学生の侵入は大目に見るが、本来は立ち入り禁止区域だと説明された。


「まあ私の試験は腕試しの様な野蛮な試練だったりはしないわ。

 そこの金庫の扉の謎かけを解いて、中身を手に入れられたら合格よ。」


 金庫には四つの円盤に絵と文字と数字と記号が記されており、パターンだけで何通りになるかと皆がうんざりしたが、開けて良いのは代表者一人だという。

 交代で試すのは駄目だと言われて、共通項がルールに関わる何かだと考えると一つに絞れる事に気付くとあっさり扉を開ける事が出来た。


「おめでとう。中身はあなたの物よ、そして他の七不思議の手掛かりもね。」

 少し気になったのでこの試練は何を試したかったのか駄目元で聞いたら、実は性格診断や慎重さの確認を兼ねていて、人によって円盤の内容が違って見えるのだという。


 謎解きの文面自体が契約魔術の様式になっており、正解した途端呪われる類の禁呪等も存在したので、この手の謎解きは正解を即口に出さないのが常識だと教わった。

「正解を口に出さず、手を動かしたのは大事よ。

 勝手な事をすれば信頼を失うけど、あなたは試して良いかを確認してから開けた。

 その手の気遣いは忘れないようにしなさい。」




 金庫の中にあった勲章の様な物は、触れると体の中に溶け込むように消えた。

 無くなった訳では無くて、胸元には今も紋章の様な跡がある。

 名前は【浄化の盾】といい、『誇りを』と唱えれば好きな手に出せて、『輝け』の呪文で毒や病気、呪詛などを打ち消し、押し返す力があるらしい。


「これも父さんの遺産って話だけど、少し都合が良過ぎる気もするよな……。」

 盾のお陰で十人の壁は辛うじて超えられるようになったが、グラトニーは多分一人で旧校舎を突破した筈だ。購買祭もあるし、魔力結晶も増やしたい。

 森へは未だ行けないし、次の七不思議の場所が分かるまで《塔》で三十人抜きを目標にしようと思っていたら。


「オルガノンさん相談に乗って下さい!同級生の女の子に告白されたんです!

 一度は断ったんですけど受け入れてくれなくて!」

「それ私に相談するの?」


 あの時は本当に申し訳なかったと思う。ちょっと友人関係に悩んだのもあるが、教師に相談出来ない理由を話すととても深い溜め息を吐かれた。


「つまり貴方の好きな相手がグラトニーで、告白してきた娘が貴方の後に来たパトリシアで、好きな相手がいるからと断ったのね?

 で。告白してないのに断られるのは納得出来ないと、抗議された訳ね?」


 更に言えば、グラトニーは危険だから自分の方が幸せに出来ると言われた。

「うん。まあ教師友人揃ってパトリシアの側に付きそうね。それで?

 その後あなたは反論出来ぬままここへ来た。なら改めて聞きましょうか。

 あなたが()()()()()()()()()()()()()のは何故?」


「っ!!……多分、今のグラトニーは好き嫌いを理解出来ません。

 グラトニーは感情が無い訳じゃない。先ず彼女の特別にならないと俺はスタートラインにすら立てない、から、です……。」


 口に出すのは勇気が必要だった。自分は未だ彼女にとって、いつでも殺せる味方以外の誰かだ。ジュリアンはそれを半ば確信している。


「……でしょうね。今のグラトニーには脅威かそれ以外、味方か敵か程度の区別しかないと私も見ているわ。貴方は彼女に第三の視点を持って欲しいと思っている。

 ……そのために、彼女を一番に考えた上で反対出来る存在になりたいと思っている。」


 合っているかしら?と殆ど確認に近い問い。まさか全部見透かされるとは思わなかった反面、相談したのは当たりだったと肩の力が抜ける思いで頷いた。

「……あなたもパトリシアも人生経験が足りていないわ。

 試しに一度デートでもしてみなさい。後でグラトニーともするって条件で。」


 それは二股では無いかと思ったが、カップルは結婚のお試し期間みたいなものだと逆に諭され、二人が上手く行く前提だって希望的観測だと指摘された。


「改めて付き合うかどうかはお互いの好みを知ってから、二年になる前に結論を出す方向で相談してみなさい。異性の友人だって世の中にはいるわ。

 後、断る時にグラトニーとの関係は持ち出さない事。」


 晴れやかな気分で椅子から立ち上がり、お礼を言って別れたが。

「デートの回数を最初に明言しなかったのは失敗だった……!」


 購買祭までに三度デートしたが、肝心のグラトニーを誘うのは一度も成功していない。




 購買祭当日。

 まさか本番の二学年以降にグラトニーと回れなくなるとは思わなかった。


 正直、友人達以外からジュリアンがグラトニーの傍にいるのは歓迎されているのは理解していたが、一学年を回った時のグラトニーは酷かった。


 先ず思った事をはっきり、的確に口に出す。悪口というには余りにも指摘が適切過ぎていっそ助言とも言える程正確に駄目出しする。問題点や失敗箇所を見抜く。

 開き直って聞く事が出来ればまだ良いが、普通に心が折れた同級生が蹲っ(うずくま)ていく。


 二学年なら流石に二の舞は無いと言い聞かせた所で、用事があるからと一時解散の流れとなり、偶々パトリシア達と合流した事もあり二人で回る事になった。

 サンドライトは目当ての所があったらしく、別行動を選んだと言っていた。


 正直、嫌々かと言われればそうでもない。一緒に回っていて肩の力は入らないし、軽口も叩き易い。はっきり言って一緒にいて楽しい。


 途中の露店で開け方の分からないパズルの箱を捨て値で買い取ったら、中から七不思議の、それも秘密の森と思われる地図が出てきたりとトラブルはあったが、それもどちらかと言えば幸運の類だろう。

 尚の事申し訳無さが際立つのだが、かといって恥を掻かせるのも間違っている。


 葛藤(かっとう)が振り切れぬまま次の天幕へ向かうと、後ろから「待てぃ!」と声が聞こえた。

「人目を気にせずいちゃつくカップルめ!貴様には人の心が無いのか!」

「何よ!折角の良い雰囲気を邪魔するあなたこそ人の心なんか無いじゃない!」

「ぐはぁ!!」


 ここですっと箒を取り出して強引にでも二人で逃げようとした俺は悪くないと思う。

 が、男はそれがいちゃつきだと取ったらしい。鼻血を出す程怒り出して泣き叫び、種に見える何かを噛み砕いて呑み込む。


「刮目するが良い!これが嫉妬の怒り、ブ男による復讐の鉄槌だ!」

 男は見る間に巨大化し、大猿の様な大男と化して拳を振り回して襲い掛かった。

 巨人というには小さく常人では有り得ない程大きく。全身を歪な剛毛で蔽われて。


「く、『(つぶて)よ、貫け』!『火花よ、殴れ』!」

「イタ!痛ぁいッ!!」

 普通に効いて転んだので、ちょっと呆然としてたら。


「てめぇ!よくも俺の店壊しやがったな!」

 巻き込まれた周りの先輩達が一斉に『礫』や『火花』で攻撃し始めた。誰も『幻の剣』を使わなかった当たり手加減してたと思うが、流石に一方的過ぎて同情した。


 その後事情聴取やら後始末やらで時間が潰れ、最後の方だけ見て回れたものの、グラトニーとは合流出来ずに終わってしまった。


 本日投稿分、二話目です。ジュリアン編その二。

 パトリシア「当ててんのよ」。この辺からジュリアンが察するのが苦手だと気付きました。

 購買祭でグラトニーが認識していなかった恋のライバル?です。


 旧校舎の正しい攻略法。一般的な一学年エリートの姿です。

 当然茶会さんも発狂しないw


 紙が言っているのは「先ず友達としてデートの練習を」という意味ですね。

 でも実は彼女も恋人を作らなかった人なので、デート自体のアドバイスは出来ませんw

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