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ガラクタの学園  作者: 夕霧湖畔
第三部 襲撃の魔女編
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序章 大罪の会合

 学園七不思議の一つ、鏡の世界。

 校内の何処か四時四十四分四番目の鏡に触れると鏡の世界に閉じ込められる。


 この噂は半分以上デマだ。鏡の世界に入れる鏡は一つだが、それは学園全ての鏡が対象となっており、実は毎日毎回出入口が変わる。

 偶然以外の方法で入りたいのなら、専用の手鏡の呪具を入手する事だ。


 手鏡に映した学園の鏡は呪文を唱える事で全て扉に代わり、いつでも自由に中に入る事が出来る。但し最後に入るのは手鏡の持ち主に限る。

 これは同行者が立ち入りするための手順でもある。鏡に複数の鏡を映しても無駄だ。

 一番近くの鏡しか意味が無いし、鏡が小さ過ぎても単に入れないだけだ。


 鏡の部屋の主は、そもそも立ち入りを拒む事が出来る。

 詰まり、殆どの学生が訪れた鏡の部屋と言うのは、実は玄関先だけだ。




 鏡の部屋は誰の監視の目も届かない。ある意味でそのために特化した空間だからだ。

 よって密談には最適で、グラトニーは此処を利用して目的地の最短距離に現れる。

 今後は秘密の森の地下住居も移動先に加わる旨を伝える場として、二人の魔女がこの場で会席している。

 傀儡子(くぐつし)の魔女クリス・クロノイドと鏡の魔女ラビリスだ。


「仲悪いの?」

「「いいえ。単に相性が悪いだけよ。」」

 口を揃えて睨み合う二人。埒が明かないとグラトニーが事情を説明する事にした。


「――と、言う訳よ。で、何が気に食わないのか順番に言って。」

 グラトニーの指摘に、一瞬視線で譲り合ってからクリスが口を開く。


「私は別に嫌ってなんかいないわよ。

 ただ、何というか、劣等感があるわね。天才肌なのよこの子。」

「はぁ!劣等感持ってる奴が何で人の世話焼こうとするのよ!

 適当言ってんじゃないわよ!」


 あれ。何か始まった。というか不満ってそっち?


「いや、だってそれはそれでしょ!親友の為に必死になってる子みたら出来る限りの事をしたいと思うのは当然でしょ?!悪い!?」

「だからそれの何処が苦手なのよ!大体私は大人よ!あんた母親か!」


「そういう事はちゃんと洗濯とか掃除とか小まめにやってから言いなさいよ!

 グラトニーが来るまでしょっちゅうやつれて死にかけてたじゃない!」

「魔女が簡単に死ぬ訳無いでしょ!」


「『傲慢』。二人とも手を組む事自体に抵抗は無いって解釈で合ってる?」

「「はい。」」

 取り敢えず恐怖衝動をぶつけて話し進めると、揃って気まずい顔で頷く。


「取り敢えず私があなた達にやって欲しい事は鍛錬と師匠役よ。

 後は来るべき時の準備。学園長は敵よ、交渉の余地は無いわ。油断でしか無いもの。」

「まあそこは止むを得ないわね。私達の自由の為にもあの学園長だけは邪魔だもの。」

「あら意外ね。人殺しはいけないとでも言うかと思ってたわ。」


 鼻で笑うラビリスにクリスは微妙に視線を逸らす。

「いや。学園長以外なら言うけど、あいつだけはちょっと当然かなって……。」

「何か脅せそうな悪事とかある?」

 グラトニーの言葉にそれぞれが明後日の方角を向く。


「秘密の森は、学園死亡者数最多です。私の人形、侵入者の見張りまで。」

 強引に入ったら止めてはならないというルールあり。言わば自宅周辺が殺人現場。


「情報収集のために一時期学園長室の鏡を監視しようとした事があったの。

 黒髪系無修正エロ本コレクションを投影する魔術が、全ての鏡にかかっているわ。」


「最低の仕返しね……。」

 クリスの視線がひえっひえである。

 それを抜きにしてもラビリスには禁忌防衛戦の際に親友を捨て駒にされた恨みがある。


「確認するけど、魔女の中に学園長に味方しそうなのは?」


「最有力が紙で、こっちは承諾を得たのよね?

 なら微妙なのは一人。制約で知らない相手に魔女の情報は私達全員漏らせないわ。

 茶会は私が味方になったなら最低でも中立だろうし、全員説得は必要なの?」


「紙が中立だと茶会も微妙。出来ればもう一人必要ね。

 残る魔女は二人でしたか?」


 クリスの発言を訂正するラビリス。少し気になるので、頷いてから口を開く。

「魔女の名前を言わないのは制約の所為?」


「いえ。魔術において本名は時に相手を特定する手段になるんです。

 場合によっては盗聴に利用される事もあるので。」

「まあ異名持ちの魔女は大抵異名で呼ぶ方が安全って事ね。特に私達密談中だし。」

「成程。」


「発動具は特に教えてないのよね?理由を聞いても?」

「一つは紙の方が教えるのが巧いからよ。二つ目は私の秘奥は三年でも至難。」

 適性が分かってある程度魔術に熟練してからという話になっていた。

「当分は密談場所と移動手段の提供でも充分よ。」


「じゃあ紙に確認してから、私が人形発動具と他の発動具の加工の仕方を教えるわ。

 冬季休暇の間は通常の特訓以外を人形作りに充てるべきね。」


「ふむ。理由は?」

「発動具は素材によって傾向があるだけで同じには中々出来ないわ。

 手札隠すなら発動具か呪詛の詳細ね。人形は魔導書さえ見せれば違法性は無いもの。

 人形は複数作ってこそだから手の内も隠し易いわ。」


「近々動きがあるなら、備えとして次に進むのも良いかと。」

 この二人、第三者が入れば普通に相性良いのでは?

 新章突入です。一部の魔女同士は顔見知り。

 互いの許可があれば、相手の部屋だけは訪れる事が出来ます。


 短いので第一章の始まりも同時投稿してます。

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