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ガラクタの学園  作者: 夕霧湖畔
第二部 平和な学園編
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03.防御学の熱血教師

 防御学の教師ナイトメアの補講を受けに行くと、少し驚いた顔で首を捻った。

「いや。お前は呪詛を制御出来る様になったから、もう来ないかと思っていたぞ。」

「何言ってるの。私は少しでも早く強くなりたんだから、集れるだけ集るわよ?」

 エーテル球を帽子の飾りの如く付けたりと、一人で出来る特訓は常に続けている。

 教師抜きでは出来ない訓練があるのだから、可能な限りやるべきだと思っていたが。


「お、おうそうか。集るって表現は兎も角、まじめに勉強するのは良い事だぜ。

 そういや最近呪詛対策を聞きに来る学生がやたら増えているんだが、お前さん何かやらかしたのか?」


 トラブルがあったなら報告しろよ?と言われるが。

「多分淑女の会が発破をかけたからね。

 報告するとしたら向こうの方じゃないかしら?」

「はぁ?!淑女の会って何やったんだよ?!ちょっと待て詳しく聞かせてくれ。」

「?別に構わないけど、補講と同時進行でお願いね?」

「いや、先ずは講義の確認から入るから同時は無理だ。」

 そうなの?とは疑問に思ったが、取り敢えず話は聞いてみる。


「言っちゃ悪いが、魔法使いの手数は防御学に限って言えば有効じゃない。

 毎回適切に選べるなら良いが、多くは咄嗟だ。呪文は数覚えるより一学期に覚えた中で自分に合った術を兎に角早く唱え、完璧に繰り返せる様になる。これが全てだ。

 授業でも言ったろ?二学期からは呪文以外を扱うって。」

「ええ、そうね。」

 呪文は『盾』、『石壁』、『落ちろ』、『蔓よ』の四つか。まあ確かに数増えても意味は無いかも知れない。


「だから二学期以降は身代わりや耐性強化のお守り、呪具作りが主流になるんだ。

 二年以降も同じでより強い防御呪具を作製する授業になる。さて、以前俺が言ってた、防御学は一定以上の学年を過ぎると不人気だって訳、察しが付かないか?」

「ああ、成程。モノ作りが苦手な魔法使いが自作するより、金で買い漁った方が高い効果が得られるわけね?」

「その通り。三学年まで粘れば別の道も見えてくるんだが、大抵はな?」

 諦めるか手を抜く方が多い訳か。で。今やる事も。


「その通り。先ず色々なお守り作りから始める。ま、購買祭が近いから今はマシだ。」

 無駄にはならないが、効果の低いお守りを数作る意味は薄いのか。

「でもまぁ。材料費は学園持ちでしょ?」

「……ま、まあな。じっくり作らせてやるから、淑女の会絡みをちゃんと教えろ。」


 覚えてたか。まぁ、都合が良い面もあるので、一通り手の内以外の前後関係の話を説明すると、教師ナイトメアは口笛を吹いてやるねぇと称賛した。

「意外ね。あなたって無能人なんでしょ?純血には反感を抱いているのかと。」

 不意のグラトニーの指摘に硬直し、自身の失敗に気付いてああくそ、と膝を叩いて素直に肯定する。


「その通りだよ。一体誰に聞いたんだかね。」

「誰でも良いわ。それよりあなた無能人なんでしょ?

 学園を卒業した記録が無いって話は何処まで本当なの?」


「全部だ。と言ってもどんな噂を聞いたか知らないが、俺が四学年になったら十中八九闇に葬られるって思ってたし、実際そうなったらしい先輩もいたんでな。

 必死で一発合格したが、気が付けば禁忌が封じられた後には俺が卒業した証拠は全部、記録上から無くなっちまっていた。

 だがまぁ。この学園の卒業生しか此処の教師資格は得られない。納得したか?」


「学園長は邪魔しなかったのね。」

「する訳ないだろ?むしろ学園長の管理責任を問われる事態だ。

 獅子身中の虫は排除され、卒業の証拠代わりに俺を此処に赴任させたのさ。」

 まあ状況は納得した。因みに教師達は概ね知っているし、学生時代からの顔見知りも多いので特に問題は起きなかったという。


「ところで、無能人は魔力を知覚出来ないらしいけど、その辺を何とかする術を習うのも三学年って話で良いのかしら?」


 グラトニーの指摘に、一瞬きょとんとした後、爆笑する教師ナイトメア。

「あははははは!ああ、そうだよその通りだ。

 呪印術って言ってな。直接肉体に呪文等の魔法効果のある紋を刻み込む。

 そしてお前さんの予想通り、これを肉体に刻み魔法に対する抵抗力を上げる手段も防御学で習う。まぁ、簡単に説明だけしておこう。」


 先ず無能人限定の『知覚紋』、五感の一つと同化して魔力を知覚させる術式だが、使うほどに同化させた感覚に負担がかかり、感知力と引き換えに対象の五感を失う事も在る危険な術式だ。魔法使いの血統は自然に備わっている。


 次に類似の『制御紋』効果は魔力制御用。この二つが無能人専用呪印術だ。

「俺の場合は片目に『知覚紋』を刻んでいる。まあ、ある程度魔力に習熟すると使わなくても知覚出来る様になる。失明もしていないぜ。

 昔のスカウトは呪印術が不要な相手に限っていたらしいな。」


 そして最後『魔性紋』。魔力干渉を遮るため、高い防御力と即効性を誇り、中には自動発動型の術式もあったという。

「けどまぁ。呪印術は三年になるまで他の魔法を使い慣れればデメリットもかなり減る。

 序でに言うと呪印術だけじゃないぜ?」


 その言葉にピンときた。

「もしかして、強い防御呪文には専用の発動具が必要になる?」


「……まいったね。大当たりだ。

 よし!そこまで優秀なお前さんにはご褒美として大盤振る舞いをしてやろう!

 お守りを一定数作り終えたら二学年の授業を先取りしてやる!

 先ずは『火避けのお守り』から始めるぞ!」

 え?今日から?結構今迄の話だけで、単位時間分過ぎているんだけど?


 21/5/22 本日は二話同時投稿しています。

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