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ガラクタの学園  作者: 夕霧湖畔
最終章B
207/211

02.微睡む猫の夢の中

※こちらはジュリアンエンド、後半です。前半も同日投稿されているのでご注意を。

 その後の混乱は、殆どが記録に残っていない。


 理由の大部分はやはり、当時の者達が問答無用で部外者であったからだ。

 そもそも別の魔法世界で起きた事は、人伝でしか把握(はあく)出来ないのが魔法世界の常で在り限界だ。


 《水晶球》や《魔鏡》は確かに他世界と繋げる事は出来るが、通信相手という縁が双方に必要になる。

 にも拘らずこの事件が正確に全ての魔法種族に伝わったのは、アヴァロンという〔カダス領主〕による通信網が猛威(もうい)を振るったからに他ならない。


 具体的にはおよそ殆どの魔法世界の空にカダスの住民が撮影した景色を投影していたためだ。ある意味魔法世界の冥府の番人とも呼べる彼らは、魔法種族にとって最も縁が切れない必ず何処かにはいる謎の存在だった。


 それは議長のいない〔魔法議会〕においても同様だった。




何故(なぜ)も何も、我々に投影を止める権限は無い。

 決定権は領主様にある。そしてこれを映しているのがその領主様だ。」


 異形の人影の表情は見えない。だがその発言は驚愕(きょうがく)に値した。


「なっ!では〔カダス〕は魔女に与したというのかっ!」

 その瞬間、殺気が議員達を()で空気が凍る。


「発言には気を付けて貰おう。我々は魔女などという肩書とは無関係に動く。

 それは魔女狩りが魔女殺しに絶対条件を付けるのと同様にな。」

 だが、と腰を抜かした議員から空へと視線を移し。


「あの方は我々とは全く異なる視点で動く。

 我々にあの方の考えは決して測れぬ。」


  ◇◆◇◆◇◆◇◆


 グラトニーの宣言を聞いた〔大王〕キングは慌てて〔総大将〕カリギュラを解放しようとしたが、その時には既に〔狼王〕クルトーも空を見ながら必死に頭を巡らせていた。


「そ、総大将!このまま放置するのは不味い!

 今直ぐあの結界を突破出来そうか?!」


「ぐ、ま、未だ無理だ。動けるようになっただけで、魔力はまるで足らん!」


「待って下さい。そもそも我々は、阻止出来ない。

 いえ、阻止してはなりません。」


「クルトー!どういう事だ!」


 砂の上に様々な図を書き、各勢力の動きの予想をずっと立て続けているクルトーの言葉に、キングはカリギュラを一旦抑える様にと肩を叩く。

「説明しろ。簡潔(かんけつ)にだ。」



「先ず大罪の言葉通りなら我々は二百年の猶予(ゆうよ)を得ます。


 現状ジュリアンは我々の味方をしない可能性が高い。

 運命の子を手にかけた時我々が魔法世界の支持を失うのは確実。立て直せない。


 今の宣言は魔法世界全土に届いている可能性が高い。大罪を討ち取れなければ(せき)は全て我々が被る事になる。


 そもそも大罪一人に我々の戦力は足りない。戦うにしても立て直しは必須(ひっす)です。

 立て直すなら周囲を説得する時間は絶対に必要です。」



 そこまでは魔女狩り視点の話。だがクルトーは止まらない。



「〔議会〕は分裂します。

 今回純血派は戦力を失い、純血派に禁忌討伐の功績は必須、大罪が討伐したとは認められない。

 必然大罪討伐の功績はジュリアンになり、ジュリアンを失った責は現地にいる()()()責とする筈。大罪討伐の失敗も同様です。


 大罪の()いた毒は〔議会〕の混乱により隠せなかった筈です。混血派は純血に戦力で劣っており今反乱を起こさねば好機は無い。

 混血派は始祖の意思に反したと取れる根拠を得た。混血派はジュリアンを擁護(ようご)する事はあっても〔議会〕の正統性を認めない。


 両者共に、大罪退治を優先する余裕(よゆう)は無い。寝た子を起こす危険は避けます。」



 最後に、と一言付け加え。



「〔学園〕と我々の関係は最悪です。

 大罪は学生を庇いましたが我々は〔学園〕を見捨てると宣言した。学生が解放された今、我々を糾弾(きゅうだん)する事はあっても大罪退治への共闘は無い。」



「学生の解放は……、確実なのか?」

 殆ど一息に羅列(られつ)された情報に、平静さを取り戻したカリギュラが確認する。


「確定情報は未だ。ですがあの関心の無さを見るに、確実と見るべきかと。

 恐らく解放役は〔学園〕側の者で、事前に配置されていたのだと推察(すいさつ)します。」


「……詰まり、失敗しても〔学園〕側の責任だから、大罪は無関心だと?」


「ではジュリアンとの交渉に応じたのは何故だ?」

 推測に推測を重ねるしか無いのは判っている。が。


「大罪は当初、ジュリアンを解放者の元へ向かわせる気だったかと。

 ですがその予定は、ジュリアンが契約を持ち出した事で。」


「立ち消えになった、か。」

 視線を地面にへたり込んでいるムーンパレスに向ける。今更一人となった奴が、学園の代表者として扱われる線は無いだろう。

 哀れとは思うが、こちらに同行させても意味は無い。


「……我々にとっての最悪は何だ?」


「そりゃ決まってる。眠りに就く()()()()()()()()()()我々を捕縛するため、純血派が動く事だ。だろう?」


「ッ!?」

 カリギュラの言葉に答えたのは、キング。


「ええ。というより、それが一番可能性が高い。

 〔議会〕は今なら我々を抑える事が出来る。今しかない。戦力を失った今、後日では我々を抑える手段は無い。

 何より混血派への()()()()()出来る。」


 息を吸い込み、苛立ち任せに近くの岩を蹴り砕く。

「つまり我々は、大罪を放置し早急に〔学園〕を脱出せねばならんわけか!」


  ◇◆◇◆◇◆◇◆


 とある辺境の〔魔法世界〕。そこにドラクロワ魔法議長は居た。


『お久し振りに会えて嬉しいですわ、お父様。』

『心にもない世辞(せじ)は止せ、カーリー。』


 一時は大事を取って中断していた捕虜学生達の脱出を再開しつつ、ドラクロワ(きょう)は油断も隙も無い実の娘の振る舞いを忌々(いまいま)しく思い出していた。


 そもそも今回の脱出劇も、娘の方からの提案だった。

 娘は議会との交渉の裏で自分に直接連絡を取り、〔議会〕や魔女狩りが用意する脱出路とは別の脱出先を提案して来た。


『魔女と議会との交渉は必ず決裂しますわ。

 よって別の脱出路を用意しておけば、手柄は全てお父様が独占出来る筈です。』


『ふん、何が望みだ?』

『我々全員に対する魔女の手下疑惑の撤回(てっかい)を。それ以上は望みません。』


(全く白々しい。そんな筈無かろうが。)

 昔から常にこちらの思惑の先回りをするような娘だった。深く考えない内は得体の知れない薄気味悪さを感じた事もあったが、実態は遥かに計算高かった。


 子供だと思わず接すれば、ある程度の行動は読める。だからそんな、普通程度の目的の為に、父親に花を持たせるような大人しい娘では無い。


 今、娘は席持ちの他家を従えて学生達の指揮を執っている。本来潜在的な敵の筈の他家の血族を、当主では無いとは言え容易く従える手腕は空恐ろしい。

 だが無暗に自分を失脚させるくらいなら利用する方を選ぶ筈だとも、今は確信を以っていえるのが救いか。


(だとしても、こうして思惑に乗せられるだけなのは納得が行かないがな。)


 空には大罪の通信と宣言が今も続いていたが、学生達の足が遅くなっている以外は興味も無い。所詮は魔女、都合に合わせて白黒どうとでも取れば良い。

 と思っていたら、突然その場の全員が空を見上げて叫び声をあげた。


「な、何だぁ?」

 驚いて足を捻り、痛みを治して空の会話に耳を傾けて。

(何だ何だ?これは結局痴話喧嘩(ちわげんか)か何かなのか?)


『――その条件で『契約』を結ぼう!』


 運命の子の言葉でハッとする。

(待て、まさか魔女と魔術契約を結ぶ心算なのか?!)


 そんな馬鹿なと思う一方で前後関係が分からないので、最初から聞いておけば良かったかと舌打ちする。だが。

 新たに頭上から響いた()()()に、ドラクロワ卿は平静を失う羽目になる。




 避難(ひなん)を担当していたカーリーから通信が届いたのは、正に話が終わる時だった。

 担当が避難側だけに即刻《水晶玉》を繋げると、珍しくも焦った声のカーリーが即座に口を開いた。


『繋がったわねグラトニー!単刀直入に言うわ!

 私を〔血の従者〕にして『『オーラ』を修得』させて頂戴(ちょうだい)

 私はこの魔法世界をより良き世界に変えたい!そのために始祖の秘術が欲しい!

 あなたの目的は二百年後に私達がどうなるかを振り返ること!

 であれば渦中に飛び込む私の記憶は契約の対価として相応しい筈よ!』


「っ?!」

 一息に言い切られた発言内容に、まさか『契約』絡みだとは思わず判断に迷う。


「……私は『一切手を出さない』と言った筈よ?」


『そうね。でもあなたは〔学園〕を出た後一切連絡を絶つなんて言ってたかしら?

 それに私は〔血の従者〕になると言った筈。〔従者〕なら問題無いわよね?

 一応確認するけど〔血の従者〕になったからと言って、人格が変わったり呪詛が宿るなんて事は無いのよね?』


(そう来たか。……確かに〔血の従者〕入りの期限は切ってなかったわね。)


 通信の向こうからは動揺した淑女の会の二人から自分達が代わりにという声も聞こえて来る。どうやら周囲にも説明していない突発的な行動だったらしい。


「ええ。私の呪詛を『契約』に用いるだけよ。

 契約者の人格は『願い』に含まれていない限り干渉しない。それに呪詛は人格を歪める力、私から与える気は無いわね。」


『なら問題無いわ。それで『契約』は可能かしら?』


「良いでしょう。但しあなたが最後の〔血の従者〕よ。

 少なくとも新しい〔血の従者〕を増やすとしたら二百年後以降、これ以上は一切受け入れないから、他の連中もその心算でいなさい。」


『『契約』はどうすれば良いかしら?

 あと修得した『オーラ』を誰に教えても問題無いわよね?』


「私が直接行かないと契約は出来ないわよ。

 そもそも私だから相手を選ばないだけで、『オーラ』は誰にでも修得出来る魔法じゃあ無いわ。

 教えるのは自由だけど、難易度は高いからその心算でいなさい。」


 通信を切ってジュリアンの方に向き直り、周囲を確認する。

 もう〔学園〕には何もやり残した事は無い。此処に戻る必要は無いだろう。


「という訳よ、ジュリアン。そっちはアヴァロンに任せるから、今の内にお別れを済ませておきなさい。

 私はカーリーの件が終わったら〔血の従者〕への対応を終わらせて、眠る場所を準備してからあなた達を呼ぶわ。」


「君は皆と会っていかないのか?」

「?ええ、今更特に話す事も無いわ。」

 さて。何人生き残っているのやら。




 死が渦巻いていると錯覚した。

 慌ててドラクロワ卿が〔学園〕側に入った時、形のある恐怖とはこういうものだと思い知らされた。

 黒い風が吹いたかの様に渦巻く呪詛は、まるで目に視えそうな程に濃く溢れる。

 誰一人近付けない濃厚な死の気配の中心に、カーリーが(おごそ)かに礼をしていた。


「ああ、別に〔従者〕だからって礼は不要よ?

 牙を剥かず、『契約』を守り続ける限り、細かい事は言わないわ。」


「あら。忠誠は求めないのかしら?」

「願いを叶えるために生きなさい。それが最大の忠誠よ。」

「変節は無し、ね。ある意味一番難しいのだけど。」


 平然と軽口を返した娘の前から人の形をした化け物が姿を消し、周囲から呪詛の気配が消えてようやく我に返ったドラクロワ卿は、慌てて娘に詰め寄った。


「か、カーリー!貴様、何をしたのか分かっているのか?!」

 襟首(えりくび)を掴むに任せた娘は嫣然(えんぜん)と笑みを浮かべ。


「勿論よ、お父様。これで私達の悲願、始祖の秘術が手に入ったわ。」

「?!」


 思わず手を離し、脇をすり抜けたカーリーは足を止めていた学生達に向けて声を張り上げ、発破をかける。


「さあ、あなた達も急ぎなさい!

 此処は未だ〔学園〕だと言う事を忘れないで!」

 早々に最後尾と共に辺境の扉を潜った娘を追いかけ、辺境の世界へと舞い戻る。


「さあ、大急ぎで〔議会〕へ戻るわよお父様!

 皆も私に従う者は後に続きなさい!私達は、このまま〔議会島〕の【世界核】を抑え、我らが始祖の悲願を果たしに向かう!」


 先頭を歩きながら満面の笑顔で宣言するカーリーに、学園で娘が築いたと思しき派閥の者達がそのまま列を為して付き従う。

 両脇を固めるのはやはり他家の二人娘だ。


(ま、まさか。既にこの先の展望を描き切っているのか?)

 ドラクロワ魔法議長は、もはや完全に事態が自分の手を離れたと自覚せざるを得なかった。


  ◇◆◇◆◇◆◇◆


 後の世に〔大罪会戦〕と呼ばれた一大事変。

 確かな記録が残っているのは此処までだ。


 その後の歴史の中心となったのはやはり〔女帝〕カーリー。

 足跡の全てを追う事は今でも難しく、今では実在を疑うものすら現れる始末だ。


 彼女の狡猾(こうかつ)な立ち回りはこの後遺憾(いかん)無く発揮され、本来彼女を捕える側にいても当然の立場だった魔法議長がむしろ先導者となった事で、反議長派の議員達は完全に翻弄される事となる。


 分かっている範囲では、彼らが議長の命で禁忌討伐の功労者を失い、大罪討伐に手心を加えたとして魔女狩り一派と淑女の会の三人を捕縛するよう〔学園〕に出兵した事は記録に残っている。


 だがこの直ぐ後、議長は娘のカーリーを伴い〔魔法議会島〕中枢の【世界核】を支配下に収め、魔女狩り討伐を行っていた反議長派議員へ討伐令が出ている。

 書類上は矛盾した流れだが、主導権は既に議長には無かったと言われている。


 女帝カーリーはこの時既に脱出した〔学園〕教師達と学生達を(ともな)って〔議会〕を訪れており、制圧は彼女に従う学生達がその家族を説得している間に行われた。

 魔女に与したとの意見には既に〔大罪〕は眠りに就いており、自身の意思を縛る手段は一切無いと反論。事実、彼女が大罪を優先したと思しき素振りは無い。


 彼女はそのまま魔法世界の伝説的存在、〔白の姫君〕こと〔妖精〕オルガノンを紙の魔女としての手配から解放。これを前学園長ダーククロウの悪事として糾弾(きゅうだん)

 彼女を次の〔学園長〕に任命する事で後に混血派が主流を占める〔学園〕勢力を味方に付ける事に成功。完全実力主義を(うた)い、血統に関係無く要職を独占した。




 尚、反議長派は逆に純血派を中心に勢力をまとめる事となったが、〔大罪会戦〕に介入した部隊は殆ど壊滅(かいめつ)しており戦力は最低限。

 何より魔女狩りと交戦した後というのも手痛く、彼らは二度と〔議会〕を取り戻す事無くある〔中規模魔法世界〕へと家族引き連れ脱出、籠城(ろうじょう)する。


 その後かの世界は〔純血世界〕と名乗り独立を宣言する事になるが、周囲の支持に関しては完全に先手を討たれ、後に鎖国を宣言する事となる。




 魔女狩り達も組織変革を余儀無(よぎな)くされた。


 先ず本部は一度運命の子を失った元凶として分裂。運命の子に悪と宣言された光景は全魔法世界に放送されている。

 加えて当時の〔議会〕からも直接魔女狩りへの討伐令が下された結果、〔学園〕に突入した魔女狩り達は離散し、各地に潜伏し傷を癒すしかなかった。


 だが時代は彼らの沈黙を許さず、各地で魔女狩りを悪とした糾弾と暴動が発生。

 鎮圧したのは〔議会〕で在り、魔女狩り側の弱体化は明らかになる。加えて暴動に対して全員が黙っている程、魔女狩り達は大人しい存在では無かった。


 〔総大将〕は最強であるべき。この事実は各地の魔女狩り達の暴走を招き、随所で新たな総大将を名乗る魔女狩り達によって、暴動への反抗や虐殺が行われた。


 これにより復帰した旧総大将一派が制圧に乗り出すも、一進一退。

 魔女狩りは五十年程度の時を経て〔魔女根絶(こんぜつ)派〕と〔正道派〕の二大勢力として拠点を築き、各々〔根絶島〕と〔正道島〕に集結。

 どちらも〔議会〕の介入を退け独立を宣言。これにより〔議会〕の権威失墜(しっつい)は確かなものとなった。




 一方で〔学園〕は確固とした存在感を示す事になる。

 第一に、新たな学園長となった〔妖精〕オルガノンは完全なる政治的な中立を宣言してそれを〔議会〕他多数の魔法世界に認められた。


 最大の理由は彼女が〔学園〕で『オーラ』の伝授を開始した事が理由にあった。


 〔学園〕を拒む勢力からは学生を受け入れず、一方で最初から協力関係を築いている〔女帝派〕からは積極的に学生達が送り込まれる。

 とあれば他の勢力が賛同を拒み続ける限り、魔法技術に限らず存在が周知された【世界核】への干渉権も失ってしまう。


 無論彼女への襲撃や誘拐未遂(ゆうかいみすい)は幾度もあったが、結果として魔法世界の最高戦力が〔学園〕に集う結果となり、その防衛力の高さが周知される結果となる。


 であれば〔学園〕が提示する学園内では学園側の法に優先権があると言う制約を受け入れての入学を素直に承諾(しょうだく)し、少しでも多くの技術を自分達の〔魔法世界〕に持ち帰る事を皆が優先する様になり。


 決して指導を惜しまず倫理(りんり)単位を引き換えに高度な技術を習得出来る様になる、当時の〔学園長〕の教え子達は挙って彼女を称賛(しょうさん)し、〔学園〕への攻撃を派閥を超えて阻む様になる。


 この光景は、彼女が学園長を退いた後も引き継がれる事となった。


  ◇◆◇◆◇◆◇◆


 あれから二百年以上の歳月が流れた。


 二百年経過当初は〔大罪〕の復活が猛威(もうい)を振るうと恐れられ、各地で強引な軍拡が進んでいたが、それも十数年間音沙汰が無いと下火になる。

 今や〔大罪会戦〕の話題は歴史の授業だけの話となっている。


 〔白の姫君〕の影響力は絶大だった。彼女が〔学園長〕になった事で学園の空気は百八十度違うものとなり、誰もが血統よりも品性を気にし出した。

 彼女の言葉は教え子達によって編纂(へんさん)され、辞書となって残っている。


 彼女を信仰する者達は劇的に増え、当時の教師達は最初は大丈夫かと不安を感じていたが、割と直ぐに落ちた。

 地獄を知る世代ほど善良で優秀な教育者は効く。麻薬よりも強力に。


 彼女の教え子達が五十年以上魔法世界に広まり続ければ、そりゃあ倫理も常識も別物に代わろうというものだ。

 〔城塞〕の礼拝堂には、今も彼女の彫像があり、拝まれている。


 アレの建造が引退の交換条件と言われた彼女の()()()()表情は、今も時々思い出すというか、正直自分もちょっと分かる様になった。


 とは言え、表情の分かり辛い彼女の悲嘆に気付いたのは恐らく自分他数名といなかったのではあるまいか。


「まあ、当時を昔話として語れる連中なんて何処に残っているのやら。」


 まさか自分が三百年近く生き永らえる事になろうとは全く思わなかった。

 魔法世界の住民と言えば、今でも二百年程度が平均寿命だ。自分だって恐らくは三百を超す事は無いだろう。


 背中こそ曲がっていないが、(しわ)だらけの顔はあの頃とはまるで違い、髪だって既に白以外見当たらない。

 あの〔白の姫君〕とは大違いだと、肩を解しながら窓を離れる。


「〔学園長〕サンドライト、今年の入学式は……。」

 現れた若い教師は、緊張した顔で魔法世界最年長と噂される自分に敬礼する。


「ああ、略式で行うしか無いだろうね。

 流石にあの患者(かんじゃ)達を除けて、普段通りの入学式を行う訳には行かないよ。

 そんな事をしたら、〔白の姫君〕に怒られてしまうとも。」


 それに、受け入れた以上はあの子達も生徒だよ、と注釈(ちゅうしゃく)を加える。


「入学式は二ヶ所で行う。〔病棟講堂〕と〔食堂〕の両方でね。

 〔病棟講堂〕は儂が担当しよう。〔食堂〕は未感染学生達と教頭で行って貰う。

 手筈は整っている筈だろう?」


「はは!も、勿論です〔学園長〕!」

「相変わらず(かしこ)まるねぇ。」

 もう少し学園に慣れてくれないかと思ったが。


「当然であります!〔学園長〕サンドライトと言えば、魔法世界の分岐点、〔大罪会戦〕の生き証人その人です!

 伝説と歴史の転換点を目の当たりにした偉人を前に、畏まるなと言う方が御無体というもの!どうか、寛容(かんよう)なお心で御目溢(めこぼ)しをお願い致します!」


 おや、と一時瞠目(どうもく)し、最近めっきり重くなった目を見開いてしまう。

 そうか。自分は既に若者にとって、偉人の一人だったのか。


 分かった分かったと苦笑しながら伝言を頼み、二百年前とは全く違う、城の様な廊下を歩き出す。


 いや。既に此処は、城なのだ。

 此処は七つの魔法勢力が対立し、覇を競い合う魔法世界の中で。

 唯一にして無二の中立世界〔城塞学園〕。


 生徒であればあらゆる人種、勢力を受け入れ、しかしどの派閥にも与しない最も古い歴史を語る、生き証人達が築き上げた要塞(ようさい)島。

 此処より武力を持つ世界は多々あれど、此処ほど堅牢(けんろう)な魔法世界は存在しない。


 何よりここは、全ての魔法世界で最も医療が進んでいる〔医術世界〕の異名をも持ち合わせていた。

 同時に、此処で治らない病を治す手段は、魔法世界に存在しない。


(全く。こんな凡人が最年長で、しかも〔学園長〕だなんて世も末だね。)

 かつての〔講堂〕も〔旧校舎〕も今は無い。


 今あるのは三階建ての病棟を平時の講堂として使う〔病棟講堂〕。

 緊急時だけの非常手段として、いつでも大量の患者を受け入れられる様に〔白の姫君〕の要望という名の軽口が叶えられる形で建造された代物だ。

 軽口だった。後で知っていたのかと、サンドライトが詰め寄られる程度には。


 その当時は勢いで出来た、サンドライトが足を運んだ〔病棟講堂〕には、今大勢の新入生と、患者家族達が集まっている。


 中に入れば、殆ど治療担当者以外の全員が、体の何処かに異形を抱えていた。

 顔から羽が生える者。腕の関節の数が増える者。脚が鉤爪に変わる者など。


 そして今。魔法世界全土では〔羽化病〕と名付けられた奇病が蔓延(まんえん)していた。

 当然の事ながら、その治療法は存在していない。




 分かっている事は少し。直接的な死因になった者は今の所いないという事。

 そして、中には自然完治する者がいるという事。


 そして最後に、『オーラ』がある程度の沈静化に有効だという事。


 分かっているのはこれだけで、だからこそ最も多く『オーラ』の使い手を(よう)する〔城塞〕に患者が集まっている。

 彼らを拒絶する様な理念は、〔城塞〕に存在していない。


 流石に全てを受け入れるには場所が足らないので、新入生とその家族までと制限を付けさせて貰っている。それでこの有様だ。

 しかもこの病、稀に感染するらしい。


 とは言え、確信は無い。元となる病原菌の類は確認されていないし、元々健康体だった者が発症する事も珍しくない。


(あなただったら治療法を知っていたんですかね、〔白の姫君〕。)

 返答はともかく、恐らくはもう生きていないのだろう。サンドライトの知る彼女であれば、知れば必ず研究成果なり治療法なりを伝えに来た筈だ。


 死人を当てにして停滞出来るほど、責任者という立場は軽くない。

 サンドライトは患者達を前に、今より新入生達を学園生徒として認める旨を宣言して、その家族共々の治療を保証する事を宣言する。


 たった一人の宣言と、入学の証拠である《学生輪》という腕輪を新入生達に配り終えたら全ての、簡単な入学式。

 けれど患者達は皆が歓声を上げ、喜びの声で受け入れる。


 それも当然だ、原因は不明とは言え最も有効な治療法を保証して貰えるという、先行きが見えない苦痛の中で差し込んだ光明だ。歓迎しない筈が無い。


 略式入学式を終えて早速治療に参加しようとしたところ、部屋の外からちょっとした怒鳴り声未満の口論の声が聞こえ。

 誰かが近付いて来るという事実を、先立って一同の耳に宣伝してくれる。


 サンドライトは周囲を制し、儂が対応しようと手を上げ。


「ここですの例の〔学園長〕という方がいらっしゃる場所は!」


 聞き慣れない口調で、けれど何故か懐かしさを感じる声が耳に届く。

 そりゃあもう小気味良い程の音を打ち鳴らして開かれた扉から。

 当然だが講堂の扉に来訪を告げる合図など邪魔でしかない。


 病棟に現れたマナー知らずは年若い少女であり、後ろで呆れ返って額に手を当てている教師ホーグラの姿が見えた。


(やかま)しい!ここは病棟を兼ねているんだ、扉くらい静かに開けな。」


「おっとそれは失礼いたしましたわ。

 私〔学園長〕を探して此方に参りましたの。誰か案内して下さらない?」


 うわぁ、と内心の呆れを顔に出してしまいそうになる。


 これ程の病人達を前に堂々と言ってのける図太さも然ることながら、少女の容姿はずば抜けて美しいとすらいえる外見だっただけに、残念としか言い様が無い。


 容姿こそ小柄ながらに豊満で愛らしいよりも美しさが勝る、薄めの長い金髪を(なび)かせた赤眼の娘がえへんと威張るより自慢げな態度を取る姿は、やたら堂に入って(さま)になっており、凄まじい程の違和感がある。

 きりっとしていれば怜悧(れいり)な印象すら与えかねない程整った顔立ちだけに、周囲の空気は怒るよりも生暖(なまあたた)かく、殆ど全員から深く長い溜息が溢れる。


「大声を出すんじゃない、儂が学園長だよ。

 お前さんは病室で大声を出すなと、親に教わらなかったのかい?」


「勿論教わりませんでしたわ!

 私の家には病になる様な軟弱な肉体の持ち主はおりませんもの。

 私が〔学園〕に来た理由は両親が教える事の出来ない最新の一般常識と近代の魔法知識を学ぶためですから!」


(((ぅわぁ…………。)))


 途中から小声で叫ぶという器用な真似をする辺り、悪意で大声を出していた訳ではないのだろう。だが胸を張って手を掲げる素振りからは本心しか伺えない。


(これまさか両親が(さじ)を投げたんじゃないだろうね?)

 何故か冷汗と激烈に脳裏が何かを警告する現状に頭痛を覚え、目元を解しながらサンドライトは魔法史教師のホーグラに視線を移す。

 だがこちらも真っ当な教師では無かった。


「本人曰く新入生の様なのですが、新入生には進入禁止区域となっている場所で迷子になっていたところを保護しました。褒めて下さい。

 序でに言うと新入生名簿にも名前は有りませんでしたし、本人の要望でもあったので、ここは我らが学園長にお任せすべきかと思いまして。

 だって、明らかに事情持ちですからね!なんて素晴らしい判断力。」


 踊る様な素振りの承認欲求が強過ぎる教師も、叫ぶ時だけ(ささや)く様な声量できりりとキメポーズを取る。もう目を背けたい。


 だがコイツは魔法史以外受け持ちたがらないが非常に優秀な教師だのだ。とてもとても残念な事に。

 今でも外部から襲撃を受ける事があるこの〔城塞〕において、彼が単独で退けた部隊は二桁にも昇る。本来であれば彼が教頭であってもおかしくは無い程だ。

 なのでコイツと話す時はとにかく実務的に話を進めるに限る。


「場所を移しながら話すよ。……こいつが変化の術を使っている可能性は?」


「勿論御座いませんとも!

 悪意ある侵入者が目立つ容姿を選ぶだなんてまさかそんな!」


 両手を握って神に祈る様に(ひざ)を着けない立ち膝で歩き続ける馬鹿野郎は、話しながらも廊下を進む足を止めていない。


「当然ですわ!私は両親から頂いたこの容姿が極めて美しいものだと理解しておりますもの!誇りこそすれ隠すものではありませんわ!」


(そうかい。両親を慕うというのなら悪い娘じゃないのかもねえ。)

 馬鹿二重奏という言葉が脳裏を過る中、必死に良い所を探して話を進める。


「そうかい。だが名簿に名前が無いという事は入学試験を受けていないという事でねぇ。お前の両親が何者だろうとそれじゃあ入学させられないね。」


「問題ありません!両親は私なら即日に試験を受けても十分受かると太鼓判を押して下さいましたわ。

 私母の常識は一切信じてませんけど、母が言った言葉は必ず事実になると理解をしておりますの。今から試験で大丈夫ですわ。」


 どこも大丈夫な要素が無い。というか病室から遠ざかった所為で声量が戻った。

 だが横紙破りな筈の彼女の言葉を否定するのは何故か、非常に危険を感じる。

(全く歳を取ったかね。魔法世界でも五指に入る儂が、随分(ずいぶん)弱気じゃないか。)


「特例は無いよ。入学式当日に新入生を送り付ける様な非常識の娘にはね。

 まあお前さんがあの場にいた患者達、〔羽化病〕の治療法を発見出来るくらいの才能を見せればその程度の横紙破りも敵うだろうがね。」


 すると娘は何故か理解出来ないという顔で小首を傾げる。


「あら?〔妖精化〕を拒む様な心の弱い方々の治療がそんなに重要ですの?

 大体治療と言っても『オーラ』を習得させれば後は自力でお任せで構わない筈では有りませんか?」


「あ?」

 今迄とははっきりと異質な、小馬鹿にした様な言動に、つい大人げないとは思いながらも怒りの眼差しを向ける。

 やはりこの餓鬼は只の世間知らずだと舌打ちをした時。


「ふむ、君は〔()()()〕の事を〔()()()〕と呼ぶのだね?」


(っ?!)

 教師ホーグラの念押しに我に返る。待て、そう言えば確かに聞いた。


「あらあら?もしかして今はあれを〔羽化病〕と呼んでいるのですの?

 というかあなた達さっきからあれを心の病、精神病とは思っていないかのような口振りですわね。もしかして本気で治療が必要だと思ってらっしゃるの?」


 笑顔を崩さず不思議だと、怒りに気付いた素振りも無く逆方向に首を傾け。


「……待て。お前、知っているのかい?

 あれがどういう経緯で発症する病気かを。

 心の病という根拠を、誰かから教わった事があるのかい?」


 脳裏に浮かんだ母親像には激烈に違和感が過る。違う。あの方では無い。


「?勿論ですわよ?この魔法世界の常識ですもの。」


「っ!それは何故だい!いや、それを教えたのはアンタの母親かい!」


「ええ、勿論。この手の常識に詳しいのはいつも母ですから。」


 ええと、と人差し指を顎に当て、思い出す素振りが妙に遅く感じる。

 これだ。違和感の正体。この素振り、仕草が全て似合わない。



「魔法世界は二百年以上前の〔()()()()()()〕の結果、始祖の理想通り外界からの完全な独立を果たしました。


 ですが彼らが外界を(さげす)みながら接点を残し続けた理由は、〔忘却の魔人)ダーククロウによる介入の他に、近親血統の集合による類似遺伝子、体質的多様性の欠落が進んでいた事が理由に上げられます。


 つまり身内とだけ話していると身内の非常識を世間の非常識と気付かない現象が体質にも起こってしまう事態が慢性(まんせい)的に彼らを蝕んでいたのですわ。


 この問題は始祖も経験則で認識しており、何より始祖の理想はあらゆる種族との友好と交流。他種族との婚姻(こんいん)もそこには含まれておりましたの。」



 は?

(何コレ此奴何を言い出したの?)

 これがサンドライトの問いの答えだとは分かる。だが有り得ない。



「そして始祖は【勝利の剣】で外界から閉ざす際、全ての種族にとある術式を馴染ませる仕掛けを施しましたの!


 勿論当時の者達はこれを承諾しておりましたわ。だって【勝利の剣】の完成時期は始祖マクダレアの死後の話。完成させたのは始祖の友人達と思われます。

 彼らが世界の完成を決行しない理由も無く、【剣】は奪われたものと推測出来る理由も此処に在りますわ。


 始祖の悲願を果たしたのが彼ら魔法種族が長年否定し続けた魔女なのですから、正に歴史の皮肉という奴ですわね。

 そしてこの時に始祖の理想は(つい)に叶ったと言えるのですわ!」



 気付いた。気付いてしまった。彼女の言動の共通点に。

 彼女は一度もこの〔城塞学園〕の事を近代主流の〔城塞〕と呼ばず、古典的表現となった〔学園〕で呼び続けていた事に。

 未だ始祖信奉の強い魔法世界で、始祖の本名を平気で呼ぶ事に。



「それは()()()()()()妖精化、そして幻獣化!

 それによる()()()()を駆使しての()()()()!肉体を介さぬ出産方法を習得する事で、ありとあらゆる魔法種族同士の婚姻を可能とする秘術の定着ですわ!」



 誇らしさ満面(まんめん)の笑顔がそこにあった。


「ちょいと待てやぁこの非常識生物ッッッ!!!!

 お前の情報源の何処に常識的根拠が存在しやがったぁッ!!!!」


 サンドライトが絶叫する。というか錯乱(さくらん)したい。だがなけなしの良識と理性が今だけは駄目だと有耶無耶(うやむや)にするなと全細胞が警報を発した。これはヤバい。



「あら〔魔法世界〕は【世界核】の管理能力を取り戻したのでしょう?

 であれば【世界核】にある『図書機能』にある『修理用仕様書』の内容は公開迄されずとも影響は周知(しゅうち)された筈。

 当時は情報を隠す事が酷く困難な時代であったと伺っておりますが?


 少なくとも母はこの情報を閲覧(えつらん)した者が確認出来ている範囲でも三人いると断言なされましたもの。それともこれは、アングラな裏社会での噂話ですか?」



「裏も表もその三人の最有力候補〔女帝〕カーリーとその側近じゃねぇか!

 当時一番機密管理が堅かった場所だよその閲覧情報!」


 〔大罪会戦〕の記憶がまざまざと思い出される。

 此処まで条件が揃えば逆に裏事情は判ろうというものだ。


「ていうか確認の前に先に聞かせろ!

 つまり我々で言う〔羽化病〕は〔妖精化〕なんだな?!」

 確認は後だ。聞いたら絶対冷静では居られない。今も冷静じゃ居ないけど。



「正しくは〔妖精化〕を拒んだ結果ですわ。


 外見上も肉体上も変わらず、別に肉体による出産が出来なくなる事も無い。

 違いは『分御魂』を応用した『力の器の複製と分離』、それによる『擬似(ぎじ)有精卵』を産み出す能力を得るか得ないかですわね。


 無論、妖精や幻獣に親世代で進化出来る様にもなりますが。

 これを自覚関係無しに拒んだ場合のみ起こる精神的なマナへの拒絶(きょぜつ)。これが肉体に馴染んだマナを追い出そうとする現象。


 故に『オーラ』による自身のマナコントロール修得だけで解決するのです。」



 俗に云う「ピーマン嫌い」と何ら変わり有りませんわ、と呆れた顔。

 もう、それだけではっきりと誰かを思い出す。


「序でにあんた!わたしが何故二百歳過ぎても生きていられるのか、ひょっとして知ってたりしないでしょうね!」


「え?ああ、〔血の従者〕は魂も魔力も強化されてますから。

 一般的な魔法種族よりは長命になり易い筈ですよ?まあ基本偶然では?」


 流石に向こうも何か変だなと思い始めたらしい。

 だがこちらも聞くには覚悟が必要だ。深呼吸が必要だ。心の準備が必要だ。


「あの?大丈夫ですの?あなた、サンドライトさんですよね?」

 脇で事情を察して笑うホーグラが煩い。しかも二百数十年前を思い出した所為で笑い方が妙に昔の誰かと被っている気がする。一体誰だろうか。


「……その通りだよ。そして今更ながらに聞くよ?世間知らず。

 アンタの名前と、両親の名前だ。

 一切略さず、正確に答えな。それ次第で特例は絶対通るからね。」


 ああ嫌だ。確信しているのに聞きたくない。聞かないと絶対後悔するのに。


「あら?あらあらあら?そうか、そう言えばあなたには未だ名乗って無かったのですわね!これは失礼いたしましたわ!

 私の名はパトラ!家名は存在してません!

 母の名は――。」




 直後。

 頭を抱えて膝から崩れ落ちた、サンドライトの悲鳴が廊下に響き渡った――。

※こちらはジュリアンエンド、後半です。前半も同日投稿されているのでご注意を。

 作者的にはどちらのエンドが良いのか分からないので、いいねや感想等で教えて頂けると幸いです。


 本編はここで終わり、後はエイプリルフールに投稿予定だった短編を土曜日5/13に一本。

 変則的ですが、後書き的な解説を投稿して締める予定です。

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[良い点] 完結おめでとうございました! 面白い作品を読ませていだだきました(≧∀≦) どちらの終わりもグラトニーらしさが出て良かったと思います。グラトニーが大罪として使っていたのは人々の未練や渇望の…
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