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ガラクタの学園  作者: 夕霧湖畔
第七部 学園の夜明け編
157/211

03.灼熱火山

 常と同じ呪装、《猫爪装衣》の上から同じく呪装と化した【猫眼甲】を纏って、肩にはマントの様に《火鼠の皮衣》を羽織(はお)り、(そで)を首に巻いている。

 腰には先日の《真夏対策ベルト》を【三彩腰帯】で隠すように巻き、隠す必要の無くなった【古代鮫の骨包丁】を今は料理包丁サイズで握っている。


(盾まで出涸らしにしたのは失敗だったかしら。)

 指には『盾』の呪文が蓄えられた指輪【八極天体球】がはめられ、グラトニーの周囲にはビー玉程度の水晶球が浮かんでいる。


 三学年で作った呪具《飛来盾》があれば、魔力を消費せずに浮かべておける。

 素材が高価な分《浮き盾》の上位互換(ごかん)になると思いきや、逐一【魔法の杖】で指定しないと操作出来ないという欠点を抱えていた。


 《五指の指輪繋ぎ》でも代用出来るが、複数同時使用を想定していないらしい。

 性能だけなら【八極天体球】以下だが、質量がある分物理には強い。まあ今回はどっちもお試し、使い勝手を検証するための実地だ。


 首を傾げるグラトニーの様子とは裏腹に、縄張りを守ろうとした魔物達の襲撃は何一つ身を結ぶ事が無く、無数の呪具と呪装に阻まれ掠り傷一つすら届かない。

 まさに鉄壁の要塞と言える程の堅牢(けんろう)さを発揮していた。


 ここは四竜ダンジョンの一角、三学年にしか許可が下りない最高峰ダンジョンの一つ。難易度だけなら学園長の〔旧邸宅〕や〔邸宅塔〕が最高だろう。

 だが出現する敵の強さは、間違いなくこの〔灼熱火山〕周辺と道中の火山系ダンジョン、そして現在位置である〔火竜の巣〕の方が確実に上だ。


「想像以上に退屈極まりないわねぇ。」

 グラトニーは軽い溜め息を吐きながら山道を進む。

 〔灼熱火山〕は裾野(すその)こそ植物に溢れた実り豊かな景色が広がるが、山中はお世辞にも過ごし易いとは言えない過酷な環境だった。


 灼熱火山はその名の通り火のマナに満ち溢れるよう調節された、炎に近しき生き物達にとっての楽園を目指して改良された高峰だ。


 火山のマグマ溜りとマナ溜りが融合し、しかし山中にも散らされるマナの奔流(すその)は噴火による暴発を固い地盤によって抑えていて。

 それでも溢れ返る溶岩は火柱と火口からの噴煙(ふんえん)、そして定期的な小規模の噴火として現れ。千年間絶えず燃え続ける灼熱の禿山(はげやま)と化している。


 空気は焦げて、水は止まらず。足元の岩は常に熱を持ち獣達を焼く。

 ここに棲息(せいそく)出来るとしたら、限りなく火に近い精霊か、炎に焼かれる体を持たぬ悪霊共。さもなくば、炎を宿すに至った獣を捨てた怪物達か。


 岩山に紛れて擬態(ぎたい)し、獲物に襲い掛かる豚の様に大きな《火鼠》達は、牙を剥いて飛び掛かった空中で首を切り飛ばされる。

 かつて魔法使いが猿に霊を宿らせてその身を滅ぼす羽目になった、燃え続ける球体の悪霊《火達磨》達は、炎の間合いに入る前に『猫爪』の魔法で引き裂かれた。


 ただ《火達磨》は召喚駒として回収するために、まともに相手をした方だ。

 禁忌を除き魔法世界で最高の魔力を誇っていた魔人ダーククロウを吸収した今、グラトニーこそが事実上の魔法世界最大の魔力量だ。


 魔女と化し、呪詛の効率が上がった今。グラトニーが振り撒く『傲慢』の恐怖を完全に遮断出来る魔物など数えるほどしかいない。


 先ずもってダンジョンに辿り着く前。<箒>の呪文で呪具を使わずに飛来した、グラトニーの飛行速度より遅い魔物達は悉く(ことごと )が『嫉妬』の影響で全滅した。

 空飛ぶ者は地面に身体を叩き付け、又は仲間と殺し合い。異変に気付いても森の中を走って鳥よりも早い筈が無い。


 ただダンジョンの前に辿り着く。それだけで進路上の魔物は死滅した。

 呪詛に侵され狂った魔物達の魔力は捻じ曲がり、素材としての用は果たせない。

 結界術を体得した結果、間合い外には呪詛が漏れず周囲に留まる様になり、より鮮明に呪詛の範囲を絞れるようになったが、その分致死率は圧倒的に高まった。


 故にダンジョンに入ったグラトニーは今、一切の呪詛を止めている。

 血塗れの道中を歩いたところで足元が悪いだけだ。『暴食』の間合いに入れる者すら極僅か。一方的にも程がある。


 死者を地獄に引き摺り込むという燃え車こと『火車』は、岩壁を透過して現れて体当たりを仕掛ける。


 《ユニコーンの指輪》という警報機があれば全くの無意味だ。

 間合いに入った瞬間壁に『暴食』を放つだけで全てが終わる。何よりも警報すら実は不要で、壁越しに動く呪詛の塊がグラトニーには見えている。


「おっと、危ない危ない。」

 ある意味一番の強敵は、周囲そこら中の割れ目から噴き出す火柱だった。

 マナの流れである程度は読めるものの、突発的なので間が殆ど無い。


 だが亀裂から炎を纏って現れる小型魔法生物『焼き棒栗』は、火の魔石にしかならない。岩ごと『幻の剣』が刺し貫いて終わりだ。


「流石に空を飛べなかったのは手間ね、もう昼近いじゃない。

 で、ここからが〔火竜の巣〕になる訳か。」


 灼熱火山は軽度とは言え噴火を繰り返し、相応の巨大な山岳(さんがく)を築いている。

 如何に火竜が巨体だからと言って、ダンジョン化した巣が山岳全体を覆っている訳では無い。実際には灼熱火山上のダンジョンの一つが〔火竜の巣〕だ。


 そして〔火竜の巣〕を目指す者が必ず越えねばならない〔灼熱火山〕最大のダンジョンの名前。それこそがたった今抜けた〔灼熱迷宮〕だった。


(発動具素材になる【ファイアバード】は結局三羽で打ち止めかぁ。)

 小型『封印石』に入る程度の小物だが、一つは封じておきたいので『暴食』出来たのは二羽だけだ。炎の出し方に馴染むにはもう少し欲しかった。

 やはり発動具になる魔物とそれ以下では習得効率に明確な差が出る。


 昼食を取ってから中に入ると、〔火竜の巣〕の中は天井の広い大洞窟だった。

 ダンジョンの出入口は大体目印が置かれているが、そもそもグラトニーは一目でエーテルの境界線が判る。ダンジョン外にはマナもエーテルも漏れないからだ。


 そして中に入れば中の空間は歪んで広くなっているため、外観から見える景色は一切当てにならないのが普通だ。


 ただダンジョン内の洞窟が一定以上の広さがあるのは竜が通れるところから見当が付いていたが、洞窟がところどころ天井が剥がれ、道が橋の様に浮かんでいるのはだけは予想外だった。


 道は複雑に分岐しつつ幾筋もの道に分かれ、しかし迂闊(うかつ)に飛んでショートカットをしようとすれば歪んだ空間が何処に繋がっているか分からない。

 何より洞窟の下層には溶岩の河が流れている場所がある。池の様に溜まっている辺りもある。そして紅炎(プロミネンス)の様に、溶岩自体も宙を流れる事がある。


「これは、流石に道なりに進むしか無いわねぇ……。」

 グラトニーはふと、後ろを振り返る。

 そこには過日ダーククロウからサメロラを従える交渉の際に手に入れた、空飛ぶ呪具《飛天玉座》が浮いている。


 自分が直接座らないのは上に置いてある水晶球が原因だ。

 こちらは以前グラトニーが創った炎のマナを吸収する水晶球《灼熱球》になる。

 元々は雨水や太陽光を蓄える呪具から着想を得た代物で、炎系の呪具を作るためのマナを、グラトニーの限界以上に蓄えるために結界術式を用いてある。


 欠点は吸収中ずっと魔力が必要なため、吸収量が少ないと貯まる熱量が消費に追い付かず全く貯まらない点だったが、此処でなら大量のマナが集まっている。


(いっそコレを溶岩に漬けてみようかしら?

 耐熱性能は理論上、吸収魔力に応じて上がり続ける筈だし。)


 とは言えそれを試すのは帰りになる。流石に高級品である呪具を、入り口付近で誰でも取れそうな場所に置く気にはなれない。

 魔法使い達は何だかんだ言って植物系の呪具を使う者が多い気がするので、炎系の武器を用意したいのだが。


「あらサラマンダーね。噂をすればって奴かしら?」

 流石に初見の相手を暴食するのは無しだ。今更発動具を増やす意味は無いがサンプルの意味でも一頭は『封印石』に収めたい。


 溶岩の池から現れた巨大な蜥蜴(とかげ)は、何も知らなければ竜と勘違いしたかも知れない程度には大きかった。流石に(くじら)並とは言わないが、(ぞう)よりは大きい。

 何よりも平たく、巨大なイモリにも似ている。翼があれば首が長ければ、きっと火竜はこんな姿だろう。グラトニーを獲物と見定めて、舌の様に炎を伸ばす。


「『生えろサメ壁、大きく拡がれ』!」

 飛び退きながら腕を振るってエーテルを飛ばし、地面から突き出した岩の鮫頭達がサラマンダーの足に突き刺さる。


 今のグラトニーは吸収した発動具の呪文を自在に操れる上、発動具の頃には出来なかった威力調整も応用が利く様になった。


「『火花よ、集まれ、砕け散れ』!『幻の霧よ、弓を引け、鏃よ撃ち抜け』!

 『幻の霧よ、剣を模れ、刃を突き立てろ』!

……ふむ。所詮は杖魔法の限界ってところかしら?でも、漸く色々試せる敵が現れてくれたのは嬉しいわね!」


 花火の様な炸裂が溶岩の表皮に弾かれ、幻の(やじり)がヒビを入れた。『幻の剣』なら多少の切り傷は与えられたようだが。

 鮫頭が踏み砕かれる頃には殆どの傷が塞がり、到底痛手には見えない。


「段々威力を上げるわよ!『刻め描爪、群成せ積もれ、諸共に引き裂け』!」

 『猫爪』の数々が一斉に全身を切り刻み、血飛沫の如く炎が噴き出す。


 悲鳴を上げ乍ら前脚を伸ばして襲い掛かるが、<憑依(ひょうい)武人>による<斬撃一閃>は触れずとも戟剣を飛ばす事が出来る。

 伸びた足を切り落とすと、勢いのまま溶岩に沈んでいったが、脚は縮んで元に戻れた。だが心なしか体格は同じでもエーテル量が減った。


「あら、これ以上は困るわね。一頭目は欲張らないで置きましょう。」

「!?」


 <静寂『我は至れり』>で一瞬で懐に辿り着き、妖刀【八房の太刀】を振るうが咄嗟にサラマンダーが後ろに飛び退き、首筋の一閃を掠り傷で躱すが。


(あら意外に敏捷、<『一太刀に在らず』>。)

 呪詛が異なる太刀筋の可能性を描き出して、その首を一太刀で切り飛ばす。


「あら。もしかしてコレ、予め備えて置けば初太刀の姿勢から出せない斬撃も再現出来るのかしら?」

 死体に向けて振るった【八房(やつふさ)】の斬撃は、<静寂『一太刀に在らず』>によって同時に手足を切り落とされ解体される。


 燃え盛る溶岩化した幻獣の体を切り捌いても刃が焼けるどころか血を(すす)り耐性を増したかの様な【八房】も相当だが、『一太刀に在らず』は自身に余裕がある分だけ太刀筋が増やせる様だ。


(いえ。これは私が意識出来る時間が増えたからね。)

 凡そ一瞬の呼吸程度だった感覚が深呼吸、いや<静寂『時は止まれり』>で止められる時間の半分程度にまで馴染んでいる。

 自前の猫爪も良いが、もう少し【八房】を慣らしてみるのも良いかも知れない。


 《封印石》への収納も終わって先に進もうとしたグラトニーだが、懐の《通信球》が反応しているのに気付き、取り出して受信する。

 映し出された顔は、最近適当に学園内を徘徊(はいかい)していたアヴァロンのものだ。


『おい~す。ねえねえ、何か今面白い事やってない?』


「ん?ああ、〔灼熱火山〕に火竜の首を取りに来ているわ。

 興味があるなら直接来る?」

 何となくだが、多分来られるだろうという自信がある。


『ん~~~、まあ今更か。じゃあちょっとそのまま持ってて。』

 何を、と問い返す必要はなかった。


 水晶から、手が生えた。


「よ。と、とと。」

 更に手が伸び、手首を回しながら《通信球》が重くなる。


「ほら。」

 グラトニーが掴みどころの無い手を握り、腕を横に傾けて水晶を離す。


「おっとっと。ありがと~~。」

 《通信球》から滑り落ちたアヴァロンがたたらを踏み、持ち上げたグラトニーの手を支えに両足で洞窟の床に立つ。

 勿論服を着ているし、呪装だって身に着けている。《水晶球》は片手に握る程度の頭よりずっと小さな代物だ。


「今何処にいたの?」

「図書館で面白いダンジョンが無いかを物色してた~。

 でももしかして、今のって驚いてなかったり?」


 単純に考えればとんでもない距離を転移した事になる。だがグラトニーはむしろ今ので確信したくらいだ。


「ええ。何となく直ぐ来れるんじゃないかって予感はあったけど。

 折角だから聞かせて。不老化した『不死術式』って、五百年位馴染ませれば魂と溶け合って、精霊や亡霊に近い精神体になるんじゃないかしら?」


「――へぇ。何故それを()()()()聞くのかなぁ?」

 軽く周囲の空気が変わる。だがグラトニーは特に殺気を感じず、どちらかと言えば心地良い緊張感というべきか。


「大した根拠じゃないけど、私は今迄肉体を持たない生物ってみた事無いわ。

 でも死霊の中に人格を保持出来る存在はあるし、不死術式って技術は魂の保存を物理以外の手段で可能にしている。

 あなた、私やオルガノンの大先輩な気がするのよねぇ。」


 ぷ、と吹き出し。徐々に堪え切れずにアヴァロンは体をくの字に笑い出す。

「アハ、あははは。その、その二つを一緒にするんだ!

 そもそも他の魔女はどうして含まないのさ!」

 手で(ひざ)を、太腿(ふともも)を叩く。笑いが中々止まらない。


「魂が歪むうちは真っ直ぐ伸びないでしょう?

 魂が歪む余地の無いくらい安定しているか、歪む前に育ち切ったか。

 私の場合は、そもそも原形が無い状態から始まって育ち切る事で完成した。

 これって、結果的には同じだったんじゃない?」


 いやいやと手をあげ、流石にちょっとと苦笑して首を横に振るも、笑いは完全に消えた訳では無くて。


「いやぁ流石に。掛け算と引き算で四捨五入した答えだけ同じだった、くらいには違うんじゃないかな?

 でもまぁ。確かに魔女や精霊は、人よりもずっと我々に近しい存在だ。

 ただ天然モノと人造培養を同じと呼ぶかは、それぞれでは無いかな?」


 見た目は以前と変わらぬ、少女に近き者。けれど中身はきっと、以前よりずっと深く重い、のめり込んでいて。


「どちらにせよ、あなたの故郷が他の魔法世界と起源が同じとは考え難いわね。

 もし同じだったとしても。あなた達の家はきっと、他とは比べ物にならない位に最高に独創的な世界を創ったんじゃない?」


 勿論だともと笑い声が響く。それは最高に楽しい場所で。

「当り前だよ!人目が気に喰わなきゃ自分専用にすればいい!

 こんな理想郷製造キット夢の国セット、参加しない方が損だろう?!」


 争いなんて必要無い。土地も人手も無限に増やせる。

 気付いてしまえば確かに最高だ。差別されようが幾らでも独立出来る。欲しい物は何でも手に入る。いざとなれば、理想の隣人すら創れなくは無いのだから。


「……〔カダス宮殿〕。それが我らの治める魔法世界。

 異形種中心の、人成らざる者達の楽園。全ての知性体を歓迎する代わりに全ての境界が存在しない中規模の世界。


 自分の食事は放牧で賄う事も出来るんだけどね。中には食人種族もいるんで、外に出る権利を失う限り移住は自由だ。まあ弱肉強食、魔女もいるよ。

 実は、魔法世界の牢獄(ろうごく)兼、冥府(めいふ)的役割も担っている。」


「禁忌はあなた達を放っておいたの?」


「いや。禁忌はむしろ、ウチを破壊しないでそのまま活用したいらしいね。

 戦役の折は、鎖国と独立維持を約束するから、戦中の〔議会〕他の世界へ不干渉と戦後のカダス送りの承諾が欲しいと言われたよ。

 まだ本土に連絡は来てないけど、ウチは来るもの拒まずだし、多分同じ条件なら受けるんじゃないかな。」


 ちょっとした他人事の様な物言い。そして領主の様な我が物顔の発言。

「あなたも分御魂なのね?」


「そうだね。器が壊れたら本体に戻る感じかな。好き勝手に動くカメラだよ。」

 自由に出歩くには何かと支障がある身体に制限をかけて。可能な限り手出しせずに済ませる予定は結局未定で。


「今特訓代わりに四竜を討伐するんだけど、雷竜以外なら見学して良いわよ?」

「それは良いね。でもサンドラは何で別枠?」


「サンドラは駄目、それは墓守のもの。

 サンダードラゴンで禁忌用の結界術を試したいのよ。当然あなたにも通じるモノを目指す予定だから。」


 魂に攻撃が届かないなら、分御魂に逃げられる。魂を逃さない(おり)が必要で、たかが端末一つを殺せない術なら、それは失敗作でしかない。

「流石に本番前に退場はしたくないね~。分かったよ~。」


 地響きを立てて、炎の巨人『バルログ』が両手足を失って倒れ込む。

 上質の『火の核』が手に入るが、要は魔石の一種で発動具にも召喚獣にも出来ない半端な代物だ。


 人形発動具は劇的に性能は変わっていないが、この程度で燃える程軟弱な作りはしていない。【卍兵】だけでどうとでもなるが、《飛刀》と《飛杭》は少し力不足を感じる様になって来たか。

 素材の価値も無いので、頭を掴んで『暴食』する。


「う~ん、今一ねぇ。全身から火を噴く連中ばかりで使い勝手悪いわ。」

 火を吸収する、駄目だ。暴食で足りる。


「あ。じゃあ道中適当につまみ食いして良い?」

「ん?……まあ一応記録にある種類は全部『暴食』したし、サラマンダー以外は適当に食べてて良いわ。」

 わーい、と早速飛んでいた『焦げ鴉』を掴んで口に放り込む。伸びる手というのは中々便利だ。


「序でにこの《灼熱球》?

 これに周囲の火を集めておくから、この《玉座》に座らせてよ。」


 しょうがない子ね、と軽く嘆息する。

「良いわ。でも客席にするなら自分で操作なさいな。」

 真っ当なダンジョン攻略です!……まっとうな、ダンジョン攻略なんです……。

 いや、もう学生が攻略出来るダンジョンで太刀打ち出来る筈が無いので、裏ルートからしか発覚しない雑談回と成り果て申した……。

 現状の戦闘力は魔女化して馴染み切った時点でダーククロウ以上に到達します。ただ経験値がまるで足りてないので戦えば勝つけど逃げに徹すれば戦えません。


 カダスが冥府というのは言わば魂の濾過装置的な役割を持つ魔法世界だからです。

 支配を望む禁忌から見れば、必要な土地だけど管理人の確保は困難。世界の内実は割とゴミw他世界とも一定の距離があるため支援の恐れも無し。

 アヴァロンと禁忌は利害が一致しているので衝突する必要は無いのです。


 因みにくとぅとの関連は作中のスマホの機種と同レベルで不明です。無関係でも関係者でも何も違いはありません。永遠に観測されないシュレディンガーです。ネコを信じよ。

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