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先導書 ~ 連戦の本 ~  作者: 死馬奇大造
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頁二〈 白虎 〉

 ついに死んだ。早すぎた。もう少し長生きできるもんだと思っていたが、まさか(よわい)二十で。

 しかし不思議だ。死して尚、こうも意識をはっきり保っていられるとは。二十年連れ添った己の肉体は、既に灰となっていると言うのに。当然目は無いのだから外の様子は見えないが、微かに川を流れているような心地良さを感じる。

 僕は一体どこへ向かっているんだろうか。


 時間という概念に囚われることの無い、そんな感覚が非常に好みであったのだが、どうやら何かに行く道を塞がれた。引っ掛かって流れが止まっている。

 この感覚は非常にむず痒い。どうにかして先程の流れを取り戻したい。肉体は無くても、無いなりにどうにか。


 僕は生前の身体の感覚を思い出してみた。壁を足で全力で壊すイメージを浮かべていると、ミシミシっと聞こえ厚いガラスが割れたかのような鈍い音がした。

 次第に再び、川のように流れ出したが、川というより滝の如く勢いを増し、心地良さとは裏腹に恐怖を覚える。どうやら先程の謎の壁が流れを塞き止めていたようだ。



「んん……おかしい。全く情報がない。どうなっている? 貴方は今まで、どこを彷徨って……」

 気づけば意識というものは完全に消えていて、ただ何故だか今一度意識が戻り、それどころか肉体さえ復活し、僕は文字通り目を覚ました。そして目の前には──


「まあいいでしょう。不明な事は不明で結構。私には知ったこっちゃありません。普段通りやらせて頂きます」

 この老人は恐らく僕に話しかけている。

「ええ、貴方は生前、んーまあ、何かしら頑張っていたのでしょう。それを称え、私からはこちらを授けます」


 何が正しいのかは知らないが、多分この対応はマニュアル通りではない。適当に扱われている気がしてならない。まるで僕がイレギュラーな存在であるかのように。


 僕は変な玉を一つ貰った。それと同時に老人は、僕には届かない声を聞き取り「なんですとっ!?」と大声を上げ慌てふためくと、僕に「あの、あっちの部屋へ」ととても雑に伝え、ワープするようにどこかへ消えた。




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