頁一〈 本の導き 〉
俺の名は八尾紫狼。勇者やヒーローに憧れるごく普通のDK。
幸いにも名前はかっこいいとよく言われる。
ただし名前だけだ。
俺の髪は紫色をしている。生まれつきだ。
俺はメガネをかけている。視力が悪いからだ。
この特徴のせいか、俺はよく気持ち悪いと言われる。
メガネはまあ良いにしろ、髪色はどうしよもないだろ。
両親ともに黒髪なのに何故か俺だけ紫。俺はこの髪色が嫌いだ。
といつものように独り言を言いながら夜道を下校していたら突然…
「キャー!! 誰か助けてー!!」
女性の悲鳴が聞こえた。
という妄想に励んでいたその時、歩いていた足に何が引っかかった。
「あっぶな、コケたらどうしてくれんだ。顔面、削れるぞ。」
と文句を言いつつもそれを拾い上げる。
「暗くて良く見えないな…。とりあえず分厚いのは分かる。あと、ペラペラと紙らしき物をめくれる。これらのヒントから推測するにこれは本だ!」
と名探偵気取りで簡単な推理をし、本を捨て再び歩き始めたその時…
真っ暗な闇夜の中、どこからか足音が聞こえる。
その音はどんどんと近ずいてきて、正面の道から歩み寄ってくるのがわかった。
俺は恐怖で立ちすくんでいた。憧れのヒーローや勇者のように立ち向かう程、俺は強くはないと確信していたからだ。
それでも俺の中にある力を振り絞って一旦、冷静に今の状況を考え理解することにした。
「とりあえずいつも通っている普通の帰り道でこんなアニメのような展開になるわけがない。いつも通りなら俺がヒーローになる妄想をし、虚しく帰るだけ。じゃあ逆にいつもと何が違う…? んー… んー… んー… ん…?
ちょっと待てよ。そういえば… あ… の… 本… チラッ!
うげーーー!! めっちゃ光ってるし、めっちゃ浮いてるーーー!!
絶対足音の原因あれだろ! 」
そう言いながらとりあえず本を再び拾いに行く。
本を見るとズラズラズラと勝手に書き進められている。
それと同時に足音も大きくなる。
「何故だ、なぜ本がひとりでに… ん? 何だこの文?」
そこにはこう書かれていた。
( 主人公の元へ 魔物が歩み寄る。彼は白い毛をまとい鋭い牙を生やし
しっぽには毒があり、触れれば最後… 絶対に逃れられない。
助かりたいのならば、この本に従え。さすればお前は助かる。
では教えてやろう。まずでかい木に登れ。そして人が乗っても折れないくらいの太い枝を見つけろ。次にその太い枝を大きく、大きく揺らせ。)
文はここで終わっている。
「え? ちょっ、嘘でしょ! こっからどーすんだよ!おい!
てか、魔物って何! そいつが足音の正体!? 絶対死ぬじゃーん!」
とりあえず本に従う以外の選択肢がなかった。
ので体全体を使い太い枝をとにかく大きく揺らしてる。
足音がすぐそこまで迫っている。
かなり大きい音だ。
いつ姿を現すか分からない恐怖と、これで本当に助かるのか?という不安が俺を襲う。
すると急に足音が止まり沈黙がその場を包んでいた。
汗が首から流れ落ち、空中で光ながらゆっくり落ちていく… その時だった。
「 ぎゃぁぁぁぁ!!!!!!!!!!! 」
〈 終 〉