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春風-shun pu-  作者: 桃月えり
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春の風が、聞こえたから。

1章「ダンスの秋?!」


色とりどりの紅葉を見ることができる秋。

秋というと、読書の秋や、食欲の秋など…様々な秋がありますが、

私、城崎ユキはというと…

部室にて。

「ユキちゃんユキちゃーん!」元気な声で私を呼ぶのは

私の後輩で友達の姫ノ宮さくら。

只今絶賛衣装製作中…

私はというと頬杖ついて椅子に座ってそれを見学中。 「何ー?」

「ここ…フリルつけていい?」「…え゛、さっきつけたじゃん、まだつけるの!?」

「さっきのはフリルじゃなくてリボンだもん。」

と…どうしてもフリルを付けたそうに言うさくら。

しかし私はいつもボーイッシュな格好をしていて、

女の子っぽくて、可愛らしい服装は自分には似合わないと思っているため、

そういう格好をするのはあまり得意じゃないのが正直なところ。


「そうだけどさ……どっちも私のは控えめでいいよ…。」

と、私が言った途端、椅子に座って楽しそうに衣装を作っていた私の親友、

如月陽華きさらぎはるかが急にその場から机を手で叩くようにして立ち上がって叫んだ。


バンッ!!

「ダメですわ!」

「え!?陽華…?」 「ダメですわ、たとえ3人ともデザインが違ってもユキちゃんの衣装に控えめなんて言葉は似合わないのですわ、

特にユキちゃんの衣装のこの部分にはリボンとフリルが絶対必要でこの部分にはストライプの…「あーはいはい、陽華わかったわかった(笑)…もう好きにしていいよ…;;」


陽華はいつもは穏やかで大人しい子だけど、怒ったり興奮するとなかなか止めるのが難しい。いつもいつもこんな感じで、結局私は2人が好きにして作って渡されたものを着ることになる。


「はい、任せて下さい!!」


今の今まで叫んでいた陽華がいつもの穏やかな陽華に戻り、

ニコッと笑いながら衣装作りに気合いを入れ直している。


「………。」


どうやら興奮状態は落ち着いたようだ。


「ふぅ…。」


そもそも、なぜ私がこんなことになっているのかというと。 振り返ってみると、

それは、数ヶ月前のこと。

たくさんの新入生がこの学校に入学してきた。 私の家の隣に住んでいることから幼い頃から仲が良い、

姫ノ宮さくらも、この春に入学してきた。

さくらは一度きりの高校生活を思いっきり楽しむと意気込んで学校に入ってきて、

すぐに"青春するための部活"「春風部」を作った。 私は既にバスケ部に入っていたから

正直「春風部」とは全く関係無いと思っていたんだけど、私の友達の陽華にさっき叫ばれたように、

「一緒に青春するのですわ!」と誘われ、バスケで十分青春していることを伝えると「もっと青春するのですわ!」と言われ、半分強制的に入ることになり…

今は10月にやる文化祭で着る衣装を作っている…らしい。私は部活に来ても特に何をするわけでもなく

椅子に座って陽華とさくらの作業を眺めているだけ。(衣装製作に関しては、裁縫が苦手だからというのはここだけの話。)


「ユキちゃん!」

「ん?何ー?」

「…出来たから着てみて♪」

「あーはいはい、着ればいいの…ねぇええええ?!」


渡された衣装を広げると…

私の目に映ったのはフリルとリボンが可愛い水色の衣装だった。

「こ…これか?!」


やはり、数十分前にさくらが付けたがっていたフリルはきちんと付けられていた。


「え…これか……」

「これです☆」

「…えぇ……いや、可愛いんだけど私にはちょっと…」

「ユキちゃん!!」 「∑ひぃ、陽華な、なに…」

ま、まさかまた…

「先程申しましたようにユキちゃんの衣装に控えめという言葉はいけませんわ、つまり着るユキちゃんも控えめということは許されないのですわ!さ、今すぐ着てみてください!!細かいところ調整します!!」


お、恐るべし陽華…


「…お前本当に陽華…だよね…?なんか別人に見える…

(ん?背中から黒く小さな羽が見える…?尻からは黒く細長い尻尾生えてる?!…小悪魔!?)」「ユーキーちゃーん!!早く着てみてくださーいっ!」「あ、悪い悪い…今着るよ。」わ、私の幻覚なのか!?

陽華の尻から小悪魔のような黒い尻尾が見える。

気のせい…だよね…!?もちろん実際に生えているわけではないが、

そんなオーラのようなものを感じる。

きっと陽華は小悪魔なんだろうなと確信してきた。本人には自覚はあるのだろうか…。いや、きっとないんだろうな。

そんなことを密かに思いながら、

結局2人が私が衣装を着ることを期待している中で、衣装を着ることになりました。


そして…。

「ど、どう?着てみたけど…」とてもじゃないけど私にはちょっと厳しいかなと思うようなこのレースやリボンのフリフリ感。

い、違和感…

しかし、その衣装を着た私を見た2人はというと…

「おぉ…ユキちゃん…!!」

「何…?やっぱり変かな…?」

「全然変ではありませんわ!やっぱり私の思ったとおり可愛いです、とってもお似合いですよ!!」

なんかすごい喜びの顔…

「ほ、本当か…?」

「本当ですわ!、ユキちゃんと入学したときからずっと一緒にいた私が言うのです、間違いありませんわ!!」

「わ、わかった…ありがとう…;;」

「ユキちゃんはスタイルいいもんね~!あ、ここもう少し調整かけるね!」

2人はとても喜んでたけど…

文化祭でこの衣装を着るということを考えると

少し恐ろしい。でも少しだけ、わくわくしている自分もいる。



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