第9話 君と僕と君は
第9話です!!少しずつ終わりに近づいてきました。第8話では最後に恵梨香が天斗にキスをしましたね!!あのシーンは忘れられません!第9話では三角関係が浮き彫りに!?
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あの日の記憶は忘れることなく覚えている。その感触も君の顔も、全てが鮮明に。
カーテンを開けると、窓からの日差しが差し込む。冬休みも終わり、新年を迎え、3学期が始まるその日が来た。
「行ってきまーすー 」
「いってらっしゃいーーー! 」
「お兄ちゃん気をつけてねーー! 」
お母さんと妹の瑠奈に送り出されて、学校に向かう。
健太と美加と合流し、3人でいつも通り向かった。
学校に着くと、みんなとは久しぶりだった。クリスマス以来、年末はみんな家族と過ごしたり、旅行に行っていたりと皆それぞれだったからだ。
「天斗くんおはよう! 」
「久しぶり!おはよう七海! 」
「そらと! おはよう!!元気だったー? 」
「おはよう! 元気だよ! 」
恵梨香はあのことを何もなかったような普段通りだった。
健太は恵梨香に話しかけた。
「若林さん、本当残念だったよなーーー! 一緒にみんな行きたかったぜイルミネーション 」
「うん! 風邪引いちゃってほんとに最悪だったなーー 」
「でも治って良かったよな!! 」
「うん!! ほんとによかった! 」
久しぶりの会話だったせいか、会話がいつもよりもみんなは弾んでいた。話したいことがたくさんあったのだろう。
先生からの話もあり、3学期は進路をしっかり決めていかなければいけない。そんな大切な時期だった。天斗たちにとっても、もっと大事な時だった。
「天斗は、卒業したらどーすんだー? 」
「うーん、僕は大学に進学するかな 」
「そうなのか、俺は就職かなぁ…… 」
「私も天斗くんと同じで、大学に進学したいかな」
「えー、ちゃんとみんな決まってるんだーー! 私は全然決まってないなぁーー 」
「恵梨ちゃんはなんでも出来そうだから、大丈夫な気がするよ(笑) 」
「なにそれ! 大丈夫かなぁー(笑) 」
2年生の3学期ともあって、みんな少しずつ高校生が終わり、卒業に近づいていることを実感するような時間だった。
3学期の授業が始まった。休み明けで憂鬱だったがみんな、それなりにしっかり受けていた。
僕は、授業中も隣の席には恵梨香。斜め前には七海。いろいろなことを思い出す。本当に自分が好きなのは七海なはずなのに、恵梨香のこともどうしても、君を見てしまう。既に自分でも気づいていた。気づかないように自分を騙していただけなのかもしれない。何もない僕を変えてくれた2人。いや、僕は変われたような気がするだけなのかもしれない。
そんなことをひたすらに考えていた。いつも苦痛で長い授業が短く感じていた。考える時間だけは本当に時が早く進んでいたような気がした。
そんな久しぶりの学校はあっという間に時間が過ぎて帰りの時間になった。
「じゃみんなまた明日なー! 」
健太は大きな声でみんなに言った。
「健太、美加と先に帰っててくれ!用事あるんだ 」
「あ、そうなのか! じゃ帰ってるわ! また明日な 」
「うん!じゃーね! 」
健太やクラスメイトたちは教室からほとんどの人が出て行った。
「七海、少し話したいんだけどいいかな? 」
「ん? うん! いいよ!! 」
2人は屋上に行った。
「うぅぅ、寒いねぇ〜 」
外に出ると凍ってしまうくらい寒かった。空は曇り、今にも雪が降ってきそうだった。
「話したいことってなに?? 」
「うん、謝りたくて 」
「え、何かしたっけ?? 」
「イルミネーション、途中で帰ってしまったから 」
「いやいや、全然気にしなくていいよ! お母さんに呼ばれたなら仕方ないよね(笑) 」
「うん、それなんだけど嘘をついたんだ。恵梨香にあの日呼ばれたんだ。嘘ついてごめん。 」
「知ってるよ。そんなことくらいわかってるよ 」
「え?? 」
「天斗くんのこと、私一番ちゃんと見てるからね! そのくらいわかるよ! 私にはね(笑) 」
「そうだったのか、知ってたのか(笑) 」
天斗は嬉しかった。ずっと好きな七海が僕のことをちゃんと見ててくれると言ってくれたのだ。僕の方こそ君のことずっと見ている。そんなことはもちろん言えないけど。
「うん… 恵梨ちゃんのこと大事だもんね… 」
「まぁうん、だけど七海のこと大事だよ 」
「え、う、うん(笑) 」
「変なこと言ってごめん(笑) 」
「全然大丈夫だよ(笑) 」
外の屋上はさっきよりもさらに冷え始めた。
「それより、寒くない??(笑) 天斗くん寒くない?? 」
「寒いけど、大丈夫だよ! 」
「はい!!これ着ていいよ! 」
天斗は、着ていた制服のジャケットを七海に渡した。
「え??そんな、寒いよ天斗君が!! 」
「大丈夫大丈夫! セーターも着てるし!(笑) 」
「ありがとう(笑) 」
熱いやりとりをしている2人の元へ雪が降り始めた。
「おーーーー!雪だな! 」
「そうだね〜、天斗くん寒いでしょ? 大丈夫?(笑) 」
「全然大丈夫だよ!! 」
天斗と七海は、降っていた雪が少しづつ積もっていく中、話を続けた。
「ねぇ、そろそろ帰らない? 結構積もってきたからこのままだと帰れなくなっちゃうよ! 」
「そうだね!! 戻ろっか! 」
その時だった。
「きゃっっっ…」
七海の体が少しの間、宙に浮いた。
「七海ー! 」
天斗がなんとか七海を抱き、転ばなずに済んだ。
「あ、ありがとう…… 」
「大丈夫? 滑るから気をつけてね 」
「うん、ありがとう 」
七海は思いもよらぬ急接近に激しくなる心臓の音が天斗に聞こえていないか心配だった。
もちろん天斗も同じだった。この近すぎる距離、ちょっとまずい…僕の心臓の音が絶対聞こえてる。恥ずかしい。
2人は屋上から教室に戻ったがもう誰も教室にはいなかった。
「あ、天斗くん、制服ありがとうね! 」
「あ、いいよ!ありがとう! 」
2人は校舎を一緒に出て、自分の方向に向かってそれぞれの家に向かって歩き出した。
七海とは反対方向を歩き出して、すぐのことだった。
「待ってたよそらと」
「え、恵梨香! 」
雪が少しずつ降り積もる中1人僕のことを待っていたのだ。
「どうしたの?? 」
「うん、そらとを待ってたよ… やっぱりそらとは七海のことが好き?? 」
「うん、七海のことは好きだよ 」
「やっぱりそうだよね… 」
「う、うん… 」
「決めた、 私、負けないから七海には 」
「ん、どういうこと?」
「さあね! (笑) 雪すごいね!! 一緒に帰りましょ! 」
「うん 」
僕は恵梨香の気持ちに気づいていないと言ったら嘘になる。彼女からの気持ちがまさか自分に少しでもあるとは思ってもいなかったがクリスマスの出来事や、今までのこと、記憶を辿っていけばそれもわかることだった。
「じゃ! 気をつけてね! また明日!! 」
「うん!じゃあね! 」
彼女のマンションに着き、そこからは僕1人だった。
僕は自分の気持ちを何度も何度も確かめた。僕が好きなのは七海。それは今日も一緒にいて感じていたはずなのに、この気持ちはなんなんだろう。
僕は家に帰っても部屋にこもり、ひたすら考えていた。僕にとっての2人とは。それでもこの気持ちには整理がつかなかった。答えのない答えを探すようで。
母さんに呼ばれた。
「今日はどうしたの? 帰ってきてからずっと部屋だけど… 」
「いや、なんでもないよ 」
「暖かいコーヒー入れたけどのむ? 」
「もらおうかな 」
「はい 」
僕はコーヒーが好きだ。特にこの季節にのむ暖かいコーヒーは好きだ。
今日はそのコーヒーだけは、いつもよりやけに染み渡るのであった。
第9話ありがとうございました!!天斗がついに2人の気持ちに整理がつかなくなってきましたね。三角関係はとても辛いです!!想えば思うほど。是非、感想、評価、登録等お願いします!!
では、第10話で会いましょう!