第14話 君と僕のこれから
第14話です。ついにセミファイナルです。前話では恵梨香が最後告白しましたね。想いは伝わったのか。そして七海は?
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「私、そらとのこと好きだよ。付き合って欲しいの 」
「え? 」
「言った通りだよ」
僕はいきなりすぎて恵梨香の言葉を信じられなかった。同時に少し恐れていたことが現実になって心情が追いつかない。
「私は、今までお父さんの仕事の関係もあって、友達があんまりできなかったの。でもね、そらとはそんな私を変えてくれた。ここにいる優しい友達が出来たのもそらとのおかげだと思うの。前にも引っ越すってなった時、止めてくれた。あの時は本当に嬉しかったの。これ以上自分に嘘はつかないって決めた。だから私はそらとが好きだよ…」
「う、うん。少し考えてもいいかな? 」
「うん、わかったよ… 」
僕は素直に恵梨香の気持ちには応えられなかった。七海のことも好きな自分がいる。そして恵梨香のことも好きだ。本当に優柔不断で2人を好きな自分が許せなかった。
恵梨香から告白されて数日が経ったが、学校は春休みでなかったためずっと家に篭っていた。
考えても恵梨香を振るような理由は特にない。ただ七海のことがなければ…
連絡を返してなかった僕を心配してなのか、何かに気づいたのか、健太に誘われて、幼い頃3人でよく遊んだ山の公園に夕方、呼ばれて行くことになった。
僕が公園に着いた頃には健太はもういた。
「久しぶりだなー! 天斗」
「うん、久しぶり 」
「なんだ、その死んだ魚のような目は! 」
「あぁ、考え事で。」
「なんかあったんだろ? 」
「僕は学校最後の日恵梨香に告白されたんだ。でもその時、その場では答えられなくて考えることにした。」
「そうなのか、で、答えは流石にもう返したんだろ? 」
「それがまだなんだよ… 」
「お前それはないだろ!! 相手が一生懸命いろんなこと考えて想いを伝えてくれたんだぞ。それで考えるって言って、1週間近くなにも言ってないのかよ…… 」
「うん…」
「お前、それは本当に最低だな 」
「うん…そうだよね……」
バンッ!!
僕は健太に押し倒された。
「いい加減にしろよ!! 」
「痛った…… なにすんだよ… 」
「お前自分が何してるのか分かってんのかよ! お前いつからそんな適当なやつになっちまったんだよ! 」
僕は自分の知らないうちに何かおかしくなっていたのかもしれない。時の歯車はいつから狂ったのだろう。その歯車は留まることを知らない。
「僕は、恵梨香のことも好きだ。でもどうしても七海のことも好きなんだ…… 本当に僕最低だ。ごめん……」
「うん最低だよ… おれの気持ちも知らないくせによ 」
「え? 」
「おれは若林さんが好きだったよ… 」
「え? 」
「俺は若林さんを見た時からずっと可愛いって思ってた。でもいつもお前の側にいた。どんな時も。困ったときに頼るのもお前。俺はなにも頼られない。彼女が何かを頑張るのはいつもお前のためだった。」
「ごめん…… 」
「お前が七海のことがはっきり好きだから、彼女のことを振るのは仕方ないことだと思う…… でもな、中途半端な態度でそんなことしてるお前を俺は許せない 」
「うん、そうだよね… でもどうしたら…… 」
「お前はずっと相澤さんのこと好きだったろ。でも若林さんと出会って2人が好きになった。でも2人のこと好きだからどちらか選べない。そんなのは自分の想いを美化してるだけ。言っておくけど、そんなことで美化されたものほど写りは汚いんだよ。 」
「僕は… 」
「いい加減はっきりして、自分から逃げないで向き合えよ! 」
「僕は、ずっとずっと僕は!!ありがとう健太!! 」
「おい、天斗どこ行くんだ! 」
「恵梨香に会いに行く! 」
「お、おう、頑張れよ! 」
健太は恵梨香にマンションの外で待つように連絡した。
天斗は走り出した。もう辺りは暗くなっていた。
僕は今まで大事なことを忘れていたんだ。本当に大事なことを……。僕は走る。ひたすら走る。恵梨香のいるマンションを目指して。
恵梨香は健太の連絡を受け、マンションの外に出ていた。
天斗は必死に走り、マンションにどんどん近づいていた。
「僕は、決めたんだ。はっきりと。僕は君が好きだ。ずっと!君に会った時から!!ずっと!!!! 」
天斗がマンションに着いた。そこには恵梨香がいた。
「恵梨香、聞いてくれ。僕は好きな人がいる。ずっと好きだって思ってる人がいる。その人は……君じゃないんだ。僕は七海のことが好きだ。いつも優しい彼女のことが好き。何かあったら僕を心配してくれる彼女が好き。僕はいつも彼女に助けられてここまで来れた。七海が当たり前のように接してくれて、七海の優しさを当たり前のように感じていた僕は浅はかだったんだ。もっとその当たり前を大事にしていれば早く気づけた気がする。恵梨香のことを待たせてしまった僕が本当に情けない。恵梨香のことも好きだよ。本当に天真爛漫で、可愛くて、すぐ怒るけど優しい。でも、恵梨香のことはやっぱり友達なんだ。やっぱり僕は……七海が好きなんだ!! !!!」
そんな全力の想いを恵梨香に伝えた。
「うん、ありがとうね。ちゃんと言ってくれて… 」
「待たせて本当にごめん 」
「ううん、全然いいの。そのかわり約束して。七海のこと絶対幸せにしてあげてね! 」
「うん!! 僕はこの想いを七海に伝える。届くかわからないけど、でも絶対彼女のことを諦めない!! 」
「うん、頑張ってね!応援してるね! 」
「それじゃあ! 」
「うん!また学校でね! 」
「うん! 」
天斗は家に向かって歩き出した。
「そらとはやっぱり七海が好きなんだね… でも分かってたことなのにな… 本当に辛いなこれ。こんなに人を好きになったの初めて。こんなにも想いが溢れ出すのに、伝わらないんだね。そらとにはそらとの好きな人がいる。だからこれで良かったのかな… 」
恵梨香は溢れ出す涙に溺れていた。その顔はクシャクシャに潰れていたのに、まるで洗練された宝石のように美しかった。
第14話ありがとうございました。次は最終話です。
ついに最終話になりました。皆様の沢山の応援あってここまで来れました。最後まで是非応援よろしくお願いします。