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『七行詩集』

七行詩 721.~730.

作者: s.h.n


『七行詩』


721.


入り口の階段を降りた奥


野郎は先に始めてるよ、と


ウォッカの瓶を 揺らしていた


騒ぐ気はない けど騒ぎを見るのは悪くない


どうぞ気にせずやってくれ、と


注がれたグラスで合図する


我々はこうして いくつの夜を埋めていくのだろう



722.


自分では 倒れるまで制御ができず


トラブルを起こし続ける機械のよう


私の心だけを取り除いてみてください


そうすれば もう少しまともになるでしょう


私を修理してください


私はまだ 人の役に立ちたい


たとえ心を失っても 大したことではありません



723.


いつまでも貴方の味方だと


口にすることも 思うことも簡単だけど


そこに私が居なければ

              

いざというとき 繋がるかどうかも分からない


一本の電話だけで 貴方を守ることができるだろうか


誰でもいい どうかお守りください


絶やしてはならない 笑顔を 灯りを



724.


水平線に 日が沈むのを 見送れば


胸が締め付けられる思いがする


太陽と海に 全ての命は生かされ


その世界が果てへと 消えてしまうから


浮かび上がる夜は 私達の次の居場所になる


いつかこの地球を 放り出される日が来て


星々の仲間入りをしても 並んでいられたらいいね



725.


描いた夢は 紙一枚の重さしかない


その紙は 畳んで隠したり 大きく広げたり


飛行機にして どこまでも飛ばすこともできる


大事に握りしめておくには


貴方の手の大きさで十分


僕の手の大きさで十分


汗や雨や 涙が染み込み 色づいてゆく



726.


新しいブランドの値打ちは


少しずつ落ちてゆくけれど


思い出の価値は 生きるほどに高まってゆく


戻らない 一度きりの青春時代に


我を忘れた行動や 繰り返す本気の挑戦が


最も輝く 自分を引き出してくれたから


無様でも構わない それが私の真価なのだから



727.


夏の思い出が打ち上がり


遠くの空に消えるのが見えた


きっと 誰かの目の前で 花開き


誰かの隣で見上げたでしょう


夏は毎年 試練のうちに終わるから


町の賑わいをよそ目に


活気を胸に取り戻している



728.


朝は 筆先で染めたような優しさ


正午には 視界を失うほどの日差し


夏の色を覚えておきましょう


ささくれ 全てを捨てたような


静かな秋を迎えるために


紅葉が山を塗り替える


暖かな秋を迎えるために



729.


永遠の未熟が 私を育て上げるでしょう


見守る客席の ライトが落ちた中でも


自分を見失わずにいられるか


コインの裏表だけじゃない


運命を夢に売り渡し 積み上げてゆくものの他には


初めから何も 持ってはいないので


私には 捨てるものさえありません



730.


貴方が世界を敵に回すなら


私は貴方と どんなに大きな渦の中へでも


手を取り 飛び込んで行きたい


隣で顔を覗けば 貴方は迷いのない人ではない


貴方の強さは 不安にも食い縛る強さだから


私は 支える杖の 一つになりたい


私の世界は 貴方そのものなのだから



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