人物・用語紹介
登場人物
侵略者陣営
:2柱の女神、アテナとパラスの加護を授かる者たち。破壊神アレスの支配する異世界『パルターナン』の奪還を目指す。
・佐村庵/理想を捨て、現実を受け入れた元・勇者。
:本作主人公。VRMMOゲーム『エレウテリア・ファンタジー・オンライン(EFO)』日本サーバーにおいて、ブービートラップを得意とするプレイヤー<ナスティ・ジェイル>として名を馳せていた。
しかし卒業直後の2030年4月、女神アテナの恐喝・・もとい勧誘をきっかけに、彼女の遣い<グルゥクス>の第2陣として、ジェイルの姿で異世界『パルターナン』へと渡り、縁を結んだ仲間たちと共に『革命』をおこなった。
しかし、戦神アレスのパルターナン介入と、Mr.アラバマの裏切りにより『革命』は失敗。ジェイルのアバターを喪い、現実世界へ送還された。
それから数ヶ月後、今度は『人間・佐村庵』として、アラバマとその仲間たち『教導者』に支配されたパルターナンを『侵略』すべく旅立つ。
現実世界では、大学を卒業した新社会人。アテナの作ったダミー会社『ミネルヴァ・カンパニー』に籍を置いている。姉は弁護士、両親は国家公務員、祖父は4代前の総理大臣という家系であることにコンプレックスを持つ。
・ダッキ(エレフシナ)/ユルもふ系妖狐。
:パルターナンでの庵の相棒。
庵がジェイルだった頃にアトネスで出会った少女。幻惑をはじめ、多様な魔法の扱いに長けているが、世間知らずなためにトラブルに巻き込まれることも。
その正体は、盗賊ギルドのボスの娘エレフシナに憑依した精霊で、真名は『千年狐狸精』。かつて現実世界で『妲己』、あるいは『玉藻の前』と呼ばれた妖狐である。
女神アテナの創造した異世界へ『遊び』に忍び込んだものの、まだグルゥクスだった頃のMr.アラバマに撃退され、瀕死となったところで、自殺しようとしていたエレフシナ本人と遭遇。彼女の身体をもらい受けた。
その後、紆余曲折を経て、ジェイルのパートナーとなるも、直後にアラバマの裏切りが発生。致命傷を受けたジェイルを連れ、現実世界へ撤退する。
パルターナン『侵略』でも、庵のパートナーとして同行する。
・ナイル/ちょっとグロいオトモなふれんず
:<グルゥクス>の頃、アテナがジェイルに授けたグリフォン(ただし体色はインド神話版)。
体の前半分が金色の鷹、後ろ半分が白い獅子であり、鉤爪や嘴を使った肉弾戦を得意とする。
アラバマ裏切りの際、その場にいなかったため、パルターナンに残され、消息不明となる。
・KOM/怪獣王を夢見るリザードマン
:『EFO』日本サーバー最古参プレイヤーの1人で、庵とは長年の知り合い。リザードマンのアバターで火炎系魔法を好む。プレイヤーネームの由来は『King Of Monster』。
現実世界では大手の映画製作会社で特撮技師をしており、<グルゥクス>の候補者だったが、アテナの勧誘を『仕事が忙しい』との理由で断った。
しかしとある理由により、異世界へ旅立つことに・・・。
本名、芹沢アキラ。
・ガラシャ御前
:『EFO』日本サーバー最古参かつ庵の旧友。巫女装束で呪い系魔法と打撃武器を使い分ける。
現実世界では専業主婦であり、KOMこと芹沢アキラの妻、珠子。プレイヤーネームの由来は旧姓が細川だったこと。
夫同様、<グルゥクス>の候補となるも、『育児で忙しい』と異世界行きを断った。
しかし・・・
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『反魔王連合』
:アレスとMr.アラバマによる統治を良しとせず、パラスとアトネーの女神二柱を信仰する勢力。
対立の最前線である都市国家アトネスを宗主としている。
・イルマ=アトネス
:アトネスの若き女王。ジェイルがパルターナンで始めて出会った人物であり、以後活動の支援者となっていた少女。18才。ジェイルのリタイア後、父である先王の崩御により、位を継承した。
ジェイルの策によりMr.アラバマの裏切りを察知しており、アラバマを『魔王』と標榜し徹底抗戦を宣言。現在まで、戦乱の最前線となったアトネスの防衛を指揮している。
・イリアス
:アトネス王室所属の近衛騎士。かつてはジェイルのパーティメンバーだった。
ジェイルのリタイア後の動向は不明だったが・・・。
平民の出身で、父親は冒険者ギルドに所属。パラス教会を手伝う中で習得した、治癒魔法を得意としている。
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教導者陣営
:戦の神アレスを主とし、Mr.アラバマら<スパルテュイ>と、その配下となった『パルターナン』の人間達で構成されている勢力。破壊神でもあるアレスの影響を受け、好戦的で残忍な思考となっている。
現在、『パルターナン』の東半分を支配している。
・Mr.アラバマ/現実を捨て、異世界で理想を目指す元・勇者
:『EFO』アメリカサーバー最古参の1人。西部劇のガンマンの装束を見に纏う拳銃使いで、アメリカンプレイヤーの頂点に君臨していた。
アテナの誘いに応じた<グルゥクス>第1陣の1人。同じく『EFO』プレイヤーであったクイーン・アバディーン、老大人と共に、『パルターナン』の革命に挑む。
しかし、クイーンと老がリタイアし、計画が頓挫。そこに現れたアレスの甘言により、秘密裏にアテナから離反。異世界に戦乱を巻き起こし、支配することを企んだ。
ジェイルに計画を暴かれ、死闘に発展。ジェイルはアレスに致命傷を負わされリタイアし、アラバマは表立っての武力支配を広め始める。
現在はパルターナンの都市の一つ、アレオパゴスの城に陣取り、現実世界の『EFO』をハッキングすることで<スパルテュイ>候補者を集めている。
現実世界では、庵の悪友シド・グリーンヤード。元米国大統領ベンジャミンを父に持つ。
・ディスノミヤ/強者に従うエルフ
:Mr.アラバマにより異世界へ召集された最初の<スパルテュイ>。召喚魔法を使い、得物は細剣。現在はアラバマの右腕として、参謀と護衛を勤める。
現実世界では、シドの父ベンジャミンの補佐官を勤めた日系アメリカ人、カレン・四宮。
・フォリエ/隠遁する狂乱
:目元と口以外の全身を包帯に巻かれている少女。<スパルテュイ>として召喚された『EFO』プレイヤーの1人。共に転移したエンデュラとコンビで動く。武器を使わないが、精神異常系魔法を多用する。
現実世界では、高校教師の荒無螢。
・エンデュラ/さらけ出す辛抱者
:胸元と腰回りだけを布で隠した、半裸で両手斧使いの女。『EFO』プレイヤーだったが、フォリエと共に<スパルテュイ>として召喚された。
背中に背負ったグレートアックスを振り回すという、単純な戦闘スタイルで言動も粗野だが、思考は明晰である。
現実世界では、螢の教え子、栗瀬夏日。
・アーゲス/ふざけない道化師
:ピエロの装束を纏った青年。格好に相応な軽い口調で話すが根は真面目。しかし暗殺と不意打ちを得意とする。
現実世界では『EFO』初心者の百目鬼武。
・スウィンドラー/堕ちた審判役
:名前以外は詳細不明な<スパルテュイ>。召喚された直後から単独行動を続けており、現在の居場所もわからない。
現実世界でも、詐欺罪で指名手配され逃亡生活中の元裁判官、アストン・ライヤー。
・シナルフェウス/千の刃を統べる仙女
:漢服姿の女剣士。しかし腰に帯びた曲刀は飾りで、本来は仙術の使い手。『教導者』陣営に与する国家の一つ、キャンシル皇国にて、軍の最高指揮官を勤めている。
現実世界では、『EFO』中国サーバーでレイド戦専門ギルドのマスターだった漢民族、ツィ・セイラン。
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オリンポスの神々
:今作の騒動の元凶たち。やることなすことは、ほぼ神話通り。
・女神アテナ
:知恵と戦い(防衛戦)を司る女神、オリンポス12神の1柱。
飽くなき知識の探求の最中、父祖神であるウラノスとガイアの偉業『天地創造』に興味を持ち、異世界『パルターナン』の創造を計画する。
しかし単独での挑戦は失敗し、異世界は一度滅亡。そこで海神ポセイドン、女神パラス、商業の神ヘルメス、自身の配下であるメデューサとアラクネらを巻き込み、『天地創造』の成功例である人類からデータを収集すべく、VRMMO『EFO』を作り上げる。
EFOプレイヤーの行動を反映させた結果、『パルターナン』は発展。しかしさらなる成長を目指したアテナは、テコ入れ要員として、EFOプレイヤーたちを<グルゥクス>に任じ、『パルターナン』へ送り込んだ。
しかし、アレスの介入とMr.アラバマの裏切りにあい、『パルターナン』を乗っ取られてしまう。
現実世界では、『EFO』の運営会社である『ミネルヴァ・カンパニー』の社長を務める。知恵の女神だが、その性格は腹黒。
・女神パラス
:海神ポセイドンの息子トリトンの娘で、アテナとは幼馴染である女神。所有者に無敗を約束する像『パラディオン』の逸話で有名だが、実際はゼウスの雷に撃たれた後も存命していた。
自称『アテナの恋人』であり、彼女の『パルターナン』創造にも積極的に協力する。
パルターナンではアテナと共に守護神という立場にあり、普段は聖域で異世界の様子を観察している。
『教導者』達による支配の後は、抵抗勢力の拠点である都市国家アトネスを『パラディオン』の加護で守りながら、世界を救う勇者の到来を待っている。
・海神ポセイドン
:アテナの叔父でオリンポスのナンバー2。パルターナンを巡る戦いでは、『侵略者』陣営に協力する。
神話通りの女たらしで、姪の神殿に女性を連れ込みイチャイチャした(その時連れ込まれた女性がメデューサである)事を根に持たれ、アテナに頭が上がらない。
・アラクネ
:アテナの配下。元は人間だったが、アテナと機織りの技術で競った挙句、出来上がった作品がアダルトなもの(神ゼウスの浮気現場が題材)だったため、蜘蛛の怪物に姿を変えられ、以降女神の従者となる。
異世界へ旅立った者達のフォローを担当しており、普段は庵の身代わりを務める。
・メドゥーサ
:アテナの配下。元は低位の女神『ゴルゴーン3姉妹』の3女だったが、ポセイドンが彼女をアテナの神殿へ連れ込み、イチャイチャしたことが原因で蛇の怪物に変えられてしまう。あげく、アテナが支援する勇者ペルセウスに首を跳ねられ、アテナの盾アイギスのパーツにされるという、ギリシャ神話の中で有数の被害者キャラ。本作では、首の返還と引き換えに女神の従者となる。
・アレス
:(破壊的な)戦いと狂乱を司る男神。オリンポスの最高位である12神の1柱。
性格は残忍かつ乱暴、しかし軍略には長けている。
守る為の戦いを司るアテナとは宿敵とも言える間柄であり、今回の一件もアテナへの嫌がらせを目的としたものである。
配下にはフォボスとダイモス、エニューオー、エリス、エロースらがおり、Mr.アラバマと共に、<スパルテュイ>として異世界の支配領域を統治させている。
・フォボス、ダイモス、エニューオー、エリス。
:アレスの従者たち。フォボスは『恐怖』、ダイモスは『敗走』、エニューオーは『城壁の破壊者』、エリスは『不和』をそれぞれ司っている。
アレスの命令により、Mr.アラバマの采配に従っているが、内心では不満を募らせている。
・シルウィア
:アレスの産み出した小妖精。現実世界から異世界へ人間を転移させる能力を持つ。
ディスノミヤの肩の上がお気に入り。
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用語
・『エレウテリア・ファンタジー・オンライン』(EFO)
『ミネルヴァ・カンパニー』が運営するVRMMORPG。セーフゾーン無しな上、ゲーム内で死亡するとアカウント丸ごとが消去されるという鬼畜仕様ながら、日本、アメリカ、中国、EUの四か国にサーバーが置かれ、全世界で3億人のプレイヤーを抱えている。
しかしその実態は、女神アテナが『天地創造』のモデルケースとするために製作した実験場。運営は主に商業の神、ヘルメスが請け負っている。
・『パルターナン』
アテナが創造した異世界。1度滅亡したが、『EFO』プレイヤー達から収集したデータによる補正が行われ、中世紀の文明レベルと高度な魔法が存在するまでに成長した。
現実世界のアフロ・ユーラシア(アフリカ大陸+ユーラシア大陸)に似た一つの大陸に、ギリシャの首都アテネに当たる都市国家アトネスと、黄道13星座をモチーフにした国家、合計14カ国が点在している。
しかし更なる発展を狙い送り込んだ<グルゥクス>の1人が、アレスと手を組み離反。現在は、東側半分を乗っ取られた状態である。
・<グルゥクス>
:語源は『グラークス』。女神アテナがパルターナンへのテコ入れ要因として送り込んだ、いわゆる勇者。『EFO』プレイヤーのなかでも知名度の高い者達が候補者となった。
合計で4人が派遣されたが、第1陣のクイーン・アバディーンはワイバーン狩りで討死、老大人はギャンブルが原因の自己破産でリタイアし、生き残りであったMr.アラバマは裏切り。ただ1人第2陣として送り込まれたジェイルは、アレスにより致命傷を負わされ、撤退した。
・<スパルテュイ>
Mr.アラバマをリーダーとする、アレスの加護を賜った集団。
構成員はアラバマのほか、フォボス、ダイモス、エリス、エニューオー、シルウィア、ディスノミヤ、アーゲス、フォリエ、エンデュラ、スウィンドラー、シナルフェウスの計12名で構成されている。
いずれもモンスターを使役しているため、パルターナンの民達からは『魔王軍』とも呼ばれているが、アラバマ自らは『教導者』と称している。