表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/30

25.夜道にて。

 

 ツン薔薇の横に並び、両方共に黙ったまま、月明かりの中をゆっくりと歩く。


 冷たい夜風が間を通り抜けて、ちょっと寒いな、と思い始めた頃。


「……そろそろ、寒くなってきたんじゃないのか?」


 これは文面通りに受け取っちゃいけないよ。


 寒くないか、つまり寒くない所へ行けばいい。って言ってるわけだ。


 簡単に噛み砕いて言えばさっさと帰れ、と。


 ――――でもそんなの嫌だね。私はさっさと好感度を上げたいんだ。黙って着いて行かせろ。


「いいえ、まだ大丈夫ですよ。……ところで、行き先はどちらなんでしょうか?」


 そう言いつつ、笑顔を作る。


「……特にないな。ただ、寝つけなかったから、歩いていただけだ」


「それでは、特に行き先は無い、と。……それじゃあ」


 ……さて、ここ、どうしようか。


 ここでは三つ、選択肢がある。


 まあ、一つは何も変化が起こらない、ここまで来たのが無駄になるゴミ選択肢だから実質的には二つの選択肢だけれど。


 ……一つは、このまま歩き続ける。


 二つ目は、薔薇園に……。


 薔薇飽きたし普通に歩くか。


 二つ目の方が好感度上昇は大きいけれど、魅力の倍率で大体どうにかなるさ。後あんな甘いドロッドロしたイベントなんて嫌だね。


 一応、一つ目も利点はあるんだし。


「では、このまま、ここら辺を一周、で良いですかね?」


「……それで、いいんじゃないか?」


「ええ、そうしましょう」


 ▲ ▽ ▲ ▽


 で、一周歩くのが終わりかけになった頃。


 急に、頭に手を載せられて。


「……しゃがめ」


「え?」


 触んなって言いたい気持ちを全力で抑え、言われた通りにしゃがむ。


 向こうの選択肢の吐きそうな位の糖度100%のやつよりはマシだ。


 ――――で、しゃがんだ頭の上をシュッ、と何かが通る風切り音。


 別に驚く訳が無いけれど、一応驚いたふりをして、何かが飛び去った辺りを見る。


 ……それは、さっきと同じ姿、大きさに見える、ブラッドバット。


 ただ、かなり距離が遠いところを飛んでる。でも大きさ見た感じそのまま。


 さっきの最初の蝙蝠の三倍は距離があるんだけどもねぇ。


 まあ、何が言いたいかって、遠近法で同じ大きさに見えるけど、こいつデカイわ、って事。


 そりゃ当たり前だけれどね。


 このデカイ方の蝙蝠はさっきの奴の親玉。


 子分が殺られたからその仇を取りに来たんだろうね。


 そしてツン薔薇はさっきと同じ様に、魔法銃を抜いてまた同じ様に発砲。


 パン、という、弾ける様な音と共に、魔力塊が飛んでいく。


 この発砲音最初の頃はちょっと苦手だったりしたなぁ。


 でも、この蝙蝠、やっぱり遠いし、何よりさっきの雑魚より超機敏。


 二発目、はずれ。


 蝙蝠側の攻撃、はずれ。


 三発目、はずれ。


 おいおい、どっち共、全然当たってないよ? ちゃんと狙ってる?


 ……とはいえ、完全に黙りながら蝙蝠を狙っているツン薔薇は、大分照準のずれも修正出来てきた様で。


「キャイ?!」


 わぁ、面白い声。……じゃなくて。四発目、思いっきりかすったね。このままじゃすぐやられちゃいそう。


 って訳で、少し細工を。


 後ろ手に六花を軽く鞘から抜き、周囲に細かい気流を沢山起こしてみる。精密さは求めず、ひたすら適当に。


 六花、杖代わりにも一応なるから便利だよねぇ。


 で、結果はすーぐに出ましたとも。


 面白い位弾道が逸れる逸れる。


 五発目、六発目、七発目、八発目。


 段々とツン薔薇の顔に焦りの様な物が見えてきた。いいぞ、もっと焦ればもっと外れる。


 最初は怯えていたっぽかった蝙蝠も、大分調子付いてきたのか、ツン薔薇をしっかりと狙う様になってきた。


「……っ!」


 弾を避けて(逸らしてもらって)飛び込んで来た蝙蝠の爪が左肩に命中。先制出来たね、おめでとう蝙蝠君。


「キャイイィィィ……」


 ……んあ? ……あ。


 ……当たっちゃった。


 そして、当たり所が悪かったのか、よろよろし初めて――――


「……ィ…ィィ……」


 落ちた。




 ……呆気ない。


「ふぅ…………」


「あ…… お疲れ様、でした?」


「もう一人居れば、楽だったんだが。……君は、戦えたりしないのか?」


「い、いえ! 戦えない訳では無いのですが、余り邪魔してはいけないかと思い……」


「……そうか、それならいい。」


 私も戦ったら一瞬で終わっちゃうじゃん。


 折角の見学チャンス、逃しはしませんよ。


「――――あ、もうそろそろ、終わり、ですね」


「そうか」


 相変わらず淡白な答えを聞き流しつつ、最初の地点に立ち直す。


「今日は、付き合って下さってありがとうございました」


 お礼を言って、頭を下げる。ただし下向いてる時はべーっと舌を出して挑発。そうでもしないとこんな面倒臭い事やってられるか。


「……気を付けろよ」


 ツン薔薇はそう言い残し、背を向けた。


「また、会いましょう!」


「……そうだな。また会おう」


 デレるな気色悪い。最後に酷い置き土産残して行きやがって。


 さて、これで好感度上げ、終わったし。


 後はデートをやって情報ばらまくだけ。


 ……後、ちょっとだ。




いつの間にか総合ptが100を越えてました。


……嬉しい。


少しずつ、頑張って行きます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『マグネット!』様でも、投稿させて頂いてます!

HGvCC3mwdaIZynSIx1LCA9UbiYd25onAT4u4FXpH.jpeg
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ