14.使ってみよう。
そろそろ書き溜めの不足が深刻に。
更新2日開いたら察してください。
はいこんにちは。
今は、武術の授業が終わった後の放課後。グラウンドの横にある、修練所に来ている。
修練所は、雨の日とか、室内での戦闘の訓練の為の場所だね。通常の時は一般に開放されているよ。
ここで何をするかって言うと、術剣の試し切り。
店でやるのはあまりしたくなかったからね。…………あの時は調子に乗って剣バカの目の前でがっつりコンボ決めちゃったけど。
あの時は疲れもあったし、何より術剣が使ってて楽しいのが悪い。
つまり私は悪くない……訳では無いんだけど。
そんなどうでもいい事は置いておくとして。
ここ、修練所にも先日お世話になった案山子さんが居る。今度は木製。隣に藁もあるけど。
……今日も宜しくお願いします案山子師匠!
で、術剣を構える。
「ふぅ…………」
よし、行くぞー。
何時もは氷属性使ってばっかりだから風属性からスタートしてみようか。
風を術剣に纏わせて不可視の剣を作り出す。長さは、術者からは何となく分かる様だ。
……少し音がするね。風の刃は、完全に分からない訳では無さそうだ。それでもかなり視認性が低いから、割と使えそうではある。
案山子に向けて袈裟斬りで風の刃を降り下ろす。
降り下ろした刃が案山子に当たっ――――えっ?
降り下ろされた刃は、ほんの少しの抵抗の後、案山子で止まる事なく振り抜けてしまった。
ありゃ。そっか。そうだよね。
実体が無いんだから、攻撃が当たってもすり抜けるんだ。
ぶんぶん、と案山子に二度、三度振ってみる。
その度に案山子は少し揺れるが、手応えは当たったかな? 程度しかなかった。
これ……風刃はこんな感じかな? ……風刃は今名付けた。
んー……。
こんなのは、どうなんだろう。
また風を纏わせてみる。
ただ、今度は、剣の先の方に竜巻のような物を纏わせる形だ。
ええと、何だっけ。こんな掘削用の魔術具があったような? それみたいな感じ。名前忘れちゃったけど。
……記憶力に自信があるとは何だったのだろうか。
……この風の剣の特徴としては、さっきの隠密性のある空気の刃とは違って、音が凄いし、空間のブレみたいなのが見える。そのせいで前が見辛い。
まあいいか。
ちょっとこれでやってみよう。
斬る……のはあんまり合ってなさそうだし、突いてみようか。
勢い良く突いてみる。術剣は軽いので、突きが苦手な私でも、割としっかり突くことができた。
ガリガリガリッ!
おお、凄い音。音だけで全然傷ついてないけど。
案山子にするより鎧にしようよ。本当に。
で、評価としては、普通に良いね、これ。細剣と違って、若干外してしまっても、しっかりとダメージが与えられる。風属性はこれが主力になりそうだ。
よし、こっちは嵐剣とでも呼ぼうか。
次は火、なんだけど、「温度変化以外の火属性魔法はこの術剣に纏わせないでね?」って言われたんだよねぇ。確かに、すっごい火属性と相性悪そうだよね、この術剣。
うん、じゃあ……氷と火の複合属性、水属性でいこうか。
因みに、ただ水だけを使うだけなら、氷属性で出した氷を火属性で溶かすよりもこっちを使う方が良いんだよね。
時間効率的にも、魔力効率的にも効率が良くなるから。魔力の時点で性質を混ぜると、エネルギーのロスが少ないんだよね。
最初から水を使うなら水属性。
氷属性で出した氷を水として再利用のコンボにする時は時は氷属性→火属性って形だよ。
しっかり使い分けようねー。
んで、水。水ねぇ……
利点と言えば、服が濡れて動きにくくなる事だけど、それなら術剣無しでばしゃー、って掛ければ良いだけだし。
……発想を変えてみようか。
攻撃するんじゃ無い。補助に使うんだ。
じゃあ、これをこうして……
▲ ▽ ▲ ▽
という訳で生まれたのがこれ。
術剣を横に振る。
すると、剣が通った後に真っ白な濃霧が幕を作り出した。そのまま数度振り抜くと、もう案山子が全く見えなくなってしまった。
距離を取りたい時に使えそうな、って感じで作ってみたよ。これで隠れてダッシュで逃げる。そんな使い方だよ。
一応私、魔法での遠距離戦闘も出来るし。
よし。こんなもんかな。
後は、何時も使っている、氷の剣。氷刃……(今付けた)のパターン、かな。
今は普通に長めのショートソードしか使ってないけど。
ショートソードは諸刃……両刃だし、片刃の剣……うん。
サーベルにしよう。
そう思って、少し魔力を流してみると、すぐに刃が出来ていた。
……本当に氷属性の相性いいんだなぁ。模擬棒作るの、こんな短時間で出来ないよ。
サーベルも私の非力さを考慮して短め。つんつんと湾曲した刃の裏の方をつついてみる。
……よし、裏の方に刃、付いて無いね。
それを確認したところで実践スタート。
「……ふっ!」
鋭い呼気と共に剣を振る。
横に大きく振り抜いた後から、一筆書きの様に剣筋を移動させて右下から切り上げる。
――――そこから突きに…………って、曲がってるから突き出来ないじゃん。
……何となく締まりが悪かったので、八つ当たり気味に一発切り付けてやった。
うん、特徴としては、やっぱり湾曲してる分ショートソードとは重心が違うって事。
少し剣先に重いから、遠心力を使って切り付ける感じ。
ショートソードより、動きを大きくする必要がありそうだ。その分、速度の乗り方はかなりあるけど。
突きが出来ないのも動きが大きくなる原因かな?
次は…………。んー……………………槍?
短剣が扱えるほど機動力に自信が無いしね。
問題は、術剣の柄が短めだから、氷部分を握る事になる事かな。
手袋、一応あるけど。 もうちょっと厚い生地じゃないと駄目そうだなぁ。
今日はここまでにしとこうか。
術剣のサーベル型の氷刃を溶かして……
そういや、この術剣の銘、付けてなかったなぁ。
白い、細くて軽い。後は、吹雪に関する素材が使われているんだっけ?
……六花。
ありきたりかもしれないけれど、いい名前だと私は思ったからこれにするよ。
だって、私の殺すべき人数も、丁度六人だから。
――――千切るべき花びらは後五枚。
まあ、もうすぐ四枚になってしまうけどね。
……本来は、雪の結晶の形を表した言葉だから、花びらに例えるのはおかしいのかもしれないけれど。
私が分かればいいんだから、別に良いさ。
「よろしくね、六花」
私はそう言って鞘に戻し、メニューから術剣の名前を『六花』と付ける。
そして、その青い柄を軽く、撫でてあげた。
サーベルって実際重心どこにあるんだろう。
因みにこの世界ですが、漢字、普通にあります。日本語のゲームの中で、漢字が無いわけないでしょうと。
……設定は捏造したりとか、どうとでも出来るのが現実じゃ無い世界観の良いところ。
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