12.これにしよう。
GWが終わってしまったので、7時投稿が復活。
※チュートリアル君並みにデートまでの期間短くね?という疑問がある方がいらっしゃると思いますが、チュートリアル君イベントの為に割と前から会って居ます。……という風に脳内補完してください。
はい、こんにちは。私です。
今日も元気に攻略、頑張るぞー。
今日は休日。前日のイベントでフラグ立てておきました。事前の準備は大切だよね。
誘いの言葉は、
「一緒に武器でも買いに行かないか?」
でした。
武器屋って女の子を誘うような場所じゃ無いと思うんですよ。やっぱバカだ。
▲ ▽ ▲ ▽
待ち合わせの場所に来て、剣バカを探す。
えーっと……居た居た。やっぱり赤髪は分かりやすいよね。逆に返り血は目立たなくなりそう。
そう考えると、赤髪って便利そうだなぁ。
私も金髪じゃ無くて赤髪だったら良かったかも。
「お待たせしてしまってすみません、エルナン様」
こちらとしては、ずっと待たせ続けても良いんだけどね。
「おっ、来たか! 待ってたぞ! さあさあ、早速武器屋に行こうじゃないか! 杖系、剣系、何処でも良いぞ!」
で、ここで得意武器があるならその得意武器を選んでそこに向かうんだけど。
私、ロクに武器扱った事が無いんだよね。
ある程度、武器と言える様な物は、授業の模擬剣くらいだよ。まともな武器、とは言えない気がするけど。
それ以外は、氷の棘をブッ刺したりとか、氷の棒を振ったりとかしかしてないし。
という訳で、実戦経験が足りない私には、この選択肢。
「私、あまり武器を扱った事が無いので……どうすればいいか……」
「……ふむ。そうか。それなら良い場所があるぞ! こっちだ! 着いてこい!」
よし、行こうか。武器。選んでいこう。
▲ ▽ ▲ ▽
「ここだ!」
連れてこられたのは、それなりに大きいけれど、普通、って感じのする武器屋だった。
どうやら、量産されている、扱い易いタイプの物を置いているらしい。汎用型って事だね。
戦斧、長剣、弓などの物理武器から、杖などの魔術用武器まで、幅広い種類の武器が綺麗に並べられている。
「ここで選んでから、その武器の専門店に行くぞ!」
というわけで、店の奥にある試し切り用の藁製案山子君に手伝って貰いましょー。
ここで試し切りしまくって自分に合った武器を選べ、って事だね。
▲ ▽ ▲ ▽
長剣。
「それはどうだ? 使えそうか?」
「……長くて扱いづらいですね」
「……そうか。なら――――」
純粋に重いし長すぎる。これ背負って歩ける気がしない。
短剣。
「……剣が届きません」
「女だからな。間合いが狭いのは仕方ないだろう」
それは貶してるのか? ん? 殺すぞ。……次。
細剣。
「……あまり上手く突けませんね」
「……魔術武器もやってみるか?」
……そうしようか。うん。……次。
杖。
「……あまり威力が増加してないですね」
「なんでだろうな?」
分からないのかよ。
……正直、物を通して魔術を使うのって、なんか難しい。ずっと使わずに魔術を撃っていたたからかな。
次。
槍、棍、刀、短弓、長弓………
『私』が使った事が無いような武器まで使ってみても、まだ、良い武器が見つからない。
もはや目を瞑っても案山子に攻撃が当たるようになってきた。
……何気に、どれだけ切っても、殴っても、傷が付かない、壊れない案山子って、普通にやばいよね。
これで城壁築けば無敵じゃん。なんで使われないんだろう。まぁそこらへんはご都合主義なんだろうけど。
そんな現実逃避は置いといて。
はぁ…………。
もしかして、向いてる武器、無いのかなぁ……。
「……これが最後だな。これが合ってない様なら妥協した物にするか、魔法主体で戦うべきだろう」
心做しか、剣バカも元気が無くなってきてるように見える。今なら簡単に殺せそう。私も疲れてるけどね。
まあもう二時間位は経ったし、疲れるのは仕方がない。
そんな剣バカから、武器を受け取る。
……目茶苦茶軽いな。これ……武器なの?
他の剣などと比べて比較的長い柄。
そこから伸びている細い指揮棒の様な針?……刀身? がある。
……それだけだった。
「それは、様々な魔法を纏わせるという武器だな。氷魔法で氷の剣を作ったり、風属性で見えない刃とかが作れたりするぞ」
ほーう? ……面白そうな武器だね。
「まあ、大概魔法飛ばしたりした方が良いとか、魔法は打ち消され易いから普通の武器で良いとかの意見が多いな。ただ、汎用性が高いから好んで扱う者も居たりする」
成る程ねぇ。……これ、模擬棒に似てるね。
一番得意な氷魔法で刀身を構成してみる。
長さは大体長剣よりちょっと短い位で。
おお、模擬棒で氷振ってたからか、氷製だと凄く扱い易いやすく感じる!
それに、なんだか芯があると刃が作りやすいし、握るところが滑らなくなった分、とても振り易い。
数度空中で素振りをした後、案山子に剣の切っ先を向ける。
案山子の首っぽい所を横から振り抜き、流れを逃がさないように注意しつつ、縦に切り下ろし、斜めに切り上げる。
切り付ける度に、案山子に剣が打ち付けられる、サクッ、という小気味良い音が鳴った。
ああ、これ良いじゃん!
後ろに大きくステップで下がりながら、火魔法で刀身を溶かし、水にさせる。風魔法でそれを包み込み、指向性を持たせ、勢い良く飛ばす。
案山子に当たる寸前くらいでかなり強めの火魔法を水に掛けて水を気化させて、水蒸気にする。
後は、風魔法を解除。
固体から気体になることで体積を増したそれは、勢い良く案山子に当たって、かなり大きな音と衝撃を室内に響かせた。
勿論、案山子の周りは風魔法で壁を作っといた。流石に店に被害は出したくない。
「……それはどうだ? 使えそうか?」
「気に入りました。これにしましょう!」
うん。これだね。何故かもう、これ以外考えられない。
今までやってた練習も無駄に成らなさそうだし、何より使ってて楽しい。
……取りあえず、この武器の店に行ってみよう。
そういや、この武器、なんていう名前なんだろうね。
まあ店に行けばすぐに分かるだろうし、今は良いか。
私は、自分の武器がどんな物になるかを想像しながら、上機嫌で店を出た。
のらりくらりと遊んでいたらいつの間にか書き溜めが減っていたという恐怖を原動力に書き上げました。
……漫画家さんの〆切ってこんな感覚なんですかね。
……怖い。
後、原理はどうだのだとかは聞かないでください。お願いします(懇願)。その場の脊髄反射で書いてるので。
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