ギブアンドテイク×2
第125回フリーワンライ
お題:
膝枕の特権
フリーワンライ企画概要
http://privatter.net/p/271257
#深夜の真剣文字書き60分一本勝負
膝枕の特権
あらすじ:
膝枕をされる。
膝枕をする。
それぞれにそれぞれの思惑がある。
後頭部に柔らかさと温かさを感じながら、品種はわからないが、何か花のような可憐な香りを嗅ぐ。
優しさに包まれるとはこういうこと……そう確信させる。
滅多にない経験に体を預ける。角度的に首というか顎に変な力がかかるのは仕方がない。
目を閉じているため見えないが――物凄く恥ずかしい、にやけてないだろうか――俺は今、彼女に膝枕をしてもらっている。
家にある、毎晩使って中央のへこんだ枕などとは比べものにならない多幸感。楽園はここにある。
毎回頼むのは恥ずかしいし、せっかくの二人の時間を寝て過ごすというのも勿体ないし、彼女だって同じ体勢で座り続けるのもしんどいだろう。
彼氏の特権とはいえ、なかなかやってもらえないのが残念だ。
穏やかな風が額を撫でる。
……室内で?
*
――とか思っているんだろうか?
くすりと笑った拍子に、吐息が彼の前髪を撫でた。
彼は想像しているだろうか。私が膝枕しながらずっと彼の顔を見つめていることを。
口元が緊張している。にやけそうになるのを我慢してるんだ。二人っきりなのに体裁を気にするなんて馬鹿だなぁ。
膝枕も申し訳ないとか思ってるんだろう。
それは違う。
無防備に体を預けられるのはこれ以上ないほど優越感がある。
それよりなにより。
彼の存在をこんなに間近で感じて、顔をじっと見つめていられる。
世界で一番近い彼との距離。
私だけの特権。
『ギブアンドテイク×2』了
提供してる側が提供されてないわけではないみたいな。