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花花  作者: 江戸川維新
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はなみち⑤

「............はあ」


肩を落とす、ため息をつく、ブルー、失言、グレー、凹む...、「ミラージュ」からの帰り道、オレは思いつく限りの負の感情表現を、さっき作りかけたばかりの、墓参り用の花束の写メと一緒に、ミクシィに投稿して、深くため息をついていた。歩きながら。器用である。

それにしてもあのグラサンめ、人には失敗のひとつやふたつはあるだろうに厳しすぎやしないだろうか。まあ確かに昨日は暴力事件、今日は接客ミスと、2日連続で続いているが。さすがに途中早退はメンタルに来るものがあるよな。

オレに足りないものねえ......

25歳、イケメン、175センチ、痩せ型、「ミラージュ」のエース、全国2位、のオレに足りないものなんて皆無だろう。むしろ、お釣りが来てもおかしくはないはずだ。わかってないなあどいつもこいつも。

と、珍しくセンチメンタル?な気分に浸りながらふと顔を上げると、最寄りのゲーム屋があった。

「どうせ帰っても暇だしな......」

オレはゲームを買って帰ることに決めた。

ゲーム屋の入り口を開けようとすると、『close』と扉に書いてあった。なんだ休みかよ。

オレはその近くにあったはずのゲーム屋に行くことにした。 しかし、その近くのゲーム屋も、『本日臨時休業』と書いてあった。くそう。

オレはなぜか意地になってきた。

そうだ、チェーン店のレンタルDVD屋なら、ゲームソフトコーナーもあるはずだ。と思いつき、普段は行かない商店街の中にあるチェーン店に足早に向かうと、『店内改装のため本日休業致します』だと。

お前を改装してやろうか、などとよくわからない愚痴をこぼしながら、トボトボと商店街を歩いた。普段は通らない道なので、イロイロ新鮮な景色が見てとれる。

へえー、こんなところに唐揚げ専門店なんてあったのか、うまそうだ。こっちには、帽子専門店。ハットでオシャレに決めるかな。と見ていると、

「ん?古本屋?」

売り上げがうまく伸びず経営が傾いてます感全開の、いかにも潰れそうなレトロな古本屋を発見した。よく見ると入り口のドアに、『ゲームソフトはじめました』と、かき氷や冷やし中華と同じようなテンションで、そう書いてあった。

うわー、大丈夫かあ?、と半分疑いの眼差しがあったことは否めないが、もうここしか店がないという事実がオレを突き動かし、その古本屋のドアをおそるおそる開けた。



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