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第一王子アルフレッドという人物(???視点)

彼は完璧だった。


見事な黄金の髪、蒼氷色の美しい瞳。その面立ちは、まるで神が創りたもうた芸術品のようで、筆舌に尽くしがたく。目が合ったご令嬢方はもとより、遠くから眺めるだけの御令嬢方、果ては男性すらも魅了してしまう。あまりの美しさにまっすぐにその顔を見られるものなど、幼い頃から共に育った親友くらいのものである。


その頭脳は、王国最高の頭脳を持つといわれる宰相さえ唸らせ。幼いながらも、王国騎士団さえ手を焼いていた巨大奴隷売買組織を潰してしまうほど。


その保有魔力は宮廷魔術師長が卒倒したほど。しかも全属性が扱えるというあり得ない事実。全属性が扱えるものなど、伝説に残る勇者か英雄か建国の王など歴史に名を残すような傑物しかいない。


さらに幼くして魔道具の構造を完璧に理解し、またいままでにない新しい魔道具を発明するという偉業まで成し遂げている。二百年ほど停滞していた魔道具業界は、ここ数年で驚くほど革新的な進歩をとげた。


その剣術も槍術も体術も、各騎士団長も王国最強とうたわれる将軍も軽く凌駕する。王子を守れるように、を合言葉に王国の騎士団も軍もいままでにないほどの精強ぶりだ。


さらに芸術方面にも優れた才能を発揮している。どんな楽器も初見で人を感動させるほどの美しい音色を奏で、歌を歌えばどんな獰猛な獣もひれ伏すありさま。


絵を描けば、一流の画家が絶望で筆を折ってしまうほどに素晴らしく感動的な絵が出来上がる。


そんな彼には唯一欠点があるといわれている。


彼は誰にも心許しはしない。誰も愛しはしない。決して笑顔を見せることはなく、優しさのかけらも、情もないといわれている。


誰からも畏怖される彼は、けれど一部の人間たちからは熱狂的に慕われている。それも恐怖で押さえつけているわけではなく、本人たちの意思で心のそこから彼に仕えたいと思っているのだ。


その理由を、僕は知っている。


彼が本当はとても優しくて、温かで、情に厚い人だと。本当の彼は、孤児や奴隷を拾って教育を施したり、自分を殺しに来た暗殺者に情けをかけて、逆に味方にしたり。自分嫌っていると知っている弟妹を命をかけて助けたり。実はこっそり偽名を使って孤児院に寄付をしたり、貧しい子供でも通える為に給食付きの学校を作ったりしていることも。


彼はけれど、自分が行った善行を決して声高に吹聴したりはしない。誰に言うことなく、たとえ誰にも理解されないとしても、誰かが困っていればさりげなく手を貸すのだろう。そもそも自分がしている行為が善行であるなどと、思ってもみないことに違いない。彼にとってそれらは当然の行いであり、息をするのと同じくらい当たり前のことだからだ。


そんな愛情深く、完璧な彼を僕は深く尊敬している。妬ましく思うことすら、おこがましいほどに彼は完璧だから。


だから僕は誓ったのだ。


いまはまだ守られるだけの僕だけど、いつまでもこのままじゃない。


優しい彼を傷つける邪魔なあの人を、彼にバレないようにきっと排除してみせる。そしていつか彼の片腕になって彼を助けるのが、僕の夢なのだ。











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