cake.
『チリリンッ』
「いらっしゃいませ~」
ここは、ケーキ屋『hamingu』。
読み方はそのまま『ハミング』だ。
で、俺がその店の店主、篠乃 健汰(26)。
ささの けんた、だ。
この町では、そこそこ評判のいいケーキ屋で、幅広い世代に愛されているケーキ屋。
今から語るのは、二年前の話。
『チリリンッ』
「いらっしゃいませ」
「やっほ~篠乃さぁん」
「また、君か。」
二年前の『hamingu』はあまり人気の無いケーキ屋だった。
それもそのはず。ここから一番近い学校からでも、徒歩30分くらいはかかるのだから。
だけど、その学校でたった一人毎日来る女の子がいた。
その子の名前は俺も知らない。
ただ分かるのは、高校生だって事と、おしゃべりさんで、ポニーテールが似合って、ショートケーキと苺のタルトが大好きということだけ。
「篠乃さん。売り上げどうですかぁww」
『イラッ』「馬鹿にしてるのか?」
「あはははっそんな怒らないでくださいよ!」
「・・・まぁまぁ、かな。」
「ふぅん。」
そう言いつつ、少女はケーキやタルトなどが入ったケースの中をじっと見ていた。
「今日はぁ・・・バナナケーキにしようかな!」
「はいはい。・・・店内で食べますか?」
「もちろん!!」
すぐにショーケースをあけ、バナナケーキを一つ取り出した。
「はい、どうぞ。」
「どうも。」
「あ、紅茶もお願いしまーす。」
「はいはい。」
その後、レジに一番近い席に少女が座ると、いつも世間話をするのが日課だった。
その日はたしか少女の担任の先生の愚痴を聞いていた。
それが、俺にとっての日課であり、俺にとっての楽しみでもあった。
なのに、ある日のこと。
少女が来なくなった。
来なくなったその日は雨が降っていた。
それも、かなり降っていたもんだから、来なくても不自然では無かった。
だけど。
その次の日も来なかった。
その日は、昨日の雨が嘘だったような晴天だった。
なのに、来なかった。
その次の日も、その次の日も。
ついに、一週間たっても来なかった。
もう諦めていたそんな日。
『チリリンッ』
「いらっ・・しゃいませ」
少女かと思ったがよく見ると、少女と同じ制服を着た女の子二人だった。
ぼーっとしていると少女達の話がふと聞こえてきた。
「ねぇ、北村さんってさ」
「何?」
「お母さんの方の母親、つまりおばぁちゃんが病気で大変なんでしょ?」
「そうそう。だから、この頃学校にも来れてないんだって。」
「転校するって話もでてるよね・・・。」
つまり。
あの少女は北村という名字で、祖母の病気で来れないってことか。
あぁそうだったのか。
じゃあもう来ないのか。
・・・あれ。
なんでこんなに悲しいんだろうか。
現在。
少女はあれから来ていない。
転校したんだろうな、と俺は思っている。
そんな時。
『チリリンッ』
「篠乃さん!!」
「・・・いらっしゃいませ」
あれ。
なんだか笑顔がこぼれた。
裏夏です。
いかがでしたでしょうか?
恋愛・・というかなんていうんでしょうかね(笑)
まぁ最後あの少女、北村さんが二年後になって帰ってきて、篠乃さんが自覚はしていませんがとてもうれしくなって笑顔がこぼれてしまった、ということですね。
ここまで読んでくださった皆様ありがとうございました。




