間に挟まるチャラ男
「おのれぇぇぇぇぇぇぇ!謀ったなオタク女ああああああ!」
チャラ男は、顔がいい男である。
中学時代から、ほどほどに勉強しつつ、ほどほどに交友関係も持ちながら、ほどほどにオシャレに精を出して、そしてほどほどにチャラくなった。
程よい男子高校生だった。
そんなチャラ男にはカノジョがいる。
カノジョは、ギャルだった。チャラ男からして、とてもかわいい女の子である。
入学式で一目見て、この子いいな……となったチャラ男が猛アタックの末、晴れてお付き合いをすることになった。
付き合って3ヶ月になる。
そんな学校生活めっちゃ楽しいチャラ男が今。
「残念だったねぇぇぇぇぇ!チャラ男は今、私によって存在を抹消されることになりますぅぅぅぅぅぅ!」
存在を抹消されようとしていた。
オタク女のせいである。
「君たちはお付き合いをしている。そう、つまり、憎むべきリア充!それも男女でのお付き合い!ならば、間に私が割って入ることで何が起きるかは自明だよねぇぇぇぇぇ!」
オタク女は、非常にやかましかった。チャラ男の声量の5倍くらいはあるだろう。
学校の廊下に、キンキン声が響き渡る。
「そう!チャラ男!君はたった今からぁぁぁぁぁ!百合の間に挟まる男になったんだぁぁぁぁぁぁぁ!」
「クソが!何が目的だよお前!」
「何って…………」
オタク女が、チャラ男のカノジョの腕を引いて、ぎゅっと抱きついた。
「百合の間に挟まった男を抹殺することに決まってるじゃんね」
「くそおおおおおおおおおおお!」
チャラ男は非常に焦った。オタク女が、何を目的としているか本当に分からなかったからだ。
否──もしかしたら、オタク女も目的なんてものはないのかもしれない。
無意味に意味を求める。それが十代であり──それこそが青春なのだから。
「……………なんでもいいけどさ」
それまで口を閉ざしていたギャルがしゃべった。
声が、3オクターブほど低かった。
チャラ男とオタク女は、動きをとめる。非常にまずい気配がした。
「百合だかなんだか知らないけどさ。お付き合いしてる2人の間に割ってはいる存在自体が、許されるわけないよね」
「え、でも、女同士なら、なんか許されたり「いま、この状況で許すかどうかを決めるのは、こいつのカノジョたるあたし。違う?」
「…………っす」
オタク女は泣いた。
チャラ男は笑った。
「ざまあみやがれ!!!!怒られてやんのーーー!!!!」
ギャルが、チャラ男を一目惚れさせた笑顔を浮かべて、一息にその距離を詰めた。
そして。
「おい。お前も黙れ。うるさい。口も臭いな。今日はキスなし、よ。映画行くよ。14時からの回見るんでしょ」
チャラ男は、ギャルの荷物を持った。平身低頭こそが、今この状態に許された姿勢だった。
ギャルが咳払いをする。オタク女とチャラ男はまたもや静止。いま、場を支配しているのは異論の余地なくギャルだった。
「怖かった〜♡」




