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ep.9
夕ご飯を食べながら窓の外を見る。窓の外が眼を刺すような、それでいて柔らかな深い橙色の光で満たされている。その光を三つの写真立てが反射した。一つは、小学生の頃の僕と父さんが写った写真。もう一つはお父さんとお母さんが写った写真。そして最後の一つは渚さんが写った写真だ。何故か写真の中のみんなが、僕を見つめているように思えた。
「ねぇ、何で、こっちを見てるの」
声を出すが、勿論何もかえってこない。でも、どこかで、かちゃん、と何かが落ちる音がした。耳を澄ましてみると、どこかで何かが微かに鳴っている。
僕は目を閉じる。感覚を研ぎ澄ます。
音の鳴る方へ、ゆっくり、ゆっくりと歩いてゆく。
やはり、微かに、何かが鳴っている。音が、一番近くなる。
目を開けると、そこは、渚さんの部屋だった。そこには分厚い箱が落ち、その中に入っていたであろう、風防が壊れた男物の腕時計とペンダントが落ちていた。
僕にはその腕時計とペンダントに見覚えは無かった。でも、気づいたらその腕時計に手が伸びていた。




