施策
注)戦争の話があります。苦手であればブラウザバック推奨です。
都立東高校。2年A組の3限の授業で現代社会の授業が行われている。ウン数十年前までは、社会の授業は地理、世界史、日本史、倫理と別れていたようだが、
文科省が、若者が現代を知らないのでは良い将来は作れないといったことで、理系、文系、世界史、日本史の別なく、全ての生徒に高校の初期に現代史について「現代社会」科目として年45時間教え、その後、地理発展、世界史発展として、細かな縄文時代とかポドソルとかエピクロスだとかを、選択科目として教えるようにと、各学校法人に通達を出したようだ。
担任のヤマダ先生は社会担当の教職について10年。幾度この授業を行ってきたことか。受け持ちの生徒からは聡美の文字をとって、さっちゃん先生と呼ばれている。
「えー、今日は、タイムトラベルタクシー制度について説明する。皆もテレビとかで見たり使ったことがあるんじゃないかな。先生も若い頃は許可証をもらって、時間旅行したわ。懐かしいわ。」
「てなわけで、2時間かけて、これをさらっと勉強するよー!あんまり、試験とかには出ないけど個人的に社会に出てから必要になるやつだからかいつまんで話すわ。 この制度ができてからうん十年をめーーーちゃ省略してるから、わかんないことあったらすぐに聞いてね」
生徒たちの反応は、さっちゃん先生の授業が面白いこともあるが、前の授業が超ひも理論とかいう受験以外では一生聞くことのない地獄の授業だったので、リフレッシュも兼ねて口々に歓声を上げている。
(以下、授業内容)
タイムトラベルタクシー制度は、2X世紀末のこの前習った令 岁那教授とヤコブ=キッシンゲン教授のタイムマシン発明によって時間航行に関する一連の世界的な技術革命とその制度化の流れとして、2XIXX年に、クラクフ条約、(正式名称:時間航行車両に関する他国間協力条約)締結を受けて、同年日本で制度化された。
技術革命の1つに、某国の世界的大企業X社が時間航行車両を発明し、2ⅥXⅠ年6月1日、突然、富裕層向けに超高額で売り出してしまったものがある。X社は、「レッドショット」という商品名で発売し、その車種はセダン車、大型トラックから飛行機まで、有人機だけでなく無人機ももちろんあった。
さあ、これは大変、各国首脳はその対応に追われた。時間の改廃や本来なかったはずのものが次の瞬間にはあるべきものとしてそこに存在したり、真偽は置いといて未来の予知を語る者が現れるなど、各地で意識障害が多発したのだ。
ほんの数週間の出来事だったが、すぐさま、各国首脳の共同命令として、X社には緊急対応として発売を中止させ、レッドショット全種・全品をリコールさせたが、市場に流れてしまったものは全ては回収できないのは世の常。
果ては軍事国家の軍事利用に使われているなどとの噂が広がり、時間航行への憧れと不安が渦巻いた社会になった。
この一連の騒動を代表的な商品であったセダン車の名称を取って、レッドショットショックという。これは世界史を今後選択する奴は覚えておくといいぞ。
これはもうすでに習った事なので、はしょりつつ、忘れているやつのために要約していうが、かの有名な、第1次時間戦争はその2か月後に起こった。事の発端は、2XXX年8月11日、○○国がリコールしきっていなかったレッドショットを使って自国内の××民族への攻撃を行なったのだ。××民族はかねてより○○国に対して自治権を求めていたが、○○国がそれを否定し、強制労働や差別を行なっていたことは周辺国には知れ渡っていた。
具体的な発端は、○○国はレッドショットを使って過去へ遡り、××民族自体を、送り込んだ多数民族の自国国民と混ぜて、その時点から何十年もかけて存在ごと無くしてしまったのだ。これを同化政策というが、過去を使った同化は、その当時の現在軸にいた人にとって××民族自体を認識しえなくなってしまっているのだから、前代未聞の大事件であった。
××民族と近いルーツを持つ隣国の△△国がこの作戦の存在を知り、これに対し、猛反発し、○○国に対して戦線布告。第1次時間戦争が勃発した。3か月後、大国の美国の働きかけで、○○国と△△国は休戦協定を結んだ。これは以前授業でいったように、この迅速な休戦は、歴史上見ても前代未聞でかつ、希な平和的協定だ。普通は泥沼化するのにな。
というのも、当時△△国の首相であった、バガドゥル首相が、秘密裏に時間遡行軍を指揮し、レッドショットを改良した時間遡行車を使い、同化政策の前の過去へ渡航し、全てをなかったことにしたのだ。
それがあって、今日我々は××民族を認識することができる。いやあ、私の好きなモハメド主演の映画「バガドゥルの2日間」はみんなも一度は見ておくといいぞ。彼は今日でも△△国で英雄視されている。
まあそれだけでなく○○国が資源に乏しい島国で、経済制裁が効いたってのもあるが、とりあえず、この休戦協定を経て、翌年、クラクフ条約の前身となるジュネーヴ時間遡行車両禁止協定が諸国で締結され、時間航行車両を使っての侵略・軍事的行為は行なっていけないことになった。
ついで、その3年後、第二次時間戦争の勃発で世界時間保護協定でサーバー制を設置、15年前には第三次時間戦争が起こり、ついにクラクフ条約が各国で締結されることとなり、各国は時間航行に関する法律の制定を義務づけられ、時間航行行為を行えるのは各国で発行される証明書を持った者のみとなった。
そして時間航行車を運転できるのは、世界時間協会の厳しい認定試験を突破した者のみとなった。そしてこれが属にいうタイムトラベルタクシーの運転手というわけだ。
当時我が国の首相であった、サイトウ首相が、当時野党や交通族から多くの批判を受けながらも、法制化のために新しく時間庁を内閣直属で作り、その5年後には、第二次政権時に、時間省として独立させた。
習ったと思うが、国交省ではなく、時間省の所掌として時間航行車両制度も置いているから、従来あった二元的な線移動のタクシーとは全く別のものであるというのは気をつけておくといい。
長いな、タムタクは、君たちも15歳以上なら許可証を受ける試験をとれると思うから持っていて知っているやつもいると思うが、5年に1回更新が必要な許可証をとり、決められた駐留所へいき、運転手に掲示して、目的の時間へ向かう。
(生徒達が使っている教科書には、タイムトラベルタクシーを対象とした法律、許可証の取得方法、使用方法、について図柄付で細かに書かれている。)
法律の柱として、歴史保全基本法を基本として、許可証や使用法が規定されている時間移動規制法、過去未来の歴史改変を禁止などする刑罰が規定されている時間犯罪取締法、重要な歴史的価値を持つ時間を保護する重要歴史的文化財保護法、利益、資産、著作権、株式などを保護する時空経済取引規制法、そして、運転手の営業に関する時間運送事業法がある。
歴史の改変は、国家レベルの反逆罪と見なされ、死刑又は無期懲役刑のみとされている。未来技術を現在に持ち込むことも、経済秩序の破壊と見なされる。
許可証を持った者が、その時間軸に行ってできることは、干渉記録を残さないよう、観察・旅行することのみなのである。
当然、ドラえもん世界でいうタイムパトロールが見張っており、各許可証にはICチップが取り付けられているため、逃げることはできない。人類は時間をも整備し、安全を作ることができるようになったのだ。
時間犯罪は起こっているのだろうか。いや、どの時点でもいけるようになった今、時間犯罪を起こしたとてなかったことにできるため、ときたま年に1回程度は存在すだけにとどまっている。
有名な事件だと、ルーブル美術館で2025年に起きた巨額の美術品窃盗事件が、時間犯罪と言えるな。白昼堂々と盗み出した行為は、当時の技術では全くもって不可能で、時間航行車両を使った時間犯罪と言われている。幸い、犯人グループはフランス時間警察に捕まり銃殺刑にされている。
タクシー運転手に興味を持った奴もあるだろうが、 目指すものの多くは、理系の大学に4年間、時間学を専攻し、予備試験をスキップした上で、本試験に突破しているから、行くなら理系だな。更にそこから国際営業許可をも持つものは更なる難関を突破しないといけない。
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「とまあ、こんなところで今日は授業を終わろうかな!あんまり試験にはでないんだけど、タムタクの運転手は憧れの職業の1つだし、職業選択の1つとして聞いてもらえたら嬉しいかな!先生の元彼氏も実は運転手でな。ああ、、なんで別れたんだろう、、。マジで別れなきゃよかった、5年前の私のバカ、、。」
さっちゃん先生の後悔劇場が始まった。相当元カレと別れたことが悔しいらしい。最後には決まって、生徒の前だということを思い出したかのように「女はクリスマスだからな!25超えたら今の相手と別れるなよ」と締めくくる。先生は現在35歳独身である。
私の時は、世界史Bでした。
ヨーロッパの中世戦争やオスマン帝国は皇帝の好きな食べ物まで細かく教えたくせに、1945年以降の近現代については、授業時間がないのか教科書も授業もすごいさらっとしてました。少し不思議でした。
社会に出てから現代時事知識がそもそもないことに遅まきながら気づき、なるべく中立的な信頼たる教材を得るのに時間かかりました。高校でももう少し時事・現代情勢も話してくれるとうれしいんですけどね。




