第4話 終焉への近道
こんにちは。まっちゃです。流石にいないとは思いますが、このエピソードから読み始める場合、話に一切ついていけなくなるので、1話からの閲覧を推奨します。
ルシウスが眠りにつこうとした、その時。突如、誰かの悲鳴が聞こえた。車内はパニック状態に陥り、誰もいなかったこの車両にも、雪崩のように人が押し寄せてきた。一体何が起きたのか。きっかけは30分前、フォーローン東駅でのことである。
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「あれが例のヤツか。」
「はい。大差。99%以上一致しています。そしてデータによると、彼はここからフォーローン駅まで電車に乗っていくようです。」
「よし。今日は絶好のチャンスというわけだな。車内にアンデッドをばらまき、電車の運行を止める。そして先回りしていた我々がオーブを奪い取る..と。」
「ええ。とても楽しみですね。」
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そして今。姿の見えない敵の奇襲。運転手は死に、乗客もすでに17名死亡。
「クソっ..まだ対策の装備すらできていないのに..とにかく今は逃げるしか..」
ルシウスは他の乗客の流れに沿って電車を飛び出した。運転手の制御のない電車はどんどん加速していき、近くの教会に突っ込み、爆発を起こした。この犯行による全体的な死者は113名。負傷者は452名という歴史的な事故となった。
――同時刻。ルシウス宅。
「おぉ。これがオーブか。これがあれば私も―。」
「大佐っ!!何者かが接近しています!!このままここにいれば間違いなく通報され、この計画は水の泡となります!!」
「..仕方があるまい。アレを使うか..」
何者かがルシウス宅についたと同時に、家の周りには赤みがかったアンデッドが30体ほど出現していた。通常、アンデッドは紫色がベースなのだが..そのアンデッドは家を囲んだ状態で光りだし、――――大爆発を起こした。爆発により弱まったオーブの結界はいとも容易く破られてしまった。
「これはもらっていくぞ。」
そう満足げに言い残し、彼らは地下へと去っていった。
「...」
「何者か」..いや、ルシウスの大親友である彼はただ自分の無力さに打ちのめされていた。
「クソが。」
彼もまた、アンデッドが見える者であった。そして、アンデッドの心臓を破壊する術をも身に着けていた。ボロボロになった家を見上げ、「待ってろよ。」とだけ呟き、彼は去っていった。
「あれ?ここ、僕んちだよ..な..?」
見るも悲惨な家を見上げ、なんとか無事だったノートパソコンと財布だけ持ち出し、彼はホテルを探しに出た。
―――午前4:22。 彼らは前代未聞の挑戦をしようとしていた。
『オーブを人体に埋め込む。』成功すれば神同等の力を手に入れ、失敗すれば国単位の被害が出る。一か八かのギャンブルだ。彼――ルシファーの身体はまばゆいほどの光に包まれた。
「大佐っ!!」
返事はない。しかし、被害が出ているようにも思えなかった。
「大佐っ!!!!」
もう一度呼びかける。
「――私はもう大佐と呼ばれる義理はない。私の目的は果たされた。お前たちには死んでもらう。」
その姿はまさに光の神・ルシファーであり、神を裏切り堕ちた、堕天使・ルシファーでもあった。ルシファーの腰には光の剣が装備されていた。その背には3対の漆黒の翼が生えていた。まさに世界を統べる者であった。彼がその剣を一振りすると、その町は平地と化した。呆然としている元部下たちに次ぐ。「君らの命をいただいておく。」 ――それは一瞬のことであった。彼はその場全員の魂を自分の手元に集め、圧縮し、全員を生贄として、悪魔を召喚した。 ――――それもまた一瞬だった。悪魔は彼の実の息子であるルシウスの元へと行き、自らの命とその能力を、ルシウスへとつぎ込んだ。お前は悪魔となった。もう人には戻れない。そんな悪魔のささやきが聞こえた気がした。しかし、悪魔との契約というのは、こちらにも利点がある。ルシウスは熾天使へと変貌を遂げた――――。
厨二全開の話でしたがどうでしたか?いろいろと急速に進んだエピソードだなと自分でも思います。それではまた、第5話で。




