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第18-1話 世界破滅組曲壱章・壊滅
世界はまだ、眠っていた。
だがその眠りは、安らぎではなく、目覚めを拒む虚ろだった。
空は灰に沈み、光は薄く揺らめき、風は止まり、音は失われる。
存在するすべてが、ひそかに異変を感じながらも、何も知覚できない。
微かな亀裂が、大地の奥底から音もなく広がる。
瓦礫は崩れ、石はひび割れ、かすかな振動が空気を裂いた。
形は歪み、影はずれ、法則は囁くように崩れ、時は瞬間の連なりとして解けていく。
人の営みも、神の命も、観測者の眼差しさえも、
まだこの異変を認識していない。
それでも世界は、静かに自らの終焉へ歩を進める。
音も色 秩序も、
も、
記憶
も、すべては
知らぬ間
に断片
となり、
零
れ
落ち
てい
っ
た。
そして、世界は、抵抗も認識もなく、ただひとつの名もなき瞬間に壊滅を迎えた。




