第2話 破滅導く魔球
こんにちは。まっちゃです。この話は第1話の続きで書いているので、まだお読みでない方はそちらを読んでからこのエピソードを閲覧することをお勧めします。
数日後。彼はとある研究者の元へ向かっていた。研究者の名は「サイモン・ブラックウェル」。彼はサイモンと顔見知りであった。というのも、つい先日、サイモンのほうから「君、アンデッドについて知っているのか?」といきなり声をかけられたのだ。そして今日。例のメモを持ち、サイモンとアンデッドについての研究開発を行うことになったのだ。幸いにも同じ町在住だし、研究所も遠くない。そして報酬も出るというのだ。彼は弾むような足取りで道を駆け下りていった。
――――――ガシャッ
扉が開く。街の風景には似合わない、近未来的な施設だ。
「おぉ、来てくれたのか。君は..えーと.. すまない。人の名前を覚えるのは苦手でね。」
「いえ、大丈夫です。」
「すまないが、君の名前を教えてくれないか?」
「「君」呼びで大丈夫ですよ。」
「そうか。それならさっそく本題に入ろう。」
「はい。」
―――――――― ―――― ―― ―
7時間ほど話した。内容を要約すると、[アンデッドは猫だけは襲わない]ということだけが分かった。
まあこれだけで17銀貨ももらえるなら、毎日だって通いたいとは思う。
ただ、もちろん向こうの都合もあるため、それでも週1で会議をする約束はできた。順調だ。かなり都合がいい。...そういえばサイモン、アンデッドについて研究してるくせに心臓すら知らなかったのかよ。だが、サイモンほどの有力者がアンデッドについて研究するとなるとより一般的にアンデッドの存在が伝わるだろう。そして、対アンデッド兵器やその他諸々の装備などの開発は彼に任せることもできる。ならばアンデッドについてはいったん手を引いたほうがいいのかもしれない。
「なら、次に取り掛かるべきは..」 ―淡い緑色が目に入る。‘‘オーブ‘‘と呼んでいるそれは、今日も部屋の中心に浮かんでいる。しかし、こんな廃れた国で、僕の家だけは何事もないように佇んでいるのは、おそらくオーブの影響だろう。なんだ。結局アンデッド関連じゃないか。
―――――――― ―――― ―― ―
―鴉は彼を見ていた。 いや、正確には違う。その妖しげな瞳は、しっかりと中心に浮かんだ‘‘それ‘‘を捉えていた。
同時刻。フォーローン地下にて
「あれが例の..ふむ。悪くはなさそうだ。」
「ですが大佐、鴉によると、あの物質は非常に不安定で、能力者以外は触れることはおろか、近づくことさえ困難であるそうです。」
「ふむ。非常に興味深い。しかし、あの青年には能力者のようなオーラは見受けられないが?」
「ええ。そこはわたくしも気になっています。が、鴉の狂いはないはずなので、彼は能力者で間違いないと..」
「わかった。もういい。私が直々に彼に手を下そう。」
「大佐!!正気ですか!?そんなことをしたら..」
「黙れ。私の言うことが絶対であり、私の言うことが世界なのだ。」
「は、はい..。申し訳ありません。では、部下どもに指示を出し、彼についてのデータを搾取するよう動かしておきます。」
「よろしい。」
――西暦30XX年 フォーローン 冬
「今日は一段と寒いな。」
彼は震える指をポケットに突っ込み、猫のもとに向かった。
「お前は寒くないのか?」
猫はこたえなかった。彼のことを貫通しそうなほどに鋭い目つきを向けていた。
「..」
ミャーォ。ようやく猫は鳴いた。この5分間はいったい何だったのか。しかし、そんなことを考えている暇はなかった。
「お前..機械なのか?」
猫はピクリともしなかった。ただその鋭い目つきを彼に向けるばかりだった。しかし、かすかながらに猫の目には電流のようなものも見えた。だが生き生きとした、生命見あふれる眼光であった。
「ははっ。お前も敵だったのか?」
毎回その時の想像で話を書いているので、ややおかしな点がある、または今後出てくるかもしれませんが、その時はコメントで教えてください。それではまた第3話で。




