第1話 滅亡の始まり
楽しんでいただけると幸いです。
「あーあ、なんで誰も気づかないんだろうな。」
彼は猫を撫でそういった。猫は何もわかっていなさそうな、しかし、真剣にも見える顔でニャーと小さく鳴いた。
「戦えたって敵を認識していなきゃ意味がないのにな。」
猫はもう一度ニャーと鳴いた。
「ごめんな..いつもこんな愚痴ばかり聞かせて。」
そういうと猫は茂みの奥に行ってしまった。彼は猫についていくようなことはしなかった。そのポケットに入っていたのはリボルバーだった。一般的には、謎の存在が国を脅かしていると、そう認識されているため、一人一丁以上のリボルバーの所持が義務付けられていた。しかし彼だけは知っていた。こんな拳銃じゃ奴らを処理することは不可能であることを。だが彼も全知全能ではない。「奴ら」の正体を他人より詳しく知っているだけで、討伐可能な兵器を作るほどの頭脳も、「奴ら」について解明する時間も持ち合わせていなかった。
彼は一度だけフォーローン政府に話を持ち掛けたことがあった。「奴ら」に対して自分が持っている情報を共有しようと思ったのだ。だが彼らはこう言った。
「ヒーローごっこならやめておけ。こっちだって暇じゃねぇんだ。」
「お前みたいなやつが知っていることなんざみんな知ってるさ。わざわざ時間を割くほどでもない。」
数人は話を聞いてくれたが皆が彼をあざ笑った。そして、彼はこのことをだれにも話せなくなっていった。そんな彼が唯一話をすることができるのは猫だった。猫は彼を笑わないし、批判もしない。そして何より、異形に対し敏感なのだ。
「今もアイツがいてくれれば、現状は今よりマシだったのか..いや、考えるだけ無駄だな。」
――もうアイツはいないから。
彼はその言葉を口に出さないようにした。
そんなことを言ったら自分が死にたくなってしまう。それはアイツに失礼だろう。
それが彼の考えだった。
彼は寝床についた。眠れない。羊を数えてみる。そんなことより、「奴ら」についてわかっていることをまとめたほうが世のためになる。そう考え彼は、寝床を出て、机に向かった。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
アンデッドについて
1.基本は夜行性である
2.ほとんどの物理的な衝撃を無効化する
3.大多数の人間には認知されない 判明している例外は僕だけだ。
4.弱点は心臓 どこにあるのかはわからないが、おそらく人間とさほど変わりはないだろう。
5.その他弱点不明
6.猫はこの異形に触れることができる ダメージが入っているのかは不明
7.近隣の国はアンデッドにより滅ぼされた
8.フォーローンは他の場所に比べ被害が少ない
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「まあこんなとこだろ。」
そういうと彼は緑色の光を放つオーブを手に取った。
「待ってろよ、■■■。すぐにお前らを滅ぼしてやる。」
―――午後11:42 そんな彼の様子を一羽の鴉は妖しげな瞳で見つめていた。
楽しんでいただけましたか?
初作品なのでクオリティーは低いですが、ここから上達していきたいと思います。それでは第2話で。




