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大和沖縄に到達す  作者: 未世遙輝
シーズン7

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第51章 再び燃える東岸


同じ時刻、台湾東岸・花蓮郊外の前線。

自衛隊と台湾陸軍の合同部隊は、辛うじて形を保った塹壕で一夜を明かしていた。

東京への核攻撃の報が伝わってから、士気は揺れた。


「日本は本当に我々を支援できるのか」という疑念が、兵士たちの胸に影を落としていた。


「今は持ちこたえるしかない。」

台湾陸軍の中隊長は、泥に汚れた顔を仲間に向け、そう言い聞かせた。

夜半を過ぎた頃、沖合の海面に不穏な光が現れた。


レーダー監視班が声を張る。

「複数の艦影接近! 識別不明!」


直後、無線に入った暗号報が状況を裏付けた。

「中国揚陸艦隊、福建沿岸より発進。休戦協定を破棄し、東部戦線へ侵攻開始。」


塹壕に沈んでいた兵士たちが一斉に顔を上げた。

「休戦は……破られたのか。」

夜明けと同時に、沖合の水平線から黒い列が浮かび上がった。

揚陸艦の群れ。甲板には水陸両用戦闘車がずらりと並び、今にも海へ躍り出そうとしていた。


台湾軍の砲兵中隊が先に動いた。

「射角、調整完了! 撃て!」


榴弾砲が火を噴き、弾丸が海上へと降り注ぐ。

爆炎が水柱を上げ、数隻の揚陸艇が炎に包まれた。


だが、残りの大群は止まらない。

空からは殲-16戦闘機の編隊が迫り、防空陣地に爆弾を落とす。

耳をつんざく爆音と共に、前線の掩体壕が吹き飛び、兵士たちが土砂の下に押し潰された。


「空襲だ! 頭を下げろ!」

自衛隊の隊員が台湾兵を押し倒し、覆いかぶさる。

その背後で爆風が土を巻き上げ、塹壕全体が揺れた。


数分後、海は装甲艇で埋め尽くされた。

次々と海岸に突入し、砂浜を駆け上がるZTD-05が砲塔を旋回させる。

砲声が轟き、砂の壁が砕け散る。


「敵、上陸開始!」

観測班の叫びと同時に、自衛隊と台湾軍の防衛線が一斉に火を噴いた。

機関銃、対戦車ミサイル、迫撃砲。


砂浜は火と煙に包まれ、数十両の戦闘車両が炎を上げた。

だが、敵の波は止まらない。


一両が撃破されても、後方からさらに二両、三両が押し寄せてくる。

「休戦が破られた」という冷徹な事実が、戦場全体を覆い尽くしていた。


台湾兵の一人が震える声で叫んだ。

「日本は……本当に来るのか?」


それに答えるように、後方から轟音が広がった。

嘉手納から発進したF-22の編隊が、ついに東岸上空に到達したのだ。

青い閃光のように敵機を蹴散らし、空を再び味方のものとする。


その姿を見上げた兵士たちの胸に、わずかな希望が灯った。

たとえ休戦が破られ、再び炎に包まれようとも――

この島を、まだ守れるかもしれない。


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