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大和沖縄に到達す  作者: 未世遙輝
シーズン6

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第121章 記憶の干渉波

Ω計画

マンハッタンΩ研究所・セクションF「カオス共鳴室」

米ニューメキシコ州ロスアラモス。第二次大戦時に原爆理論が胎動したこの地に、今や「Ω計画」の中核施設が築かれていた。そこは政府の公的記録にすら記されていない、“セクションF”。表向きは物性理論の実験棟だが、その実態は「時空構造への情報干渉」を解析するための国際極秘プラットフォームだった。


中央、ホログラフィック球面スクリーンに浮かび上がっていたのは、世界地図に投影されたΔ-φ粒子発生座標群。その大部分が、日本列島――特に相模トラフから南海トラフにかけて集中していた。


「……この密度。CERNや東京大学での記録を上回ってる。」



「CERN、東京、ロスアラモス。三地点での観測は完全に一致している。

「それも、きわめて高い精度で。」

横に立つのは、Ω理論の共同設計者であるインド系米国人理論家、エレナ・マリク博士。彼女は画面を指差しながら、重力波の時系列チャートを拡大した。


「ここを見てください。これらの記憶事象と、重力波の微細な変調が数秒単位で同期している。まるで、『記憶』そのものが、時空構造の揺らぎを引き起こしているように。」


ジェイコブズが呟くように言った。

「これは……もはや個人の脳内現象じゃない。『時空の末端』に記録されていた何かが、2026年の現在に向かって逆流してきている。Ω理論の仮説通りなら、『人間の記憶が時空そのものの干渉因子になりうる』ということだ。」


エレナは一歩進み、さらに別の投影を表示した。

「しかも興味深いのは、共鳴している記憶の『起点』が、ほとんど血縁軸に沿っているという点。祖父、父、兄、弟。記憶が伝わるのではなく、『記憶されるべきだった未来』が血縁情報を通じて波及している可能性があるのです。」


ジェイコブズが言葉を継ぐ。

「遺伝子か、エピジェネティクスか、あるいは……『精神場』と呼ぶしかない領域が、この地球上に張り巡らされていて、そこに刻まれた『可能性』が蘇ろうとしているのかもしれない。」



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