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大和沖縄に到達す  作者: 未世遙輝
シーズン6
772/2382

第88章 北朝鮮・地下国家主席司令部

DAY12 午後15時12分(KST)

北朝鮮・地下国家主席司令部


地下の司令室に、報告官の震える声が落ちた。

「──速報です。日本が、台湾海峡上空で核兵器を使用しました」

沈黙。


換気ダクトの低い唸りが、まるで天井から砂を降らせるように響く。スクリーンにはCNNの速報テロップが赤い帯となって走り、その横でロシア通信社の速報も同時に点滅している。


「確認を」主席の声は低い。

「三系統からのクロスチェック済み。米国防総省は“同盟国による核的オプションの発動”と表現。中国外交部は“前例なき核攻撃”と抗議声明を準備。国連は緊急安保理の招集に入っています」


参謀総長は机に両手を置き、指先を強く握りしめた。

「日本が──核を。……あの国が、」


「閣下。我々は“赤星”の発射命令を下した直後です。この報により……作戦の変更は?」

主席は答えず、机上の写真立てを見下ろした。裏返したままの、桜の下で笑う家族の写真。


「……歴史は変わった。核を先に使ったのは我々でもなく、米国でもなく、中国、ロシアでもなく、日本だ。敗戦国が、戦勝国に先んじた」

彼は深く息を吸い、声を低く落とした。


「これは、我らにとって最後の“盾”を失うことを意味する。同時に、最後の“剣”を手にした者の姿を示した」


参謀の一人が震える声を挟む。


核を使った者は、常に恐怖の輪の中に立つのです」



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