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大和沖縄に到達す  作者: 未世遙輝
シーズン6
766/2412

第80章 発射コード


DAY12 14:18 JST

首相官邸・地下危機管理センター(K-room)


官房長官が、首相の顔を見つめる。


「……最終確認です。このコードの発出は、外交による解決を放棄し、核による抑止に舵を切ることを意味します。いかなる事態が起きても、後戻りはできません」


首相は、疲労困憊の表情で頷いた。その目には、迷いはなかった。


「分かっている。これは、我々の、そしてこの国の最後の選択だ」


彼は、目の前の分厚いファイルを開き、特殊な認証端末に指を置いた。


「最終発射コードを生成。承認者:内閣総理大臣。コードネーム:《黒い閃光》」


端末が静かに光を放ち、暗号化されたデータが生成される。そのデータは、直接、海上自衛軍の専用通信衛星へとアップロードされる。


「伝送開始。コードは直接、《大和》艦長へと送信」


通信員の声が、地下室に響いた。


大和、発射コードを受信

DAY12 14:20 JST

台湾海峡 西方・《大和》艦橋


瀬戸艦長は、その瞬間を待っていた。艦橋に設置された専用端末のランプが、静かに点滅し始める。それは、政府からの極秘通信が入ったことを示す唯一の合図だった。


「艦長、政府から暗号通信。発射コードです」


通信士が、かすかに震える声で告げる。


瀬戸は、一歩も動かず、ただ静かに端末を見つめていた。彼の目の前にあるのは、ただの機械ではない。それは、この国の最高指導部が下した、最終的な決断の重みそのものだった。


「自動復号を開始」


AIの無機質な声が響き、画面に文字が浮かび上がる。


【最終計画の発射コードを承認。コードネーム《黒い閃光》】


その一文は、この艦に課せられた、運命的な使命を告げていた。瀬戸は、深く息を吸い込むと、その空気を肺の奥深くまで送り込んだ

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