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大和沖縄に到達す  作者: 未世遙輝
シーズン6

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745/2695

第60章 沈黙の狩り

DAY12 05:45 JST

中国軍 南部戦区司令部 地下作戦室


地下深くに隠された作戦室は、青白いスクリーンと静かな電子音に満ちていた。壁一面に広がる大型ディスプレイには、台湾海峡とその周辺海域のリアルタイム衛星画像が投影されている。作戦室の奥、指揮官の席に座る司令官は、無言でスクリーンを睨んでいた。彼の前には、複数の将校が、それぞれの持ち場から情報を報告している。


「将軍、『雅安(Yaogan)32-02号』衛星から、目標の最終航跡を確認しました」

衛星情報担当官が、落ち着いた声で報告した。スクリーンの一角に、小さな光点と、その移動軌跡が点滅している。それは、沖縄を離れ、台湾海峡へと向かう戦艦《大和》の姿だった。


「移動速度は?針路は?」

司令官が短く尋ねる。

「速度は20ノットを維持。針路は北西、台湾海峡へと侵入中です。護衛艦に随伴させており、艦隊は戦闘態勢に移行している模様です」

「あたご級か…やはり奴らも、本気だ」

司令官の口元が、わずかに歪む。あたご級は、最新鋭のイージス艦であり、その存在は、この作戦の難易度を跳ね上げる。


「Y-8Q対潜哨戒機からの情報はどうだ?」

「偵察機はすでに目標空域に到達済みです。搭載レーダーJL-100による電磁波探知で、目標艦隊から発せられるレーダー信号を特定しました。護衛艦のXバンドフェーズドアレイレーダー、そして、旗艦と推測される《大和》からの、これまで確認されたことのない超長距離探知レーダーの信号を検出しました。敵は、我々が想定していたよりも遥かに広範囲を警戒しています」


航空偵察担当官が、緊迫した声で報告する。

「艦艇からの情報はどうだ?」

「潜水艦部隊が、音紋から目標艦隊を特定しました。ただし、接近は困難です。目標艦隊は、アクティブソナーと対潜哨戒ヘリコプターを頻繁に使用しており、我々の潜水艦の存在を察知している可能性が高いです」


海軍情報担当官が、苦々しい顔で報告する。敵は、対潜水艦戦においても、最新鋭の技術を有している。

「よし。全ての情報を統合せよ」

司令官が命令を下すと、AIシステムが自動的に情報を統合し、敵艦隊の3Dモデルをスクリーンに投影する。それは、護衛艦を伴い、警戒網を最大限に展開している《大和》の姿だった。


「敵艦は、極めて高い防御能力を有しています。特に、《大和》の迎撃システムはすでに前回の攻撃で確認ずみです。我々が発射するミサイルをすべて迎撃する可能性も否定できません」


情報分析官が、厳しい顔で警告する。

「ふん。奴らがどれだけ優れた技術を持っていても、物理的な飽和攻撃には耐えられない」

司令官は、そう言い放ち、立ち上がった。


「『YJ-18』ミサイル、発射準備。目標、戦艦《大和》。全発射プラットフォームに攻撃命令を送信せよ」

作戦室の空気は、一気に張り詰めた。静寂に包まれたこの場所で、見えない戦いの火蓋が切られようとしていた。


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