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大和沖縄に到達す  作者: 未世遙輝
シーズン6

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第57章 空中給油

DAY11+18時間


静寂を突き抜けるように、分隊長である松岡 健一は、星が瞬く広大な夜空を僚機と共に飛行している。彼らの任務は、台湾海峡をわたって中国の補給船が着岸している台湾の西側の港だ。給油ポイントは石垣島上空。東シナ海の闇が眼下に広がっていた。


松岡にとって空中給油は、まるで天空でのダンスのようなものだ。KC-767空中給油・輸送機は彼のパートナーであり、息を合わせて踊る。彼はこの一瞬のために、数え切れないほどの訓練を重ねてきた。


「松岡、今日のミッションは無線封鎖オプション2で行う。無駄な会話は避けて、必要な時だけ話すんだ」

ブリーフィングでの言葉を反芻する。無線封鎖は実戦では必須のオプションだ。KC-767のクルーもこのルールに従っていた。無線は正確な位置とタイミングを合わせるためには不可欠だが、今日は視覚と直感だけに頼ることが求められている。


松岡は操縦桿を握りしめ、目の前に広がる夜空に意識を集中させた。遠くの点滅する光、それが彼のパートナーであるKC-767だ。彼は短距離無線で簡潔に「イーグル01、給油位置、15分前。」と伝えた。「了解、イーグル01。高度はそのまま30,000フィートで。ETA変更なし。」と返ってくる。


彼は深呼吸をし、計器を再確認した。速度は400ノット、高度は30,000フィート。これは、彼らの「空中ダンス」のスタンダードな条件だ。今日の天候は晴れ、視界は良好だ。


彼はKC-767との距離を詰めていく。徐々に近づくその姿は、夜空に浮かぶ静かな巨人のようだ。松岡は僚機に先導を譲る。「イーグル02、給油開始」。彼は短距離無線で簡潔に指示を出した。僚機はスムーズにKC-767のブームに接続され、短時間で給油を終えると、定位置に戻ってきた。僚機は無言で、コックピットのライトを点滅させる。「給油完了」の合図だ。


「イーグル01、給油を始める。ブームオペレーター、準備を頼む」

松岡は短距離無線で簡潔に指示を出した。彼の注意は、ひたすら前方のKC-767に向けられていた。彼は、給油機と同じ高さに並び、相手のペースに合わせて滑らかに移動した。

彼は給油機のブームが徐々に近づいてくるのを見た。ブームオペレーターが、「イーグル01、燃料補給を始める。ブームを通じて有線会話に移行」と短距離無線で伝えてきた。彼は、ブームが自分の機体に接続される瞬間を、呼吸を整えながら待っていた。


「よし、今だ!」と心の中で叫びながら、彼は給油のポジションに入った。KC-767のブームが自分のF-15Jに接続されるのを感じたその瞬間、燃料が松岡の機体に流れ込み始めた。彼は周囲の状況を絶えず監視していた。もし何かが上手くいかなかったら、すぐに離脱しなければならない。


燃料補給は順調に進んだ。やがて、ブームオペレーターの声が有線で聞こえる。 「ブーム離脱用意。機体、5フィート後退」

松岡は慎重に機体をわずかに後退させた。ブームがゆっくりと機体から離れていくのを確認し、彼は無線で感謝を伝えた。 「補給完了。ありがとう、ブームオペレーター」


ブームが完全に格納されるのを見届け、彼は僚機に帰還を指示した。 「イーグル02、離脱」

松岡と僚機は、再び台湾海峡に進路をかえた。


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