第47章 絶望の選択
DAY11 20:00 JST
防衛省市ヶ谷庁舎 地下第1会議室
防衛省地下、重苦しい空気に満ちた会議室に、統合幕僚長・河島大将の声が響いた。スクリーンには、台湾東岸の花蓮防衛線から送られてきたリアルタイム映像が映し出される
「海上自衛隊も同様です。護衛艦『あさぎり』は、対潜魚雷を使い果たし、水中ドローン攻撃を爆雷投下でしのいでいる。補給の目処は立っていません。このままでは、あと48時間で東岸防衛線は崩壊するでしょう」
防衛大臣の楠見は、苦渋の表情で顔を歪めた。「核攻撃の脅威が差し迫る中、台湾の防衛線を維持しなければならない。しかし、我々の戦力では、大規模な中国の地上部隊や、おびただしい数の補給艦を止めることはできません。大和の主砲で多少の被害は与えられても、戦局を覆すほどの力はない」
「大和は、電力供給システムを改良したことで継戦能力は強化されましたが、それでも自艦の防御が精一杯です。台湾東岸を維持するには、決定的な打撃力を欠いています」
その時、内閣総理大臣の大友が、静かに口を開いた。「例の兵器は……?」
会議室の空気が凍りついた。誰もが口に出すことをためらっていた、禁断の言葉。
「……沖縄近海の海底で回収された、空母ロナルド・レーガンのあれは、整備完了しましたか?」
国家安全保障局長の橘が、震える声で答えた。
「はい。信じられないことに、腐食はまったくありせん。つい数日前まで海中にあったとは信じられません。すでに極秘裏に那覇の地下シェルターに保管されています。すべて、米軍の承認なしで回収されたものです」
彼は、目を閉じて深く息を吸い込んだ。「そいつを……大和に搭載する。花蓮の防衛線を維持するため、そして中国にそれ以上の進軍を断念させるため、」
その言葉は、日本の防衛政策の歴史を根底から覆す、前代未聞の決断だった。




