表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
大和沖縄に到達す  作者: 未世遙輝
シーズン6

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

721/3591

第36章 仁川侵攻(祖父の記憶)トーマス・「ホーク」・アンダーソン


1950年9月15日(金)午前07:30 KST

仁川・上陸地点


干潮の泥に足を取られながら、兵士たちの膝まで泥濘に沈みつつ突進した。前方からは北朝鮮軍の散発的な銃撃が飛んでくる。しかし、艦砲射撃の残響で防御陣地は多くが崩壊しており、抵抗は想定よりも弱かった。


「急げ、塹壕を越えろ!」


小隊長の叫びに応じ、海兵隊員たちは瓦礫に身を寄せながら前進した。


1950年9月16日(土) 仁川市街


上陸翌日、仁川港は国連軍の手に落ちた。補給物資が次々と陸揚げされ、M4シャーマン戦車が揚陸艦から市街に展開する。


「目標は首都だ。奪還には一週間と見積もられている」


指揮官の声は冷静だったが、その目の光は鋭かった。


1950年9月20日(水) 12:10 KST

ソウル西方・市街入口


国連軍の縦隊が、京仁線を経由してソウルに接近する。しかし、北朝鮮軍は市街を要塞化していた。建物の窓には機関銃、屋上には狙撃兵、路地には待ち伏せ小隊。


「一棟ずつ、掃討だ!」


米海兵隊は火炎放射器と迫撃砲を繰り出し、家屋ごと敵を焼き払いながら進んだ。


1950年9月23日(土) ソウル・西大門付近


「機銃座、正面二階!制圧射撃!」


M1919機関銃が火を噴き、ガラス片が散った。突入班が建物へ走り込み、手榴弾を投げ込む。轟音と叫び声が交錯し、煙の中から味方の影が現れる。


「クリア!次の棟へ!」


しかし、その歩みは遅々として進まない。ソウルは巨大な迷宮と化していた。


1950年9月25日(月) 光化門前


瓦礫の街路を越え、ついに王都の門が目の前に現れた。黒煙に包まれながらも、その姿は幻想的だった。


「突撃!」


海兵と韓国軍第17部隊の兵士たちが同時に飛び出す。銃声、手榴弾の炸裂、火炎放射の炎が石壁に広がる。しかし、国連軍の勢いは止まらない。光化門を突破し、ついにソウル中心部へ雪崩れ込んだ。


1950年9月28日(木) ソウル奪還


国連軍はついに首都を掌握した。炎の跡に、国連軍旗と韓国国旗が掲揚され、市民の歓声が響く。祖父は疲労で泥まみれの顔を上げ、灰色の空を見た。


(……戻ってきた。でも、これは終わりじゃない。北はまだ残っている。)











評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ