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大和沖縄に到達す  作者: 未世遙輝
シーズン6

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第12章 東京避難訓練

DAY8 10:30 JST

国際メディア記者団による東京避難訓練報道


東京都新宿区・地下連絡シェルター接続避難拠点「第2-B地区」

新宿駅東口。かつて雑踏の象徴だった一帯は、今、灰色のヘルメットと指定色の防災服に染まっていた。地下通路には「冷静に」の標語が響き、都職員が拡声器で指示を出している。その様子を、世界中の視聴者がライブで見ていた。


「こちらはCNN、レイチェル・マイヤーズ。東京、核戦争の脅威に直面し、かつてない規模のシェルター避難訓練が行われています。参加者は都内8区の住民、約1万5000人。訓練では、複数の核弾頭を搭載した弾道ミサイル攻撃を想定しています」


緊急時は、駅構内から民間ビルの地下道、地下鉄連絡線、災害時物資搬入口を介し、最終的に地下避難拠点にたどり着く設計だ。

「地震を恐れる時代ではない。この訓練は『核攻撃に耐えること』を目的としたものだ」

BBCのトム・ギルフォードが、張り詰めた声でカメラに語る。


「この国は、78年前の広島と長崎で核の惨状を経験しました。今、その記憶と対峙しながらも、市民は訓練に臨んでいます。これは過去と未来の交差点に立つ、日本独自の認識です」

避難経路では、マスクと携帯線量計、個別ICタグを装備した児童の隊列が、教師の号令で静かに移動していた。


記者の会話:非公式取材メモ

◉トム(BBC): 「だが、イギリスでさえ核避難訓練は制度上のもので、ここまで実働型の都市規模訓練は前例がない。東京は、『核の最前線』にされた都市そのものだ…」


◉レイチェル(CNN): 「日本の人々は冷静ね。でも、この沈黙が、逆に私には恐ろしく感じるわ。アメリカの都市でこんな訓練が行われたら、パニック報道になるでしょうね」


◉劉軍(CCTV): 「中国では訓練は国家主導で計画されるが、日本では自治体レベルで都市防衛を担っているのが興味深い。民間主導の国土防衛、これは我々にはない構造だ」


通信室内・都防災対策本部ブリーフィング

映像は訓練の指揮中枢へ移行する。

「現時点の想定では、核弾頭ミサイルが同時24発、関東中枢に向けて発射された場合、迎撃成功は最大13発。11発が都心に着弾する可能性がある」

都知事の秘書官が、無言の国際記者団に向けて数秒沈黙し、こう続けた。

「だからこそ、訓練の精度が、命を分けるのです」


CNNニュースナイト:放送原稿の一部

「…今、東京では『命がけの訓練』が続いています。世界で唯一、核兵器を戦闘で使用された国が、今再びその影と向き合い、無数の地下ネットワークと心理的備えで、都市を守ろうとしています。


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