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第56章 うみたかと、しらたか
摩周の艦橋では、曳航制御をしていた若い士官が報告した。
「ミサイル艇が来ました!うみたかと、しらたかです!」
艦長・井坂はそれを聞いて、安堵の息を漏らした。
「よし、あいつらの支援で、なんとかあと30分、引っ張れる」
鷹野の決断
「摩周、こちらうみたか。ドローン2群を迎撃完了。なお、3群が水平線外から接近中。あと12分で敵を迎えます」
鷹野は摩周の応答を待たず、副長に宣言した。
「ここからは、“盾”になるしかない。摩周の航路に立ちはだかるように展開し、ドローンを引きつけろ」
「しらたか、右舷展開、CIWS照準を上空40度に。次の斉射に備える」
最後の一線にて
――このとき、誰もわかっていなかった。これは命令ではない。
「大和を、沈ませるわけにはいかない」
そして、うみたか・しらたかの両艇は、大和と摩周の前に回り込み、「最後の壁」として並走を始めた