表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
大和沖縄に到達す  作者: 未世遙輝
シーズン5
669/2412

第55章 空と海の交錯


DAY5+16時間

与那国東方海域・南方130km

ミサイル艇「うみたか」は、石垣港を出港して30分が経っていた。艦長・鷹野3等海佐は、艦橋で双眼鏡を手にしている。


「通信、まだ封鎖中か?」


「はい。摩周からのAIS(自動識別信号)は生きてますが、主系の防衛回線は完全ブラックアウトです。大和も沈黙。これは空域ジャミングを受けている可能性が高いです」


隣で副長が画面を睨みながら報告する。今、この周辺の無線通信帯域はすべて「濁って」いた。



「鷹野艦長、確認しますが、我々の任務は石垣方面の警戒支援です。『大和』への直接護衛は、上級部隊の指示なしでは――」


「……言いたいことは分かる」


鷹野は言葉を遮るように、電子光学センサーの赤外線探知画面を指差した。


「だがこれを見ろ。『あの熱源』は何だ? 上空100mを横切って近づいている『群体』がいる」


画面には、高度70〜110mに点在する小型ドローン群。その軌道は、曳航中の「摩周」へ直進していた。


「これは……空中からの**飽和自爆型ドローン攻撃(SFW式)**だ」


副長が呻くように言った。


「目標は摩周か大和。どうせなら、味方艦艇の直上で炸裂させるだろう。行くぞ」


鷹野はハンドセットを取り、僚艦の「しらたか」へ向けて無線を入れる。


「全速、北北西へ転針。艦砲即応体制。対空レーダー出力をフルに、指向性ジャマーを使え」


「摩周と大和に、今……火の雨が降ろうとしてる」



両艦は、頭を切り裂くように急進する。高速艇としての最大出力、**フルスロットル35ノット(約65km/h)**を維持した。


「来るぞ、上空にステルスドローン、推定16機。赤外線ステルス処理済み、非従来型シルエット」


「うみたか、しらたか、CIWSレーザー起動。主砲発射管制に切り替える!」


交戦開始:空中自爆ドローン迎撃

摩周の上空に迫ったドローン群から、一つが機体を傾け、金属製の自爆弾カバーを露出させた。


「センサー、レーザー照射可能距離――60m、入ります!」


「撃て!」


うみたかの76mm速射砲が火を吹き、迎撃プログラムに基づいて数発を放つ。直後、上空で黒煙が広がり、ドローンの機体が空中で「裂ける」ように炸裂した。


「一機撃破!でも、まだ来る……!」



遠方に「摩周」と「大和」が視界に入る。遠方の大和は、右舷後方が損傷したまま曳航され、甲板に作業員の姿がうごめいていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ