第49章 深海からの鉄槌
DAY5 +12時間後
「水中CIWS(近接防御システム)、反応せず!目標は非金属の可能性!」
その直後、艦内の電子機器が悲鳴を上げ始めた。
「警告!電磁波異常を検知!全センサー、急速に機能低下!」
「通信途絶!外部との一切のコンタクトが失われました!」
「艦載ドローン、制御不能!リンクが切断されました!」
「雷鯨」は、大和の脆弱な艦底に吸い付くように接近していく。魚雷のような爆音はない。しかし、接触した瞬間、目に見えない衝撃が艦内を襲った。
「何が起こった!?爆発音は……?」
艦橋で若松艦長が叫ぶ。だが、モニターはブラックアウトし、計器の針は狂ったように震えている。
「EMP攻撃です!艦全体が強烈な電磁パルスに晒されています!」
「しかし……空からの兆候は一切ありませんでした!」
その言葉通り、先ほど接近したミサイルや空中ドローンからのEMP攻撃は、広範囲に拡散したためか、大和の強固な電子防御システムを完全に突破するには至らなかった。一部のセンサーにノイズが走った程度で、致命的な被害はなかったのだ。
だが、深海から忍び寄った「雷鯨」によるEMP攻撃は、全く性質が異なっていた。水中の艦底に密着した状態で放射された強力な電磁パルスは、減衰することなくダイレクトに艦内部の電子機器を直撃した。