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大和沖縄に到達す  作者: 未世遙輝
シーズン5
651/2364

第37章  国連会議の決裂

DAY3 +18時間

国連会議の決裂シーン スイス・ジュネーブ 国連臨時会場)

長机が弧を描くように配置された円形の会議室。中央のデジタルパネルには「HUMANITARIAN CORRIDOR — TEMPORARY CEASEFIRE RESOLUTION」の文字が冷たく浮かんでいた。室内は異様な静けさに包まれている。


沈黙を破ったのは、米国代表のエリック・グリーン大使だった。


「中国代表に問います。我々は、たった24時間です。非戦闘地帯を指定し、そこから民間人と医療スタッフを安全に退避させる――ただそれだけですら、受け入れられないのか?」


中国代表の厳文涛ヤン・ウェンタオは、眉一つ動かさずに応じた。


「台湾島は中国の領土であり、現在の軍事行動は国内法執行の延長です。外部勢力が『停戦』を強いるのは、主権の侵害に他ならない」


米代表の表情が硬くなる。


「だが、すでに多数の非戦闘員が巻き込まれ、貴国のドローン攻撃は避難所さえ狙っているという報告が――」


「虚偽です。我々の兵士は、高度な識別技術を用いており、正規戦力以外を攻撃することはない。仮に犠牲が出ているなら、それは『義勇兵』の偽装によるものです」


代表国のスイス代表が割って入った。


「では、国際監視団を現地に派遣し、限定的な退避ラインだけでも確保しては?」


しかし、ロシアの代理代表が一言だけ付け加える。


「即座には、支持できない。日本も、主権を持たぬ地域への武力介入は先例となり得ると考える」


日本代表団の席。杉村外務副大臣は、声を押し殺して呟いた。


「……この場では、もう何も出ない」


その瞬間、米代表は発言権を求め、言葉を選ばずに告げた。


「この会議の限界だ」


一拍遅れて、英国、フランスも追随する姿勢を示した。


日本代表も言葉を選んだ。


「国内としても、非戦闘員の安全確保を、あらゆる手段で支援することを検討せざるを得ません」


会議は、沈黙のまま散会となった。

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