第8章 主力上陸
DAY1 +6時間
ZTZ-96B主力戦車は、橋頭堡中央の広場に到着した。アスファルトが履帯に砕かれ、その破片は立ち込める熱風に舞い上がる。戦闘警戒態勢は30メートル、砲塔は海岸の入口に向けられ、いつでも敵の侵入に対応できるよう構えていた。
その背後からは、HQ-17短距離防空ミサイル車両が滑り込む。車両は瞬時にレーダーマストを展開し、IFF信号が台湾空軍の機影を何度も捉えた。射撃制御装置が短い電子音を発し、警戒態勢に入る。防空部隊は橋頭堡の外周を囲むように三角形の陣形を取り、その中央を重整備部隊が固める形だ。
工兵中隊は、区域の外周に即席コンクリート壁を配置し、土嚢やHESCOバリアを積み上げていく。対車両地雷も道路脇に設置され、防御を一層強固なものにした。電子戦闘部隊は位置配列レーダーを展開し、後方に控えるDF-16短距離弾道ミサイル部隊とリンクする。
海岸では、071型と072A型のランプが開閉を繰り返し、兵員と物資がひっきりなしに流れ込んでいた。喬少将は仮設指揮所のスクリーンに映る航空写真を見つめる。橋頭堡はすでに完成形に近い。全周防御、防空網、重火器による支援、そして後続の投入経路が完全に確保されていた。
橋頭堡内部では、補給部隊がすでに活動を始めていた。弾薬箱、燃料ドラム、野戦病院のテントが次々と設置され、戦闘部隊への迅速な補給ルートが確立されていく。水陸両用車の一部は再び海へ戻り、次の揚陸艦から物資を海岸まで運搬する作業を繰り返していた。
上空では無人偵察機BZK-005が高度2000メートルを旋回し、台湾側の防衛陣地を偵察していた。台湾空軍のスクランブル機は、すでに構築された防空ミサイル網によって接近を阻まれている。橋頭堡の現場では、052D型駆逐艦「呼和浩特」が対空・対艦レーダーを作動させ、遠方の動きを厳重に監視していた。
仮設指揮所で喬少将は、最後に一つだけ命令を下した。
橋頭堡は、もはや単なる足がかりではなかった。それは、台湾西岸の防衛網を食い破るための、鉄の牙そのものだった。