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大和沖縄に到達す  作者: 未世遙輝
シーズン4
595/2325

第85章 防衛省・幕衛監部情報分析室



市ヶ谷・防衛省地下第2会議室「統合戦況分析室」


大型画面には、三分割された映像が同時再生されていた。

左は陸自飛行隊の掩体壕前カメラ、中央は海自ミサイル艇からの光学ズーム映像、右は空自F-15Jの機載ポッド映像だ。

無音で流れる三方向の記録はそれぞれ、異なる角度から同じ瞬間を切り取っている。


1本目:空中神風ドローン迎撃パルスレーザー

空自映像では、雲間から見下ろす大和の艦橋が蒼白く閃く。

光線が走り、空中の黒点が瞬時に消える——その連続。

画面右下に表示される撃墜数が、秒単位で増えていく。


陸自映像では、頭上を閃光がかすめ、数秒後に破裂音と衝撃波が掩体壕の砂を震わせていた


海自映像では、艦橋から伸びる光束が目標を正確に焼き切る様子がズームで捕らえられ、破片が海面を叩く瞬間まで目立った。


参謀長が腕を組んだまま低く呟く。


「——実戦で、これほどの攻撃率か……」


2本目:中国艦艇包囲網突破(副砲レールガン)

海自映像では、水面すれすれに走る白い線——マッハ7の弾道——が護衛艦を貫く瞬間がスロー再生される


空自映像では、雲下に広がる敵艦隊の隊列を設置ごとに破壊していく俯瞰映像。 護衛艦が停止した瞬間、揚陸艦群が露出する様子がはっきりと見える。


陸自映像では遠方の水平線に小さな閃光が見え、その瞬間、敵艦影のシルエットが揺らぎのが確認できました。


海幕の担当官は、映像を止めて言った。


「防御輪形の崩壊時間、わずか1分42秒。これだけで揚陸艦は裸だ」


3本目:災害拠点破壊(主砲)

陸自映像には、三連装46cm砲の発射炎が遠くに閃き、その瞬間、床全体が悲鳴を上げて腹に響く様子が記録されていた。

着弾後の頭橋堡は炎と黒煙に包まれ、弾薬誘爆の火線が海岸線を駆け抜けていく。


海自映像は、砲口炎時々甲板周辺の構造物がわずかに振動する様までしていた。


空自映像では、俯瞰視点で橋頭堡どこまでも撃って崩壊していく様が克明に記録され、爆炎に飲める補給車列と、炎から逃げる人影まで識別できた。


会議室の空気

映像が終わると、しばし沈黙が支配し


「橋頭堡の復元は不可能だ。敵の上陸計画は完全に潰えた」


空幕の分析官は、空域の動きを確認しながら納得する。


「敵航空隊は、この砲撃後に全機後退。防空突破の試みは皆無です」


海幕の作戦部長が、静かに結論を口にした。


「大和は、単艦で海空を同時に支配し得る。——この結果を、どう政治が扱えるだろうか」


誰もがうなずいたが、その表情は一様ではなかった。

勝利の映像であるにもかかわらず、会議室の空気は重く、次の戦いを感じさせたのものだった。

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