第73章 鉄と炎の空
ソウル首都防衛圏/T+00:00
首都全域に警戒音が響き渡った瞬間、PAC-3部隊の指揮所はすでに交戦モードに移行していた。「全バッテリー、交戦許可——リンク16、迎撃優先順位送信!」オペレーターの声と同時に、ディスプレイには赤い弾道軌道が幾筋も描かれる。その中のいくつかは低高度で蛇行し、終末マヌーバを開始していた。
ソウル北方のPAC-3ランチャーが油圧で持ち上がり、白い蒸気を噴きながら垂直発射姿勢を取る。すぐに二発同時に閃光が走り、迎撃ミサイルが音速で夜空を駆け上がった。
東方のM-SAM部隊も発射を開始。青白い噴煙が滑走路脇の防空陣地を覆い、赤外線誘導弾頭が弾道弾を捕捉する。「目標接触まで15秒!」だが、別のコンソールには、ソウル中心部へ直進する3本の軌道が「未迎撃」マークのまま残っていた。
上空で一つの赤い軌跡が白く弾け、夜空に花のような爆光が広がる。PAC-3の命中だ。しかし別の一発は急降下し、LIG本社ビル南方の上空で再び軌道を変える。追うPAC-3は間に合わない。
300mm多連装ロケット弾が一斉に到達。爆発が南山一帯で連続し、通信が一時途絶。THAADレーダーは高高度の二発を捕捉し、迎撃軌道に乗せるが——時間は残されていない。