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大和沖縄に到達す  作者: 未世遙輝
シーズン4
566/2311

第57章 首相官邸 地下危機管理センター



地下深くにある危機管理センターは、蛍光灯の白い光が無機質なコンクリートの壁に反射し、冷たい空気に満ちていた。壁面スクリーンには、統合幕僚監部のCOP(Common Operational Picture)が投影されている。


そこに、赤い三つのエリアが点滅していた。


尖閣諸島海域:海保巡視船の反応が途絶。

宮古島市街:揚陸艦団のアイコンが港湾を囲んでいる。

日本海西方:米空母レーガンのシンボルが、隊形から外れ単独で北西へ進んでいる。


情報本部長(陸将補)が、低い声で報告する。「尖閣は囮の可能性高。宮古島は第15旅団・警備隊が交戦中ですが、電子戦により衛星通信可用率12%まで低下。レーガンはリンク16を遮断、暗号回線を独自運用中。米第七艦隊のC2(指揮統制)網から事実上外れています」




防衛大臣が前のめりになって問う。「宮古奪還は米海兵隊の第31MEU投入が不可欠だ。要請は?」


統幕運用部長(海将補)は、苦渋に満ちた表情で答える。「在日米軍司令部は『作戦判断待機』の回答。理由はレーガンの指揮系統異常により、第七艦隊の作戦統制が不安定、とのことです」


外務省安全保障局長が割って入る。「要請を出しても、現場の米艦隊は独自判断で動きかねない状況です」




通信士官が耳に手を当て、ヘッドセット越しに叫ぶ。「宮古警備隊から断続通信——」


スピーカーから、断片的な音声が会議室に流れ出した。


『……第2中隊、平良港東側で包囲……弾薬残10%……』

『……くまたか、舵喪失……対艦ミサイル再装填不可……』


地図上の味方アイコンが一つ、また一つと灰色に変わっていく。現場の状況は分単位で悪化していた。




首相は唇を噛み締め、机上の非常電話に手をかけかけて止める。「防衛出動命令を出せば……全面戦争だ」


防衛大臣は短く頷く。「出さなければ、宮古は今夜中に落ちます」

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