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大和沖縄に到達す  作者: 未世遙輝
シーズン4
559/2290

第51章 受信、無視


日本海・原子力空母ロナルド・レーガン/艦橋


艦橋の中央スクリーンには、北朝鮮東海岸の戦術マップが広がっていた。F-35C×4機の発艦シンボルが、海岸線へ向けて矢のように伸びている。


その上に、黄色い点滅マークが重なった。——Abort Command 受信。


「艦長、ホワイトハウスから暗号信号です。『Presidential Abort Code』」通信士官のダニエルズ大尉が、緊張した声で報告した。


ケイン大佐は航法表示から目を離さず、短く問う。「Zulu-Blackの暗号化層、破られたか?」


「いいえ。通常衛星回線経由で送られています。受信は可能ですが、暗号解除には……」ダニエルズがタッチパネルに視線を落とす。「……最短で84分」


「その頃には、全機が帰投済みです」航空団長のウォレス中佐が、冷静に付け加えた。


ケインは顎をわずかに引き、発艦管制官へ向けて指示を飛ばす。「第2波グラウラー、カタパルト1へ。ジャミング開始はT+00:22、同期を崩すな」


作戦士官のミラー少佐が、躊躇いがちに声を上げた。「艦長、ワシントンは“待て”と言っています」


ケインはミラーを真正面から見た。「ワシントンは現場を見ていない。我々は、目標が動くまでの残り26分しか持たない」


艦橋後方、状況表示パネルのタイマーが進む。T+00:15:12。


ケインは低い声で続けた。「この艦は命令通り動いている。命令は——作戦計画書ナイト・ハープーンの実施だ。署名欄に“誰の名前”があるかは、関係ない」


ウォレス中佐が静かに頷く。「了解。全機、攻撃隊へ暗号文——『Continue Mission』送信」


ダニエルズは、コンソール上のAbort信号ウィンドウを指先で閉じた。黄色い点滅は消え、再び戦術マップだけが残る。


ケインは艦首方向、漆黒の海を見据えた。


「——ここから先は、我々の戦争だ」



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