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大和沖縄に到達す  作者: 未世遙輝
シーズン4

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第50章 制御不能



米国・ワシントンD.C./ホワイトハウス地下シチュエーションルーム


壁一面のスクリーンには、北朝鮮東海岸のリアルタイム衛星映像が投影されていた。夜間赤外線モードに切り替えられた画面上で、複数の高速熱源が沿岸に向かって収束していく。その動きは、誰が見ても——攻撃の進行中だった。


「これは……演習じゃないな」国家安全保障顧問のハートマンが、硬い声で呟いた。


戦略軍(USSTRATCOM)の担当将官が、緊急衛星回線で報告を送る。


「シグナル解析の結果、攻撃パターンは計画ナイト・ハープーンに一致。しかも、コード認証レベルは大統領発令相当——ただし、大統領署名の記録なし」


大統領は、信じられないという表情で問う。「署名していない?誰が承認を——」


統合参謀本部議長(JCS)は、苦い顔で言葉を遮った。「承認ではなく……“既に実行”です。レーガンからの発艦は全機完了。Zulu-Black暗号チャンネルで暗号化され、通常回線からのAbort Commandは——物理的に遮断されています」


副大統領は、凍りついた声で尋ねた。「つまり、我々は作戦を止められない?」


JCS議長は、重く頷く。「はい。少なくとも最短でも90分は。暗号封鎖を突破しても、攻撃部隊はすでに独立行動プロトコルに移行済み。現地指揮権は艦長ケインの手中です」


シチュエーションルームの空気が重く沈む。大統領は、険しい表情で低く問うた。


「……これは暴走か、それとも——計画的な“先取り”か?」


衛星映像の中で、沿岸の防空施設が一斉に閃光を放つ。同時に、北朝鮮領内深くへ侵入する複数の機影が加速していく。


ハートマン顧問が、現実を突きつける。「大統領、もはや『結果待ち』です。——成否は、あと数十分で決まります」


無線封鎖された艦隊と、遮断された最高指揮系統。ホワイトハウスは、初めて自国の刃が自らの手を離れて振るわれる瞬間を目撃していた。

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